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自宅に事務所を移転されてから伺うことができていなかった、弊社のデザイン関係の懐刀・パルスデザインさんの新オフィスにようやくお邪魔させていただきました。行けなかった特別な事情があったかとかいう問題ではなく、ただただタイミングが合わなかっただけで、日頃から常に電話でやり取りはさせてもらっています。昔はデザイナーさんとこうも頻繁に連絡を取り合うようになろうとは、いやそれどころか材木屋がデザイナーさんと仕事する事があるなんて夢にも思いませんでした。
ところでこのパルスデザインさんの新オフィスには、弊社の木のモノをいろいろと置いていただいていて、自分の会社で見慣れている商品でも違う場所で目にすると感慨深いものがあったりするものです。現在弊社で企画して作り出している商品のほとんどには、パルスデザインさんのパッケージデザインが施されています。そういうこともあり、弊社の商品というよりも共同作品的な意味合いもあって展示していただいているのですが、場所が変われば随分と印象も変わってきます。
そういう中にあって、仕事というよりも趣味的な嗜好が勝って置いていただいているモノもいくつかあるのですが、その極め付けがこちら。オフィスの一番メイン部分に堂々と掲げていただき鎮座ましましていらしゃる『かけら専用フレーム289』!オフィスの雰囲気を一気に持ち去ってしまうほどのインパクト。前のオフィスでは『森のかけら100』を展示してもらっていたのですが、壁にかけてこのサイズになると迫力も倍増!この写真を見られてご注文いただいた方もいらっしゃいます。
暮らしの中に商品を取り入れられている実例として、私としても実にありがたい存在。このフレームも作ろうとした際には、そんな高額なフレーム(税別の¥48,000)を誰が買うのか、無謀すぎる、遊びすぎだ、なん周囲からは散々でしたが、面白いじゃないですか~と背中を押してくれたのもパルスの大内さん。しかも自分も欲しいと、実際に購入していただく『かけらの底なし沼に頭から思いっきりダイブする男気』には常に感激させられます!それはかけらへのピュアな愛情、愛なきところに濃い商品は生まれず。
もうあれから6年も経っていたということが信じられないのですが、時間は無情にも流れていきます。弊社のホームページからロゴデザインなどを手掛けていただいている「森のかけらの育ての親」のひとりでもある(株)パルス・デザイン(代表取締役・大内智樹)さんの事務所に、クリ(栗)の耳付きのテーブルを納品させていただいたのはもう6年も前のことでした。それからそのクリのテーブルの上では、新商品に開発をはじめいろいろな極秘の戦略が練られてきたのでした。
そして、このたびパルス・デザインさんの事務所移転に伴い、6年ぶりにお化粧直しをさせていただくことになりました。これはもともと、厚みのあったクリの耳付板を半分に厚み割りして、それを左右非対称につなげたものです。その上から槍鉋で表面を浅く削り表情を出して、部分的に象嵌細工を施しています。多くのクライアントとの熱い商談や作戦会議などを経て、6年に間にはいろいろな思いが刻まれたであろうクリの板。よく使っていた場所には黒染みが出来ています。
私のものづくりにはパルス・デザインさんは欠かせない存在で絶大の信頼を置いているのですが、その根拠の1つがこうして実際にいいと思った木のモノを自分で使っていただくこと。もともと木という素材がお好きだったとは思うのですが、開発に関わっていただいた商品は必ず自分でもご購入いただきお使いいただくなど、木の良さを口だけではなく実践されている点。モノを買っていただくから嬉しいという事ではなくて(それもありますが)、好きだから使うという事が嬉しい。
そりゃあ、自分が開発に加わっているのだから当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、義務的に使うとかお付き合いだからというレベルを越えて、好きだから、使いたいから使うという感覚は、必ず商品開発に反映されていて、ひとりの熱烈な木材ファンの視点が込められることになります。自分が欲しいものを作って自分で使うという実に基本的な姿勢が、モノづくりの信頼感となるのです。それではその気持ちに応えるためにも、このクリのテーブルのメンテナンス開始です!
