森のかけら | 大五木材


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先日、埃をかぶって樹種が分からないほど汚れた木が『ウェンジ』だっという事でしたが、そのウェンジについてはかつてこのブログで『黒い縞を持つブラックビューティー』としてご紹介しました。かつて『適材適所』でも取り上げたのですが(右)、ブログで5回に分けて書いたのは、その原稿に加筆して詳しく解説したものでした。褐色の縞柄が美しいアフリカ産の褐色の広葉樹・ウェンジの特徴については『今日のかけら』をご覧いただければと思いますが、本日はそれ以外の事でウェンジに関する話。その際にもこのウェンジが、世界三大唐木と呼ばれる『紫檀・黒檀・鉄刀木(シタン・コクタン・タガヤサン)の鉄刀木(タガヤサン)に材質や色調、雰囲気がよく似ていることから、その鉄刀木の代用品に使われているという事に触れました。

四国の徳島県は昔から唐木仏壇の製作が盛んで、江戸時代からの歴史を有する大阪の唐木仏壇の技術が伝わり、元来より家具作りが地場産業であった徳島で更に発展したものだそうです。そのため徳島には唐木が集まっていて、昔から徳島の木材業者が唐木を積んで松山にも営業に来ていました。そのお陰で若い頃から唐木を目にする機会が多く、いろいろな『銘木』と呼ばれる唐木も拝見させていただきました。中でも私が個人的に好きだったのは鉄刀木。「タガヤサン」という不思議な名前とその複雑濃厚な木目に虜になりました。

今から30年、いや40年ほど前には唐木工芸の収集ブームがあって、どこの家にも『紫檀・黒檀・鉄刀木』製の坪やら器やら何かしらのオブジェが鎮座ましましていたものです。今の若い人からすれば、何がいいのか分からないと思われるかもしれませんが、私の父親の世代の嗜好品の選択肢のひとつとして「木のモノ」は確固たる地位を築いていたのです。高度経済成長を猛烈に駆け抜けたきた世代のひとにとって、嗜好品のチョイスすらも「ひとに負けてなるモノか」的な意識が働いて、競って唐木製品を買い求めたのです。

そういう流れを個性が無いとか、横並び意識が強すぎるとか、自分の価値観が無い、なんて批判する人もいますが、自分の父親を見ていてそんな気持ちにはなれません。高度経済成長期に脇目もふらずに働き続けてやっとひと息ついてみたら、趣味も無く、遊びの仕方も分からず、同世代の間で話題になったモノ、嗜好品、遊びに飛びついたのかもしれませんが、それの何が悪い。個性よりも強調性を求められる時代に生き、他社と同調することでマンパワーを生み出し、奇跡の発展を遂げた父の世代にとって必然的な選択肢だったと思います。明日に続く・・・




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