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最近、スギの足場板をそのままのラフで床材に使ったり、破風板に使うようなスギの荒板を造作や家具に使われる機会が増えていて、そういうご注文も急増しています。特に若手の設計士さんや業界に新規参入してきた異業種の方などにそのニーズが多くあります。電話だと「大きな節も個性だし、赤白の源平(色ムラ)も本物の証だから全然問題ないです〜♪」なんて殊勝な事を仰っるものの、実物を目の前にすると、節や色ムラに対する認識があまりに違いすぎてその乖離感に驚かされる事も。
そういう方がイメージされている節や色ムラなどは、あくまでも雑誌に出て来るようなワイルドな雰囲気を醸し出す恰好のいい絵になる荒々しさ。それは実物の被写体がどうであるかというよりも、もっとも絵になる角度から絵になるように撮っているのであって、ごく一部分の作られた格好よさ。ところが実物にはいいところだけの切り抜きではなくて、その裏も表もあって、硬さも温もりもあります。帯鋸で挽いただけのラフな仕上げはワイルドではあるものの触ればそげらも立てば痛い!
節にもいろいろあって、大きな節だって生きている赤身の『生き節』であればそれはそれで格好いいし絵にもなります。しかし、それは目の詰まった天然の木やしっかり手入れされた高齢木の場合であって、そういう原木から足場板や破風板のようなモノを挽く事は考えにくく、多くの場合いろいろなタイプの節が混在する事になります。『節あり材』の中でもっとも忌み嫌われるのが、完全に節そのものが抜け落ちてしまい向こうが見えてしまっている『抜け節』。しかしこれだって節!
更に、貫通こそしていないものの、ほぼ生命力を失ってしまっている『死に節』。まだかすかに息のある状態『半死に(節)』、節の一部が欠損してしまっている『欠け節』㊧、芯は生きていても乾燥に伴い芯の中心から放射状に割れが出ている『芯割れ』など、節ひとつ取ってみてもその形態は様々。「節OKです〜♪」という方の多く真意は、「死んでいたり、抜けていたり、欠けている節なんて問題外ですが、生きている節だけであれば全然OKですよ~♪」と趣旨だと思われます。
しかし実際には、天然木や高齢木で挽くわけでもなければ、そんなうまい具合に生き節ばかりが揃うわけではありません。むしろ生き節だけで揃えろと言われたら、無節の材を挽くよりもなお難しいぐらいで、当然価格だって高価になります。節有だと、魚で言う所の『赤身部分』なんだから安いんでしょうと思われるかもしれませんが、赤身にだって条件を付ければ高価になります。一般の方が「節有材で」、という場合にはまずこの認識の溝を埋めておくことが賢明なのです。
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