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★今日のかけら・#022 【桃/モモ】 バラ科サクラ属・広葉樹・日本産(愛媛産)
今日6月19日は、生誕100年を迎えた作家・太宰治の命日『桜桃忌』です。玉川上水に入水したのが6月13日で、発見されたのが6月19日なので、19日が『桜桃忌』だと思っていたら、13日に行っている所もあるみたいです。太宰の命日『桜桃忌』で、【モモ】とはかなり強引な荒業ですが・・・そんな事は気にしません!私は学生時代は文学青年でよく本を読みましたが、昔からこういう性格なのであえて地味で暗い太宰治あたりは好んで読みました。しかし根本的に太宰は話が暗く、読んでいて爽快な気分になる話ではありません。このブログをアップするにあたって、書棚から長らく合う眠りについていた太宰の小説を引っ張り出し、パラパラと読み返してみましたが、今更ながらよく高校生の頃にこういう話を読んでいたものだと思います。退廃的な匂いのする太宰を読んでいるという自分が好きだったのかもしれません。太宰の小説の隣に『もっと太宰治が分かる本』なんてのもありました。日付を見ると大学生になって購入していたようです。
今から20数年も昔ですが、当時印象に残っていたのは『斜陽』『グッドバイ』あたりですが、今となっては内容をさっぱり思い出せません。読み返してみても思い返せないというのはどうしたものでしょう・・・。太宰の小説は決して読みやすい文章ではなく、回りくどかったり妙な使い回しがあったりして、リズムもあまり良くないように思うのですが、でもそれがかえって『特別』なものという雰囲気を醸し出していて、文学青年の裏バイブルのような存在だったのかもしれません。懐かしい記憶を掘り起こしたので、太宰エピソードをひとつ。太宰の本名は「津島修治」で、ペンネーム・太宰治の由来はというと、『堕罪』(罪人になること)とドイツ語の『da sein』(ダ・ザイン)の語呂合わせだと言われています。ちなみに意味は、哲学用語で現に存在するということのようですが、どうも出来すぎた話のようで、津軽のズーズー弁のひどかった太宰がお国訛りを出さずに発音できるから、なんていう説もあるのは有名税ということでしょうか。
前置きが随分長くなりましたが、【モモ】について。【森のかけら】に使われている【モモ】は、近所の農家の方が畑に植えられていた物を分けていただきました。それまでモモの木をマジマジと見たこともなかったのですが、よく見ると桜によく似た雰囲気がありますが、それよりも更にゴツゴツしています。大体が食用なので、それほど大きな木は入手しにくいようですが、これだと結構大きい方です。モモの木をクラフト材に使ったという話は聞いたことがないのですが、小さな物でも櫛やボタン、あるいは薪炭などに使う地域もあるようです。
材としての用途よりも、そのエピソードの方が多彩で枚挙にいとまがありません。『桃の節句』、『桃栗三年柿八年』、『桃太郎』、『桃源郷』などなど。ここでは【モモ】の語源に触れてみます。『古事記』にこういうエピソードがあります。昔、イザナギノミコトが黄泉(よみ)の国へ、亡きイザナミノミコトを訪ねた際に、桃の実を投げつけて悪霊を追い払ったというものです。このように古くから【モモ】には邪気、悪気を追い払う霊力があるとされていました。この信仰が、中国から桃の木と一緒に伝わったというのです。この桃の魔力は、その表皮の薄い毛にあるとされていて、中国ではこれを桃毛(to-mo)と呼んでいました。このto-moが転化したのでは、という説が有力とされているようです。日本の『万葉集』にも【モモ】が登場しますが、これもこの信仰が尊ばれたからだといわれているようです。
昨日、広島に仕事で行ってたのですが、今日のためにサービスエリアで、隣県の岡山の名産ですが「桃のお菓子」を探して買って帰りました。それでどうこう言うつもりはないのですが、今日は『桜桃忌』の事を書く気満々でしたので、何か縁のあるものをと考えていましたので・・・。ブログを始めて以来、なるべく関わりのあるものをみつけようと注意するようになりました。そしたら、意外なほど色々な物が繋がりあっている事が分かりました。興味を持つことは、注意深く観察することに繋がります。私達の周りは、驚くほどに『木の物』や『木の話』で溢れていることに築かされるのです。やはりこの国はまぎれもなく『木の国』なのです!
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