森のかけら | 大五木材


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20141115 1 本日も『コウヤマキ』の話。古代の宮殿建築材としての役を担ったコウヤマキですが、現在では蓄材量の少なさから寺社建築に使えるような大径木を大量に揃える事はほぼ不可能に近いと思われます。コウヤマキは実に有用な木ではあるものの、その生育条件は非常にわがままで、土地が肥沃で、水はけがよく、強い日差しを嫌う『陰樹』であることから、根元に直接日光を浴びないなど、場所が限定されるうえに、成長のスピードが緩やかなのの経済林には不適とされていて、植林が進まないという事情もあります。

 

Exif_JPEG_PICTURE 私も実際にコウヤマキを手にした数や経験は少ないのですが、ちょうどこの項を書くので久々に手持ちのコウヤマキ(左、右はカヤ)を倉庫の奥から引っ張り出して軽く削ってみました。今在庫しているコウヤマキは、主に宮崎、岐阜周辺から仕入れたものですが、用材として購入したというよりは、【森のかけら】などの小物を採るため、あるいはコレクターとしての欲求から購入したもの。なので大きな節があったり割れが入っていたりしますがお構いありません。こういったコウヤマキが数本ありますが、売り物というよりは自社で使う物。

 

Exif_JPEG_PICTURE画像のコウヤマキも節まみれの芯持ち材ですが、『自ら持っている、所有している』という事実こそが大切なのです。久々にコウヤマキと対峙しましたが、埃と日焼けで薄汚れた表面をひと削りすると、懐かしい清々しい香りが蘇ります。ただその香りがヒノキクスノキのようにぶわっと香り立つというよりも、鼻を近づけ息を吸い込むと鼻の奥がツンとする感じ。もっと瑞々しい状態であれば香り方も違うのでしょうが、コウヤマキを届けてくれていた宮崎の業者も店を畳んでしまったので新規入荷は細まるばかり。

 

 

20141115 4その上から植物性オイルを塗ると、材が染み込んでより深みのある濡れ色になります。今はまだこのままですが、いずれは【森のかけら】などに割り返す予定。数年前にこのコウヤマキが一躍脚光を浴びた時期がありました。秋篠宮家に悠仁(ひさひと)様がお生まれになった時、そのお印としてこのコウヤマキが選ばれたのですが、その時ばかりは普段地味な存在の木にスポットライトが当たり、メディアでも取り上げられかなり話題となりました。しかし『陰樹』のコウヤマキにとっては少々眩しすぎる舞台だったかもしれません。
20141115 5信仰心薄きがゆえか日頃の行いが悪いのか、なかなかコウヤマキとのご縁が無くて(買う方も売る方も)、とても出口商品を探るようなレベルには無いのですが、【森のかけら】のご注文においてはかなり高い確率でコウヤマキを選ばれる方が多く、そのたびにかけらを手にしては薬草のような清々しい香りを楽しんでいます。そんなコウヤマキに触れていつも感じるのは、日本の木の文化というものの奥深さとそれを愛おしいと感じる慎み深さ。この後、高野山のご縁が続いたら、それこそ弘法大師空海様のお導き・・・!?



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