森のかけら | 大五木材


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生前の椋鳩十氏本人から聞き書きしたという明治図書の『椋鳩十のすべて』によると、「山に住んで木製の日用器具をを作る木地屋を主題に書こうと思っていたから、木地屋にちなんで椋という姓をつけた。平安期以来、木地屋の総本家は小椋(おぐら)と名乗ってきたが、椋(くら)を「むく」と読ませたわけだ。名前の『鳩十』は、椋の木には鳩が十羽ぐらいとまるだろうという程度のいい加減なことで・・・」らしい。ただしそのペンネームをつけるのに一か月も悩んだともあるので、相当に思いの込められたもののようです。

子どもの頃はよく読んだものの、タイトルや中身まで覚えてなくてそのインパクトのある名前の方が記憶に残ったわけで、それはある意味のマーケティング戦略であったかもしれません。名前の由来は分かったものの、それでまたまた気になることが。「木地屋の総本家は小椋と名乗ってきた」という一節。それは木地師はムクノキ(椋木)を使っていたということを意味するのではないだろうか?木地=椋というのが、ピンとこなかったのですが、これまた調べてみなければ、と文献を紐解けば興味深い事実が分かりました。

まず『ムク』という和名は老木になると樹皮がパリパリと剥がれることに由来しているとされます。学名の種小名aspera(アスペラ)は「ザラザラした」とか「粗面」を意味しているように葉面がザラザラしているので、トクサの代用として木地などの仕上げ磨きに乾燥させたムクの葉が使われました。材を磨くの用いたので木工(もく)が転化してムクになったとも。材が緻密で粘りもあることから、木地の原料にもなってでしょうが、最終的な仕上げに使われていたことで木地師にとってはより重要な特別な木だったのでは。

そこから木地師は小椋と名乗るようになったのではないでしょうか。推論の域を出ていないので機会があればもっと調べてみたいと思います。それとは別にムクノキの名前の由来とされるのが、ムクドリがこの実を好んで食べるから。つまり『ムクドリの好きな木=ムクノキ』という説。しかしそうなると、ムクノキよりもムクドリの命名が先である必要があるのですが、鳥の名前の由来までとなるとさすがに畑違いなのでここでは「剥く説」を支持しておきます。使ったことはほとんどないムクノキですが、かなり興味が湧いてきましたぞ~!




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