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愛媛県を代表する伝統工芸品のひとつに『砥部焼(とべやき)』があります。文字通り愛媛県砥部町を中心に作られている陶磁器です。その起源は江戸時代中期とされていますが、背後の山から良質な陶石と薪が豊富に産出されたことから、藩の庇護も受けてこの地で砥部焼が盛んになったそうです。愛媛県の指定無形部家財ともなっており、愛媛の家庭ではどの家にも砥部焼の器が少なくともひとつやふたつはあるほど日常生活にも溶け込んでいます。そんな砥部焼のお店とのご縁のお話し。
お得意先のワンズ㈱さんで新居を建築されたのが、こちらの『森陶房』さん。『えひめイズム』や『おとなの部活動』などを通じて、木材・建築以外の異業種の方々との交流らコラボも急激に増えているのですが、地元の伝統工芸というカテゴリーでは必ず繋がる砥部焼。ふだん使いの食器や花器など日用工芸品としての色合いの強い砥部焼ですが、その中でも独立して窯を開かれたり、女流作家さんも増えて、伝統やら歴史のしがらみの多い業界の中で新たな展開が起きているようです。
砥部焼というと、白磁に藍の呉須というのが主流でしたが、森陶房さんのギャラリーには多彩な色遣いのカラフルな砥部焼が展示されていました。スギウラ工房さんで初めて見たのですが、色合い豊かな砥部焼は、モザイク柄フェチの琴線に触れます。砥部焼に関わらず、地元の伝統産業というと長男が後継するというのが主流で、地元で生まれて小さな頃から将来は後継者になるのだと周囲からも期待(洗脳)され、その道を究めるがゆえに伝統や歴史に縛られどうしても視野が狭くなりがち。
地域の伝統産業を生業とされている方の作品の中で、従来のモノとは随分毛色が違うなと感じたものの多くは、作り手の方が地元出身者の方でなかったり、配偶者の方が県外の方であったりと、外から愛媛を見られてその素材の良さや魅力の押し出し方の物足りなさを感じておられるケースが多いように感じます。これは砥部焼に関してだけのことではなく、地元密着型の材木屋という仕事についても言えること。近くに居すぎると木の根元の方だけしか見えず、梢を見るには離れることも大事。
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