他にもいくつか候補はあったものの、自分でも一番自信のあった『山の響(やまのひびき)』を気に入っていただき、これに決定。野村の深い山々に囲まれた牧場から聞こえる牛の鳴き声、そこからイメージされる牧歌的な風景と「響」という漢字からイメージされる堂々とした力強さは、手塩をかけた育て上げた和牛の体躯が重なり合います。名前が決まりブランド化の骨格ができたので、ここからはデザイナーさんにお願いして肉付けをしていただくことに。これで話は振り出しに戻る。
3月の晴れた某日、パルスデザインさんと一緒に牧場を視察。どういう餌を与えてどういう肥育方法をとっているか、などを義父と義弟がデザイナーさんに説明するのですが、私も現場を見ながらきちんと話を聴くのは初めてで結構勉強になりました。肉の味は最高とはいえ、肉の味を差別化して言葉で表現するのは難しいため、「山の響」ならではの特徴をまとめてもらいました。それが、米穀やトウモロコシなど15種の原料を、50年の経験と牛の体調に合わせてブレンドさせた飼料。
そして、与えられる水は四国山系の岩間から流れ出るミネラル成分たっぷりの天然水。牛たちが肥育されている牛舎は、義父や私の父たちが通った地元の中学校の木造校舎を解体して移築したもので、堂々たる立派な合掌造り。私の生まれる少し前の昭和37年に廃校となったそうですが、たまたまそれを移築する工事を私の父親の土木会社が携わったというのも不思議な縁。吸湿性や保温性に優れた木造の牛舎は、牛たちにとっても理想的な空間といえますが、今新たに建てるとなると費用も含めてなかなか大変なものになるはず。高橋畜産は、義父が創業したものですがそれから50年、この地で畜産業に励んできました。
そして最大の売りは何といってもこの環境。それらの特徴をまとめていただきました。日本酒の大吟醸酒を作る際に使用される削り取られた四国産の米粉を飼料に加えていることから、つけていただいたコピーが、「畜産50年、職人山の味」。そしてブランド名は、『吟醸牛 山の響』。これに基づきパンフや印刷物も作ってもらいました。ただし高橋畜産では肥育した牛を京都の市場に出荷する仕事で、牛肉の小売り販売をしているわけではないので、愛媛ではあまりその名前を見たり聞いたりする機会はあまりないかもしれませんが、京都など関西圏の和牛専門店などではその名前に接していただく機会があると思います。機会があれば是非一度、愛媛の『吟醸牛・山の響』をご賞味ください。
ブランドデザイン等をお願いする少し前に、先行してネーミングは決定していました。ネーミングについては、考えて欲しいとご依頼を受けており、頭をひねらせていただきました。【森のかけら】や『モザイクボード』、『森のしるし』、『木言葉書(きことのはがき)』など自社商品についてはすべて自分で考えてきました。それは昔からそういう名前を考えたりするのが好きだったということもありますが、自分の商品は自分がもっともよく分かっているからという矜持もあるからです。
私の場合は、作っている商品そのものが、木という伝統的かつシンプルな素材ということもあって、あまり奇をてらった名前とか、突飛な難しい当て字はなるべく避けて、もっと根源的に素材の持ち味や、それを使う意味のようなものから考えるようにしています。汎用性の高い木のモノの場合、いろいろな擬態化させやすいのですが、牛肉という食材の性質上、あまり極端な擬態化はリスクが強すぎます。といって、ただ地域名を冠するだけではその他大勢の中に埋もれてしまうばかり。
調べてみれば、全国のいろいろな地域で国産和牛のブランド化が進められていて、「神戸ビーフ・松阪牛・近江牛」(または「神戸ビーフ・松阪牛・米沢牛」)というビッグ3を筆頭に、ほぼ1県に1~3件の銘柄が登録されていました。黒毛和牛の代表的なものとしては、 宮城の仙台牛、佐賀の佐賀牛、沖縄の石垣牛、兵庫の但馬牛、京都の京の肉、山形の山形牛、岩手の前沢牛、岐阜の飛騨牛などがあります。いずれも一度は名前ぐらい聞いたことのある一流のビッグネーム。
一畜産農家が作ったブランドではなく、伝統的に地域で育まれてきた産業としての地盤があるため、地名が関せられて全国発信されるブランドとして名が通っていますが、今回考えているのは一畜産農家が作る商品名なので、地域や地名よりもインパクトがあって、その名前から肥育スタイルや生産者の思いが伝わるものがいいのではと考えました。そう考えたとき思い浮かぶのは、やはり木々に囲まれた自然豊かな肥育環境のこと。そして静かな山々に響く牛の鳴き声。命名、『山の響』(やまのひびき)。
高橋畜産の牧場は、家内の実家から車で数分の山の中にあります。もっとも人家があるところも含めて周囲はほとんど山の中。私の実家からでも車で数分の距離ですが、少し山を上ったところにあるため、牧場から見える風景はほぼ山のみ。子供の頃からそういう環境で育ってきたため、それはごく日常の当たり前の、何の違和感もない普通の光景に過ぎないのですが、地元を離れて松山で暮らすようになってから、遊びに連れてきたりした町育ちの友達にとっては異様な光景に映るようです。
以前にも子供たちが幼かった頃、家内が子供たちの友達を連れて実家に行った時、町育ちの子供たちは、「山の中にプールがある!」(小学校のプール)とか「山しか見えない!」(周囲360℃ほぼ山)などと大騒ぎだったそうです。そうやって改めて指摘されれば確かに、周辺に大きな山とかがないため、緩やかな稜線の山々が折り重なる風景が広がるばかり。材木屋となってことで、余計にその環境の事に考えが及ぶようになりましたが、そうでなければ今でも何も感じなかったかも。
まあそういう山の中で畜産業を営んでいるわけですが、その牧場に行くには、一本道を覆い隠すように伸びたスギ・ヒノキ林を抜けなければなりません。手入れもされずに放置され、朽ち倒れた痩せた老木が重なり合い、痩せた土や石が剥き出しになり、年々木々の影が伸びて不安を煽るようなその光景は地方の山林の縮図でもあります。なので、牧場に行く際には必ず、林業の今後の姿も同時に考えさせられることになるのです。ですから今回のお手伝いも決して他人事ではないのです。
肉のブランド化という、いつもとは勝手の違う仕事(お手伝い)ではありますが、汎用性の高い木という素材が、どこかで肉牛と繋がらないとも限りません。そうでなくとも商品化もコンセプトづくりはモノづくりの基本。何からでも何かは得られるもの!それで今回、ブランド化を含めてデザインをお願いしたのは、【森のかけら】でいつもお世話になっているパルスデザインさん。まずは現地を見ていただこうということで、天気のいい日に車を走らせ山の中の牧場へ向かいました。続く・・・
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