森のかけら | 大五木材


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かつて日本全国には沢山の立派なブナ林があったそうですが、昭和30年代から40年代頃にかけてその多くが伐採されてしまいました。その跡にはスギやヒノキの針葉樹が植林され、ブナ林は次第に姿を消していったのです。ではその当時伐採されたブナは何に利用されたのでしょうか。ブナには「ブナの立ち腐れ」とか「ブナの木一本、水一石(一石とは、およそ100升、150㎏)」という言葉があるぐらい、保水能力が高すぎるあまり腐りやすい木としても知られています。

あまりに水を保有しているため、森に立っている頃から腐ってしまうとまで揶揄されるブナは、木材の乾燥技術が未発達であった当時としては「使えない木」でした。水を多く含む木は非常に重たく扱いにくく、乾燥するまでに時間がかり、その間にも腐朽菌が繁殖して朽ちていくので、スギやヒノキなどの針葉樹と比べても価値の低い木とされ、主に生材でも使える枕木や薪炭などに使われてきました。利用価値の低さから「木では無い木」として屈辱的な『橅』という漢字があてられたほど

しかし乾燥技術が確立され、ブナを乾燥して使えるようになるとその評価は一変するのです。弾力性があって曲げにも強く、適度な硬さと重さがあり、加工もしやすく、手触りも滑らかで、色味も美白で塗装ノリもよく、実にオールマイティーな木材である事に気がついたのです。しかし残念ながら『木では無い木』という誤った評価をされていたブナは、これでもかとまでに徹底的に伐採され、しかも植林もされてこなかった事からブナは日本の森で失われてしまった存在となったのです。

ブナが大量に伐採されたもう1つの背景には『国有林生産力増強計画』、俗に『拡大造林』なる国策事業があったといわれています。今の時代ならば到底共感されない論調ですが、戦後復興で木材が不足していた時代に、全国的な物資不足の中で人知れず森で枯損していく老木を活用すべし!との論説が新聞紙上で展開されると世論の同意を得て、ブナ林などの老大木の天然林を伐採し、その跡に成長も早く汎用性も高いスギやヒノキなどの針葉樹を植えようという林業政策が実施されました。明日に続く・・・


 




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