森のかけら | 大五木材


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ここ最近、幅剥ぎのテーブル、カウンターなどのご注文が多かったのですが、久し振りに1枚板の無垢家具のご注文をいただきました。それがこちらの『銀杏(イチョウ』の耳付1枚板のダイニング・テーブルです。幅剥ぎ、1枚板それぞれに特徴や魅力があり、どちらが良いとか悪いとかではなく嗜好の問題ですが、1枚板の存在感はやはり別格!特に幅が800㎜オーバークラスになると堂々たる風格が漂います。こちらのダイニングテーブルで、長さ1900X幅800X高さ700㎜サイズです。

1枚板の場合は、希望の樹種で希望サイズに運良く出会えるかどうかがポイントになります。弊社には通常数百枚の板がありますが、そのまま1枚でテーブルの天板に使えるサイズのものは2、3割程度。そこに希望樹種が加わり、形状(あまりテーパーが強くない方がいいとか、耳の変化が欲しいとか)まで指定されると、更に当然価格の問題も加わりますので、材料入荷のタイミングと合わせてドンピシャリのモノと出会うのは余程の強運の持ち主という事になります。

今回は幸いにもご希望に叶う物が揃いました。どこかで譲歩はしていただいてもらっているとは思いますが、最初から銀杏で、という指定ではなく、白~黄色系のさっぱりした材という幅のある要望でしたので、最終的に銀杏の幅広サイズでうまく収まりました。ご縁が無い時というのは、「昨日まであったけど1日違いで売れました」とか、「あまり長く売れなったので、昨日4mを半分に切ったところです」なんて事もあります。そういう時は、申し訳ないけどその木とはご縁がなかったんだろうと割り切る事にしています。実際にも7,8年前に仕入れた6mのロングサイズが全く売れないので泣く泣く、売りやすいようにと短くカットした翌日に、6mのお見積りが入った事もありました。皮肉なものですが縁が無い時はこういうものだと諦めました・・・。逆にご縁がある時というのは奇跡的なタイミングでの出会いに立ち会う事になります。

 

決して堅くはない銀杏をテーブルの天板に?といぶかしむ方もいらっしゃるとは思いますが、そこはきちんと事前の説明さえあれば問題ないと考えています。傷が付く事は恐れすぎてはいけないと思うのです。家具の製作にあたっては、皆さんある程度傷の心配はされていらっしゃいますが、私は説明の中で「傷がつかない家具は家具ではないと思っています」とお話させていただいています。逆説的に言えば、傷もつき汚れもするからこそ、むしろ愛情を持って大切に使われればいいのだと思うのです。少々傷がつこうが、その下には何十年もの時間の積み重ねが存在しています。長く使う過程で生じる傷や汚れを日々心配して暮らされるぐらいなら、無垢の家具など最初から諦められたほうがよっぽど精神的に健康だと思います。その肌触りの思わずほころぶ子ども達の笑顔と一体何を引き換えようというのでしょうか。

日々健康な暮らしが育まれたからこそ、自分の座る位置に自分の暮らしの証しが刻まれていくのだと思います。傷がついたり輪染みが出来たりするからこそ、大切に使っていただければいいのだと思います。針葉樹の桧においては許容できるのに、同等程度の広葉樹だと許容できないというのは、ある種の桧信仰なのかもしれませんが、自らの怠慢を反省しております。今回は理解あるお施主さんと巡り合え、とても幸運でした。これから、氷河期をも生き抜いたタフで生命力溢れる銀杏にたっぷりと家族の歴史を刻んでいただきたいと思います。

 




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