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先週末の日曜日、久し振りの完全オフ日で、たっぷりと日曜日の遅寝を満喫して、それから家族でこちらも相当久し振りの映画館に行くことにしました。家内は前日の夜から、『日本おもちゃ会議』の総会に出席すべく単身東京に出掛けています。私と子供3人で行くことにしたのですが、子供達は当然ながらアニメとかが観たいと・・・しかも女の子と男の子で分かれるとか・・・いか~ん、このままでは私の意見が通らない!この機会を逃すとまたしばらく映画に行ける機会がないので、大人のいやらしい技(!)を使って、まあ何とか権利を勝ち取りました。結局決まったのが『アリス・イン・ワンダーランド』です。
本当は、毎日10時から1日回だけ上映している『午前十時の映画祭』(1作品1週間のローテーションで2010年2月6日~2011年1月21日まで開催中)の『追憶』が観たかったのですが・・・。『追憶』は1974年日本公開のロバート・レッドフォード、バーブラ・ストライサンド主演の20数年にわたる切ないラブ・ストーリーです。似合わない~と言われそうですが、初めて観たのは多感な高校生の頃ですからご了承下さい。この映画の原題は『The Way We Were』で、直訳すると「あの頃の私達」のような意味になるそうですが、『追憶』は内容をよく暗示した名意訳だと思います。あの感傷的な音楽を聴くと青春時代が蘇り、切ない気分になります。あの頃こういう映画ばかり観ていました。
さすがに『追憶』では子供達の支持は得れないと泣く泣く諦めました。監督はあのティム・バートンですから奇想天外な映画は期待出来るのですが、気掛かりはあの3Dメガネです。アリスを苦しめる赤の女王以上にメガネ・イン・メガネワールドに苦しめられる予感がします・・・予感は案の定的中!子供達は楽しんでいましたが、サイズが大きく落ちるのを抑えながらの鑑賞。右の長女と私はメガネワールドに苦しめられながらの鑑賞。映画の方は相変わらずのバートン節炸裂!脱線やつながり一切関係なしの暴走特急ですが、それなりに子供達は楽しんだ様子。
かつては理解不能のB級映画の王様でしたが、状況が変わってきたのでしょうか。私には『シザーハンズ』の頃から同じく『変なおっさん』です。ティム・バートンらしく、寂しげな荒涼とした木々か、極彩色の人工的な花々というキッチュな構図でしたが、隣の子供達の様子ばかりが気になって、なかなか映画に集中できません。下の娘は恐がりなので、少しグロテスクな場面が出ると(ティム・バートンの定石ですが)、盛んに話しかけてきます。まあ、「もう出る!」と言わなかっただけ少しお姉ちゃんになりました。
イギリスにはオーク(楢)に対する強い畏怖と信仰が古くからあるせいでしょうか。こういう童話に登場する巨木は大抵、魔女や悪魔の住処と相場が決まっています(原作者のルイス・キャロルはイギリス人)。やはり広葉樹の老齢木特有のゴツゴツした姿が、そういう風に映るのでしょうか。稀に森の精霊という役を与えてもらうこともありますが、大抵は恐怖心や畏れの象徴として扱われているように思います。童話のオオカミと並んで、言われなき濡れ衣のビッグ2だと思うのですが・・・。オオカミについては、以前に『適材適所』でも書いたことがあるのですが、結構自分として(珍しくかなり推敲して)満足のいく文(『日本の森にオオカミの群れを放て』)が書けたので、いつか改めてこのブログでも改訂版をご披露させていただきます。
『追憶』を観た当時の記憶は、あのメロディとともに遥か遠くのものとなりつつあります。あの頃、自分の子供の顔の想像どころか、自分が親になることすら夢物語でした。思えばあれからいろいろな岐路に立ち、自分の選択した道が今ここにあります。すっかり私も『追憶』のレッドフォードぐらいの歳になりました。あの頃は何だか歳を取ることに憧れがありましたが、実際にそういう歳になっても中身はあまり変わってはいませんが・・・。こういう映画は好きな方なのですが、どうにも『アリスの国』に入る魔法の薬を飲み忘れてきてしまったようです。
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