森のかけら | 大五木材


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春を告げる木』としても知られるモクセイ科の広葉樹『コブシ(辛夷』が今年も裏の土場の一角で純白の花を咲かせました。以前にブログでも紹介しましたが、愛媛のある地方では夕方暗くなった頃にコブシの花を見ると、その大ぶりで白い花がぼんやり浮びあがって、まるで幽霊のように見まがう事から『幽霊花(ユウレイバナ』なんて呼ぶところもありますが、確かに日暮れや月明かりの中でも白い花がぼうっと浮かんで見えてその存在だけが際立っています。幽霊扱いするのは可哀想ですが、山の中で出会うとその花の白さは怖いぐらいに映えるのかもしれません。

床柱など丸太として意匠的に利用されることはあっても、板材などとして見かける事はほとんどありません。愛媛では自生していないと言われているので、どれぐらいの大きさの丸太があるのか分かりませんが、床柱などに使われているの大きくてもせいぜい3寸程度。うちで花を咲かせているコブシは、幹の方でも3寸程度。床柱で少し傷のついたB品もありますが、それもそれぐらいの大きさなので、芯と節を外して35㎜角を取ろうとすると結構厳しく、【森のかけら】を取るのだって容易なことではないのです。あ、読み返したら前に取り上げた時も同じような内容の事を書いてました(汗)。それぐらい材としては馴染みが薄い。

数年前から地元で庭木や神社の木、街路樹などの『一般的な用材としてはほぼ見かける事の無い木』にも手を出すようになってから、その木の種類などを見極めるために不慣れだった葉っぱや花の事も気にするようになりました。なので、それまではコブシのように特徴的な花を咲かす木でも、目には見えていても気にしてもいませんでした(まあ見えていなかったという事です)。今にして思えば随分ともったいない事をしてきたとは思いますが、材と違って保存の難しいところですから現物コレクター派としてはかけらほどは萌えなかったかも。

歳を重ねてきたからは、現物が無くてもその画像や物語などのソフトを収集して満足感を得られるようにもなってきたので、そういう意味ではコブシなどは非常に興味深い木です。木にまつわるエピソードって収集すればするほど関連性が出てくるので、話にも広がりが出てきます。コブシはその花の白さから「幽霊木」と呼ばれますが、幽霊と木といえば思い浮かぶのがシダレヤナギ(枝垂柳)まだ水路が未整備の頃に水の事故を防ぐために、暗くなると水路や河川に近づけさせないために生まれたのが柳の下の幽霊』エピソード。木にはいろいろな形で人の暮らしに関わっています。

 




★今日のかけら・E045【アリノスダマ・蟻の巣玉/Ant plant】 アカネ科ヒドノフィツム属・広葉樹・東南アジア産

 

淡路島の『奇跡の星の植物園』には温室などでさまざまな植物が栽培展示されていて、スマホのバッテリーが切れるまで写真を撮りまくりました。自分で撮った写真をブログに使いたいという事もあって、この数年間機会があれば全国各地の植物園に足を運んでいるのですが、写真が溜まり過ぎて整理できていません(汗)。植物園の温室にあるような木ですから、当然一般的な流通ルートに乗るようなものではないので、その木を使った実例が生まれるはずもなく、ストックは溜まれどブログで使える出番が来ないというジレンマ!


これではいつまでも折角撮った写真活かせないということで、実例や入手出来たというご縁がないまま、その写真だけというささやかな手がかりだけで取り上げてみたいと思います。そんな木の1つが、この『アリノスダマ』。マレーシア原産の アカネ目アカネ科ヒドノフィツム属の常緑小低木で、 湿地のマングローブの幹や枝や、岩の裂け目や岩上に着生する「着生植物」。変わった名前の由来は、蟻と共生するところから命名されたそうです。英名は『Ant plant(蟻植物)』、和名は『蟻の巣玉』と表わされます

その名前は、球のように肥大した茎の一部を蟻の巣として提供するところに由来しているそうです。成長して茎が大きくなるにつれて、中が迷路状になって沢山の蟻を住まわせ、蟻の食べ残しや蟻の糞、死体などを栄養として成長します。文字通り『蟻の巣玉』なのですが、この木に初めて出会ったのは、まだ子供たちが幼かった頃に家族で行った高知の牧野植物園の温室。その名前が面白くて覚えているのですが、ネームプレートしか無かったので、実際に中に蟻が住んでいるとは知らず、見た目がそう見える事から命名されているものだとばかり思っていました。

その時にも写真は撮ったのですが、膨大な写真の中に埋没してしまって捜索不可能。高知に行った時はまだ小学生だった長女が、成人して就職する会社に一緒に神戸に来た時に再会したアリノスダマに何か運命的なものすら感じております。蟻と共生する木ということですが、高知でも神戸でも蟻の姿は見えませんでした。観葉植物としても販売されているようですが、その場合は蟻はどうしているのだろうか?まあ植物なので蟻から栄養をもらわずとも光合成で成長するんだと思うのですが、ある程度大きくなったら蟻との共生関係は切れるのか?嗚呼、割って巣玉の中身が見てみたい!

