森のかけら | 大五木材


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六甲アイランドの中で迷いながら高橋家が探していたのはこちらのATELIER MOKUBA(アトリエ木馬)さん。家具の街・福岡県大川市に拠点を置く㈱関家具さんが運営する一枚板専門ギャラリーで、業界関係者で知らなければモグリとまで言われる超有名店です。東京青山、新宿、五反田、横浜、大阪、神戸、福岡天神、博多、大川に直営のギャラリーを出店されています(昨年末に横浜と博多店は閉店)。と言いながらも、実際にギャラリーに入ったのはこの神戸ギャラリーが2店なのですが。具体的な住所は、兵庫県神戸市東灘区向洋町中6-9 神戸ファッションマート1Fです。

お店の方に、「決して買いに来たわけではない(帰るようなお金も持ち合わせていない)のですが、見せてもらってよろしいでしょうか」と事前にお断りをいれると快く了解いただきました。合わせて写真の撮影もご了解いただきました。こんな立派なところと比べるべくもありませんが、弊社にも時々「買いに来たわけではないのですが・・・」と申し訳なさそうにご来店される方がいらっしゃいます。きっと木が好きで見たくてたまらなくてご来店されたのだと思うのですが、ドライな対応をしていたと我が身を反省。

ちょうど店内には私たち家族以外誰もいなかったので、目を皿のようにして一枚板を見ていた私たち家族に対してもスタッフの方は丁寧に分かりやすく説明していただきました。自分がそういう立場になってこそ分かる事もあります。木馬さんのギャラリーでは、一枚板を仕上げて塗装までした完成品を展示販売されているので非常に分かりやすい。弊社は加工前の埃をかぶった荒材の状態で置いているので、削ったらどうなるか、塗装をしたらどうなるか、かなり想像力を働かせてイメージしてもらえねばなりません。そりゃあ木馬さんみたいなスタイルが分かりやすいのですが・・・

きちんと整理できていないというのはただただ私の怠慢でしかありませんが、このように板を仕上げて塗装までして立て掛けて展示するという事が出来ないのは物理的な理由。木馬さんでは特殊な乾燥技術によって、この状態でも板が反ることなく、かつ表でも裏返してもリバーシブルで、鉄足の上に乗せれば完成という事が可能なのですが、通常だといくら人工乾燥機に入れても広い板は時間が経てば反ってしまいます。そのため裏面に鉄や木で反り止めを入れる必要があり、両面使いは出来ませんし、それでも収縮はするので売れた際にもう一度仕上げ直ししなければならなくなります。明日に続く・・・

 




私にとって今年最初にして(今のところ)最大の(正月2日目にして!)衝撃を与えてくれたラ・コリーナ近江八幡ネタもいよいよ本日最後(予定)。実際の滞在時間は2,3時間だったと思うのですが、見るモノどれもが新鮮で濃密な時間でした。娘たちは美味しいバームクーヘンやお菓子に満足と、家族でたっぷり楽しませていただきました。ところで、1000本ものクリ(栗)の丸太を使われていましたが、使われている木はすべてがクリというわけではなくて、用途に合わせて適材適所に木が使われていました。

カステラショップから中庭への通路の天井部分には、『カラマツ(落葉松)』の木が意匠的に使われていました。クリの木も岐阜と長野の県境辺りにまで行かれて探してこられたということだったので、この落葉松もその辺りのものかな?個性的な随所に木をたっぷり使われているのに、木がでしゃばりすぎずに、周辺の風景に自然に溶け込んでいて素晴らしいです。自然だから曲がりくねったり、割れたり、節があったり、虫に喰われているのだって当たり前。そうは分かっていても、ここまで出来るのは施主側の理解あってこそ

このラ・コリーナも構想から実現に至るまで、いろいろと紆余曲折もあり、何年もかかったそうですが、そりゃあここまで気持ちを固めて、覚悟を決めるのは時間もかかることでしょう。湧き上がってくるイメージや構想の中から時間が経っても沈殿しない上澄みだけを救い出して、更にそれを蒸留させて残った強くて揺るぎない濃い信念なければ出来ません。100の言い訳よりも1つの実行だなと、つくづく我が身を恥ずかしい。それでも大きな刺激を受けて、実際に出来る事を具体的に考える機会となったのはありがたい事です。

ラ・コリーナの構想はこれが完成ではなく、今はじまったばかりだそうで、あくまでも今は種蒔きの段階だそうです。本当の意味で完成するのは50年後、100年後。その頃には木々も成長してきっと鎮守の森のような光景になっているかもしれません。お菓子屋さんが、喜々として100年後の森を夢描く。本来スパンの長い仕事であるはずの林業、材木業は100年後の未来を笑顔で語ることが出来るであろうか。受け身で仕事が来るのを待っている身では100年後の構想などイメージすら出来ない。自分で刈り取る糧は自分で蒔こう!

