森のかけら | 大五木材


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新しき風

今日は天下分け目の衆議院選挙です。私も家内としっかり選挙に行って来ました。選挙の結果については、それぞれの立場でそれぞれのご意見があると思いますが、この場でそれを論じるつもりもありません。しかし政治に無関心だった世代が相当投票にも行かれたようで、いずれにしろ政治が熱を持ってきているのは事実です。どこが政権を担当するにしても、真摯に取り組んでいただきたいと思います。

政治だけでなく、変わらなければならない事と、変えない事はどの世界でも常に表裏一体です。木製品でも、新商品が出る一方で廃盤になる木製品もあります。木製品は他の工業商品に比べると、比較的賞味期限の長い性質を持っていると思います。家そのものが、多少デザインや構造が変わろうとも、根本的な住まい方は普遍的ですから当然の事ではあります。また、建築材として使える事のできる木そのものの種類にも限りがありますので、小さなモデルチェンジを繰り返しながら延命してきました。基本的なスペックは変えようがないのですが、新建材の商品の開発のスピードがめまぐるしく、それに振り回される形で木材にも『新しさ』が求められるようになっています。

CAFL8VJV設計士さんや工務店さんも、自分のデザインした空間にマッチする『これ』を決めて使われていても、しばらくすると飽きられる方もいます。これは、仕方ありません。施主さんにしてみれば、どれもほぼ初めての体験なのですが、作る方にしてみれば、日々同じ作業の繰り返しですから、常に新鮮な感覚でいるという事が難しくなります。毎日ラーメンばかり食べていれば、たまには肉も食べたくなる感覚でしょう。供給する我々も同じような欲求持つ事はあります。たまには変わった物を・・・しかし、メーカーはそういう訳にはいきません。

桧の製材工場は、桧を作り続けなければならないし、そう簡単に樹種転換が出来るものではありません。また、無垢のフローリングにしてみても、微妙なスペックの違いまでも含めれば数数百種類はありますが、実際に先方の求められる条件(価格、サイズ、国産か輸入か、産地、節の有無、仕上げ、塗装、納期などなど)を1つ1つ詰めていけば、どんどん範囲が絞られてきて、せいぜい数点になります。そこで、最終的な消去法でどれかに決めていく・・・そういうやり方をすれば、おのずと樹種は限られてしまいます。

ある程度こちらに任せていただければ、いろいろなご提案は出来ますが、条件が出れば出るほど、必然的に樹種は限られます。特に国産材に絞られるとその傾向は顕著です。ただ、1年間程度時間をもらえれば、大抵の木で作る事は可能です。適材を伐採し、製材して人工乾燥させ時間をかけて養生、そして加工すれば、変わった広葉樹といえども出来ない事はありません。しかしそのためには、ぶれのない数量やサイズ、納期の確定など条件があります。施工中に「あと1坪足りない!」には対応できませんし、余ったら返品も論外です。

20090125 カラマツ「1年間も待つの?」と思われるかもしれませんが、終の棲家に自分の気に入ったフローリングを張ろうと思ったら、たいして長い時間ではないと思います。少なくとも40~50年は森で生きた木を使おうとしているのであれば。冷静に考えれば、森にある木が伐採され、製材され板にされ乾かされ、加工されフローリングなどになるのです、1年ぐらいかかっても決して長くはないと思います。建材感覚で、工場で原料を加工して生産されていくものとは本質的に違います。同じような感覚で捕えられては、とても太刀打ちできません。

新しさを求める向上心は理解できますが、フローリングなどの製造は酒造りのように昔ながらの基本に忠実な作業こそが生命線で、そう簡単に新しいものは作れるものではありません。古い体質と思われるかもしれませんが、かたくなに1つの商品にこだわり作り続けていく会社ほど、基本スペックは変えないものです。それは、それこそが最良だと考えているからです。そう分かっていながらも、現場から降り注ぐ『新しきもの』への欲求の風に押し倒されそうにもなることもあります。日々いろいろな所からいろいろなタイプの欲求風が吹いてくるのです。




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