 




さあ、それではここからビーバー隊による救出作業開始です。まずそのクスノキがどれぐらいの大きさかですが、身長176㎜の私と並んでこれぐらい。樹齢は記述が無かったので年輪を数えてみたらおよそ80~90年歳と思われます。後日改めてきちんと数えてみるつもりですが、いずれにしても大先輩であることには間違いありません。折角のご縁ですので大事に使わせてもらわねばなりません。まあこれからすぐに製材所に運んで板に挽いてもらったとしても、再びこのクスが表舞台に現れるのは早くても3~4年後先の事になるのではないでしょうか。気長に天然させるつもりなので。

クスノキは英語で『Camphor tree(カンファーツリー)』と言いますが、カンファーとはカンフル剤のことで、クスノキの材内に含まれていて蒸留して樟脳となります。立木だとあまり匂いませんが、鋸を入れたりすると一面に強い刺激臭が立ち込めます。古来よりこの香りに神性を求めて、クスノキの枝や葉は神様への捧げものにも使われてきました。これだけ大きなクスノキを伐ったので、境内はもの凄い匂いだったと思うのですが、鼻が麻痺してしまったのかそれほど匂いは感じずにちょっと拍子抜け。これも神のご加護?!

こちらはほぼ真横に枝が伸びていた、いわゆるジョイント部分。実はもしかしたら内部は洞(ウロ)になっていてまったく使い物にならないかもしれないと心配はしていたのですが、まったくの杞憂に終わりました。洞はおろか大きな割れや腐りも無くてコンディションは上々。ただしクスノキは気をつけないと乾燥の工程で強くねじれたり変形することがあるので、ここから板挽いていかにきちんとお守り出来るかが大事です。テーブルやカウンターに使えそうなのはこの4本ぐらいで、後は小物用に薄めの板や角材に挽くつもり。

1本ずつ慎重にユニックで吊って製材所に運び込みます。これ以外も数本のクスを伐ったので、最終的には4tユニック車で6台分ぐらいの量になりました。製材して板になって弊社に帰って来るのはもう少し先のことになりますが、板になったとしても全部合わせるとそこそこの量になります。気がつけば倉庫には、こうやって救出された『町の木』がおよそ1/3ぐらい占めるようになっています。まあ乾燥中のありますが、このままのペースでいけば山の木よりも町の木の方が多くなってしまうのでは?!そうなったら正真正銘の『町のビーバー』になれるのかも・・・

いろいろな種類の木が集まって来るって面白いのですが、油断しているとダムがドンドン大きくなっていって、崩壊してしまいかねないので、集める以上に、『使う、作る、売る』という『出口』にも注力しておかねばなりません。まあ今のところ広葉樹に関しては、いくつかの小さな出口ながら流れは出来ているのですが、あと幾つかは出口を作っておかないと詰まったりしたら一気にダム崩壊!最後にお賽銭も奮発させていただき、大切に使うとの約束と、新たな出口とのご縁を祈念しておきました。都合いい時だけの神頼み🎵

 




果たしてビーバーと造園屋さんはいかにして巡りあえばいいのか?当時は私もまだ完全にビーバーにはなり切れていなかった(子ビーバー)ので、正直覚悟もありませんでした。覚悟というのは、「それが欲しい」と言って話がまとまってしまった場合に、集まった材をどうするのか?こちらの思惑以上にあれもこれも全部持って行って、と言われてしまったら、こちらから言い出しておきながらそんなに都合よく断れるのか?持って帰ったとして【森のかけら】以外にどう活用するのか?どこに保管するのか?社員はそれを見てどう思うのか?理解を得られるのだろうか?