敷地のざまざまな場所に沢山の幼樹が植えられています。まだまだこれからもいっぱい植えていかれる予定だそうです。クヌギとかどんぐりの木はビックリするぐらい成長が速いので、きっと数年後に来ればこの辺りも全然違う風景が広がっていると思います。1つや2つ枯れようがその何倍も植えていく。仕事とか商売とかを越えて、『生きざま』を感じました。山本昌仁社長の著書の最後の方に、先代からかけられた言葉があります。「いまは気張ってやってるけど、あんまり飛ばすなよ。商売にスタートはあってもゴールはないんや。」気張りすぎず、慌てず、急ぎすぎぬように一歩ずつ。肝に銘じる。




ラ・コリーナ近江八幡で出会った『気になる木のモノ』は木型以外にもいろいろありましたが、そのひとつが、こちらのロンドンバスをシンボルにバイクなどを展示してあるギフトショップにあります。この建物も面白くて、外見は半円形のガレージで、全体の空間の中に違和感なく溶け込んでいます。中もアメリカの映画に出てきそうなほどオシャレ。神はディテールに宿るといいますが、細部に至るまで計算して作り込まれていて、手を抜かない本物志向が垣間見えます。こういうセンスの無い私からすると羨ましい限り・・・。

そのショップにはさまざまなオリジナル商品が販売されているのですが、商品の企画開発から包装のデザインまですべて自社でされているそうです。先代の頃から包装紙などもご自分でデザインされていたそうで、やはりものづくりには『絵心』は大切な素養のひとつだと思いました。私も子供の頃から絵を描くのは好きでしたが、若い頃のきちんとデザインとかの勉強をしておかなかった事が今でも心残りです。さて、そのガレージショップには2階があって、その階段を上がるとそこには、気になる木のモノがあります。

それがこのウィスキー樽。ウィスキー樽と言えば、京都は伏見の有明産業㈱さんのところの商品です。ポンポンといくつか並べて置いてあったのですが、何も説明が無かったので単にインテリアとして設置されていたのか、イベントでもされる時のテーブルか何かに使われるのか分かりませんが、ただそこに置いてあるだけでも存在感充分!有明産業さんのこの樽はちょっとオシャレな店舗などでは最近よく見かけます。やっぱりこちらも本物。本物はただそこに置いておくだけでも画になります

恐らく『ホワイトオーク』製だと思われます。ホワイトオークにはチロースという成分が含まれいていて、非透水性が高く木樽の中に水を入れても水漏れしません。更に内部から抽出成分が溶け出してまろやかなウィスキーに仕上げてくれます。これが他の木だとうまくいかないようで、やはりウィスキー樽はオークでなければなりません。初めて有明産業さんのこの樽を見た時は、樽に打ち付けられたラベルがいかにも外国風なデザインだったので、てっきり海外から輸入された樽だとばかり思っていました。やっぱりデザインって商品の顔だし、大事。

ちなみに有明産業さんではホワイトオークの他にヨーロピアンオーク、コモンオーク、国産のミズナラ(水楢)の木を樽の素材として使われているそうです。更に他の地域のオークや、オーク以外の木(スギ、ヒノキ、メープル、クルミなど)も樽の一部に使用されたりしているみたいで、『森の出口』作りにもご熱心!この樽に特別な意味はないのかもしれませんが、旅先で木のモノに出会うだけで、旧友に会ったようなような気分になってしまいます。すっかり木のモノを探す習慣が身についてしまって・・・




ラ・コリーナのメインショップを抜けると広大な敷地が広がっています。そこにはかつて、全国各地で負の遺産と化してしまって悪名高い厚生年金休暇センターがあったそうですが、その広さなんと甲子園球場3個分!およそ35,000坪の敷地の多くは、池であり、畑であり、森であり、申し訳程度にちょこんんといくつか建物が建っています。要するに、何にもないのです。前日に行ってげんなりした『三井アウトレットパーク滋賀竜王』とはまるで対照的な光景がそこには広がっていたのです。そのスケールに呆気に取られていたのはわが家ぐらいで、リピーターが多いようでした。

このラ・コリーナ近江八幡は、たねやグループのフラッグシップ店として2015年にオープン(山本昌仁社長の著書を読んで知りましたが、この土地を買われてから、店が出来るまでの経緯も驚きです)して、来訪者が年々増えていき、2017年には訪問者数が年間で285万人になったとか!1つの施設に285万ってとんでもない数字です。現在では滋賀県一の観光スポットになっているそうです。ちなみに愛媛で一番観光客が多いのが松山城ロープウェイ(約132万人)、道後温泉本館・別館(約111万人)ですから圧倒的な差です、愕然。

勿論お目当ては名物のバームクーヘンでしょうが、それだけではなく、目当ての買い物をされたお客さんたちは、何もないただっぴろい敷地へと流れ出ていきます。大きな池の周囲と中央には田んぼのあぜ道のような道があるのですが、それぞれがめいめいにそのあたりを散策しています。さあ次の店、さあ次の店と急かされながら、人混みをかき分けて店を巡るアウトレットショップとはまったくの別世界で、時間の流れもゆったりとしています。有名ブランドもアトラクションも何にも無い場所に、そこにしかないものを求めて300万もの人が押し寄せて来るという現実・・・。

