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そう解釈すれば、今まで具合が悪かった問題がすべて理由付きで説明がつくのです。詳しくは是非本書を読んでいただきたいのですが、今まで多くの歴史家が、権威にいかに盲目であったかということと、ウルトラC級の想像力説明ではなく、そこに人と人がいるからこそ起きる摩擦の丹念な記録の読み込みにこだわった検証主義の生み出した揺るぎない新説。個人的にはなぜ信長の最後の言葉「是非に及ばず」を誰が聞いて誰が伝えたのかの答えが分かっただけでも満足だったのですが。
これが本能寺の変の真実だったとしても、歴史の定説が塗り替えられることはないでしょう、今のところは。しかし、私たちが学生時代に教わった歴史の定説が、息子や娘たちの習う歴史の授業では、既に書き換えられているものも少なくありません。例えば肖像画。有名なところでは、西郷隆盛や武田信玄、足利尊氏、源頼朝などの肖像画が別の人物だったと判明しています。西郷隆盛といえば、あの太い眉毛と大きな瞳を思い浮かべる人がほとんどだと思うのですが、実はあれは想像画。
あの自画像が描かれたのは西郷没後のことで、実際に面識もなかったイタリア人画家が想像をもとに描いたものということで、有名な上野駅の犬を連れた銅像の除幕式に招かれた未亡人が、「全然似ていない」と語ったとも。その真偽は定かでないものの、子供の頃に植え込まれたイメージは強烈で、西郷隆盛からイメージされるすべてのモノの根底にはあの姿があって、突然それは間違っていましたと言われても切り替えることなど出来ません。あの顔あってこその西郷さんなのです。
洋の東西を問わず、歴史は勝者によって書き直されてきたものですが、世界中で歴史上の出来事が近年の研究で史実が塗り替えされています。本能寺の変のように400年以上も前の出来事の真実が暴かれるような事は、当事者の子孫が生き残っていて膨大な史料を紐解くという先祖の復権活動のような思いでもなければ実現しないもの。真実は、その事が暴露されると都合が悪い人やその関係者たちが生きている間は、決して明かされる事がないと言われますが現代ではその定説も覆されつつあります。
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