いろいろ考えていたら、やっぱり止めとこうとなってなかなか手を出せない世界だったのですが、思いがけない形である日突然その垣根は取り外されることになります。造園屋さんの方から声が掛かってきたのです。「〇〇で結構大きめの木を伐るんですが、大五木材さんではこういう木は必要ないですか?」これを僥倖と言わずになんと言おう!その時はすぐに【森のかけら】で必要な木では無かったもののこのご縁を活かさねばと二つ返事で答えて現場に駆けつけました。大きさこそまあまあだったものの量が少なかったのでスムーズに搬出完了。

それで、その時今後もこれこれこれぐらい種類のこういうサイズであればいただきたいとにこちらの要望も伝えると、先方もそれはありがたいという事で簡単に話がまとまりました。更に、それなら同業者にも声をかけてくれると、思わぬ形で造園業界に波及。ただし気をつけないと、必要も無い木の処分場になってしまうので、こちらが求めている樹種やサイズはしっかりとお伝えしました。基本は広葉樹で、変わった木!こういう交渉の際には【森のかけら】という実例が非常に有効です。ああ、こういうモノを作りたいのね、と。

職種は違えど同じ木を扱っている人間同士、話してみればその人も珍しい木を伐ったりすると、このまま捨ててしまうのはモッタイナイと感じていたそうで、使ってやれるのなら木も喜ぶだろうと共感してもらいました。だったらこれぐらいのサイズでこういう風に伐っておくと、話がトントン拍子に進んで、それからは近隣で伐採された『町の木』が急速に集まるようになりました。町の木の神様が導いてくれたとしか思えません。そうして私はすっかり『町のビーバー』と化していったのです。という事で話は地元の神社の木の救出に戻ります。

 




まずは境内へと続く参道脇にある小さめの木から伐採が始まりました。例のサカキはこのあたりにありました。伐採にあたられた地元の門屋造園さんは、地域の消防団活動でも一緒でいつも懇意にさせていただいていて、面白い木を伐採されるといつも分けていただいています。町の中に在る木を活かす『都市林業』は、これから非常に大切になってくると思いますし、その必要性はいろいろなところで叫ばれていますが大切なのは実際にそれを伐採するひととの結びつき。誰かが伐って誰かが運んで誰かが製材して、ようやく流れが出来るのです。イメージするだけでは動きません

高邁な理念もグランドデザインもいいけれど、地を這う我らビーバー隊としては、まずは自分が動けというのが信条。自分は高みの見物で指揮だけして、木を集めないビーバーなんていないでしょう。やっぱビーバーは木に近いところにいないと話になりません。近くにいれば、仲間にも会えるし、そこから話も広がる。私自身、ビーバーになるまで(もはや例えもよく分かりませんが、笑)、地元にこんなに個人で活動されている造園屋さんが沢山いらっしゃるって知りませんでした。これが本当の井の中のビーバー。そういう方たちとの接点もありませんでした。

そもそも材木屋は木材市場か製材所から木を買う者と教わって来たし、事実そうだったので、同じ木を扱う職業とはいえ造園屋さんとは別フィールドだと思っていました。国道などで街路樹を剪定している場面に出くわしても、小さな枝では興味も湧きませんでした。それが廃棄されることに違和感を覚える事も無く。その意識が変化してきたのは、【森のかけら】を作るようになってからです。日本だけでも120種の樹種を集めようと思うと、建築家具用材だけではなかなか難しい。それで意識がいくようになったのが、街路樹や公園や学校などにある木。それを剪定、伐採するのは造園屋さん。

それでいろいろ調べてみると、近くにも造園屋さんは結構あるし、繋がりがなくもないので、話はできそうだったのですが気になる事がありました。剪定作業を見ていると、横付けしたトラックに枝葉を次々に放り込んでいます。そのまま処理場に廃棄するので、面白い形だろうが大きかろうが関係ないわけです。材の形状などで仕分けるという作業が不要というか必要ないのです。そんな中に分け入って、「これとこれと、直径〇O以上の木だけ下さい」なんて言えるだろうか。逆の立場だったら、何言ってんだ!って気持ちになると思うとなかなか声が掛けられませんでした。

伐採になれば、伐った後どうするなんて考えませんからいかに効率よく仕事をするかが最優先で、いちいち形や長さなんて気にしていられません。それこそ横にいて、その場で判断して自分で指示を出すなり積み込みまですればいいのかもしれませんが、本業をほったらかしてそんな事出来ません。自分が最前線にいるからこそ、そこで働く人の気持ちを理解できる。だからといってボランティアをするつもりは無い。あくまで材木屋としての仕事の範疇でやらなければ本末転倒。街路樹を「業」としていかに効率よく手に入れるか?自分で伐らないビーバーの悩み・・・

 




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