敷地の中にはいくつかのショップはあって、そこはそこで賑わってはいるものの、ブランドショップのようにそこだけに群がって、買い物さえ終わればそそくさと引き上げるような感じではなく、何度のこの場所にやって来て、それぞれがこの場所でのそれぞれの楽しみ方、遊び方を見つけていて、のんびりとそれを体感しているように感じました。その時にはこの場所の意味や正体がよく分からず、頭の中は「?」だらけでしたが、帰ってから山本社長の著書でその意図やコンセプトがよく分かりました。同じような事を考えてる人は多いですが、実践出来ているという事が凄い!

その時に直感的に感じたのは、家内が目指している方向はこっちだろうなという事と、私自身もこれからの材木屋として生きる道はこっちだと感じました。漠然としたイメージはあったものの、ここまで具体的なモノを見せられると、もう何の反論もありません。勿論、お菓子屋と材木屋という事で、ジャンルは違いますが、ただモノを売るのではなく、その向こうにある『生き方を示して、ここにしかないものでひとを楽しませる』という大テーマを実現させるために進むべき道は同じ。規模はあまりに違い過ぎますが、その考え方は共感することばかり。

裏の敷地に砦を建てたものの、その使い道を考えあぐねていましたが、そもそも発想が違っていました。いかにそこを利用してモノを売るかとか、何のイベントに使えるのかとかばかり考えていましたが、それは大きな間違いであると脳天を殴られたような気分。だからといってすぐに行動に移せるわけではなく、いろいろと準備運動やら考え方もまとめていかねばなりませんが、進むべき道はより明確になりました。偏屈材木屋でいい、そんな材木屋にしか出来る事、モノがある。心の底のほうがちょっと熱くなってきました

 




バーククーヘンから木の話に戻ります。ラ・コリーナ近江八幡さんの事をスマホで検索していたら設計者が、緑や自然を大胆に取り入れた遊び心溢れるデザインで有名な藤森照信さんと知って納得。宮崎駿のアニメの世界を具現化したようななんとも言えない温かみのある空間が素晴らしい~。もっとも菓子に関係の深い木がクリ(栗)という事なので、クリの木をたっぷり使おうという事になって、至る所にクリの木を使われたそうです。そう知って改めて店内を見渡せばここにもそこにもクリ、クリ、クリ・・・。

たねやの代表にしてこのラ・コリーナを作られた山本昌仁社長はじめ、たねやのスタッフ、藤森さんたちが、直接岐阜と長野の県境の付近の山にまで入って、クリの木を選ばれたそうです。その数なんと1,000本を超えたとか!クリの木と人間の関わりは深くて、古くは青森県の三内丸山遺跡から直径1mものクリの巨木を使った大型掘立柱建物跡が発見され、縄文時代からクリを用材として利用してきたことが証明されています。当時から食用としても貴重でしたが、お菓子の素材としても欠かせません。

線路の枕木に使われるほどタフでありながら、見た目の印象はナラほど強くなく、素朴な雰囲気が漂っていて不思議な親しみを感じる木です。愛媛県は実は地味に栗の生産量は全国2位なのですが(1位は圧倒的な大差で茨城県)、素材として県外へ出荷している量が多い事もあって、地元でもあまりその事を知らない人も多いほど。なので栗の木は沢山あるにはあるのですが、あくまでも食用の栗を育てるためのもので、建築などの用材にするような大木とはそもそも目的も違います。なので栗の木というと、食べるための栗を宿した小さな低木のイメージしかありません。

初めて『栗王国・岩手』で巨大なクリの丸太を見た時はビックリしたものです。建築や家具に使うとなるとやはりある程度の大きさと素性の良さが求められるため、小さな丸太や曲がった木には目がいかなくなりがちです。ところがラ・コリーナに使われているのは、豪快に曲がったり、ねじれたり、節で凸凹していたり、癖が強いような木が、森であった姿形のまま当たり前のように使われています。通常不適とされるこれらの木が立派に、いやそういう木だからこそ相応しい場所で光り輝いている。目から鱗が落ちる思い。

その日は満席で入れませんでしたが、カステラショップ『栗百本』では、曲がりくねった木がこれでもかと使われていて、クリの木の魅力を改めて教えていただきました。今は奇異に見えても本物を使う、本物であれば時間とともに風味を増すという藤森哲学が徹底されています。今までにもクリの木はいろいろなところに沢山使ってきましたが、自分が見ていたのは、スーパーに切り身として並べられた刺身のような、調理されたクリの上っ面だけだったなあと思い知らされました。深い感動と強い反省を噛みしめながら更に中庭へと進んでいきます。まだまだ続く・・・




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