森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・#033【桂/カツラ】カツラ科カツラ属・広葉樹・岩手産

今晩は『中秋の名月』という事で、家内と子供たちが作ってくれた『白玉団子』でお月見です。お月様も綺麗なまん丸でした。愛媛県ではこの時期、各地の河川敷などで『いもたき』が盛んに行われています。『いもたき』とは、その名の通り里芋や鶏肉、野菜などを大鍋で炊いて、みんなで食べるというシンプルなもので、この時期にはなくてはならない愛媛の風物詩です。工務店さんの業者会などでも、それぞれに『いもたき』が企画されるほどです。以前にテレビで紹介された時(秘密のケンミンSHOW)、出演者から大袈裟な「え~っ!」という反応を浴びていました。

他県の変わった習慣には眉をひそめることもあるのに、地元の事を言われると妙にムッと過剰に反応してしまいます。しかし冷静に考えれば、確かに妙な風習です。皆が集まりただ黙々と食べて飲むだけです。まあ、どこの風習もそんなものでしょう、お酒を飲むのに理由は要りません!実はこの月と深い関係がある樹木があります。以前にもこの事に触れましたが、『』の木です。『』は日本固有の木で、カツラ属カツラ科で英語名も『カツラツリー』といいます。その桂が月とどういう関わりがあるかというと、月には五百丈(約1500m)もの巨大な桂の木があるという伝説があります。その桂の葉っぱが茂れば月は満ち、葉が枯れ少なくなっていくごとに月も欠けていくというのです。そしてまた新たな葉が出ると、それに合わせて月も徐々に大きくなっていくのです。

桂の語源は、その材に甘い香りがすることから『香出(かづ)ら』と呼ばれた事に由来していますが、弊社に入荷する桂は、製材され人工乾燥処理された物なのでその香りは飛んでしまっていて残念です。桂は潤沢な水を必要をするため川や沢の近くに良く育つようです。愛媛の山にも桂の木はありますが、建築用の材が取れるような良質な物は揃いません。弊社が取り扱っている桂は、主に北海道産、岩手産のものです。私と桂の出会いは、以前にじっくりお話させてただきましたので省略しますが、今主に取り扱っているサイズは、カウンターサイズの耳付の1枚板片耳付きの平板の2種類です。

今や桂の1枚板でテーブルを作るというのは相当贅沢な事になりつつあります。そういう材があればあるに越した事はないでしょうが、なければ無理に大きな材を伐らずとも、幅剥ぎを使うという手もあります。右の画像は偶然手に入った豪快な桂の生きた証です!イマジネーションの湧く方、どうぞ挑戦して下さい。桂の木は栄枯盛衰を繰り返し永遠に生き続けるというロマンティックな伝説です。そのエピソードに花を添えるように、桂の葉はハートの形をしています。出来すぎたような話ですが、神々はディティールに宿ります。

細やかで繊細な日本人の観察眼が、シュールな物語を紡いでいくのだと思います。桂は成長の過程で入皮などを取り込んでしまうので、板に挽くと大きな入皮を含んでいる事もあります。入皮に部分は粘りがありそうでも、時間の経過でもろくなってバラバラになる事もあります。また、材に甘味があることから虫にも好まれるのか、虫穴も結構あります。しかしその手触りは木綿に例えられる通り、サラサラとしていつまでの触っていたくなります。それも桂という木の個性です。秋の夜空に浮かぶ満月の姿に思いを馳せてみました。




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