森のかけら | 大五木材


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バーククーヘンから木の話に戻ります。ラ・コリーナ近江八幡さんの事をスマホで検索していたら設計者が、緑や自然を大胆に取り入れた遊び心溢れるデザインで有名な藤森照信さんと知って納得。宮崎駿のアニメの世界を具現化したようななんとも言えない温かみのある空間が素晴らしい~。もっとも菓子に関係の深い木がクリ(栗)という事なので、クリの木をたっぷり使おうという事になって、至る所にクリの木を使われたそうです。そう知って改めて店内を見渡せばここにもそこにもクリ、クリ、クリ・・・。

たねやの代表にしてこのラ・コリーナを作られた山本昌仁社長はじめ、たねやのスタッフ、藤森さんたちが、直接岐阜と長野の県境の付近の山にまで入って、クリの木を選ばれたそうです。その数なんと1,000本を超えたとか!クリの木と人間の関わりは深くて、古くは青森県の三内丸山遺跡から直径1mものクリの巨木を使った大型掘立柱建物跡が発見され、縄文時代からクリを用材として利用してきたことが証明されています。当時から食用としても貴重でしたが、お菓子の素材としても欠かせません。

線路の枕木に使われるほどタフでありながら、見た目の印象はナラほど強くなく、素朴な雰囲気が漂っていて不思議な親しみを感じる木です。愛媛県は実は地味に栗の生産量は全国2位なのですが(1位は圧倒的な大差で茨城県)、素材として県外へ出荷している量が多い事もあって、地元でもあまりその事を知らない人も多いほど。なので栗の木は沢山あるにはあるのですが、あくまでも食用の栗を育てるためのもので、建築などの用材にするような大木とはそもそも目的も違います。なので栗の木というと、食べるための栗を宿した小さな低木のイメージしかありません。

初めて『栗王国・岩手』で巨大なクリの丸太を見た時はビックリしたものです。建築や家具に使うとなるとやはりある程度の大きさと素性の良さが求められるため、小さな丸太や曲がった木には目がいかなくなりがちです。ところがラ・コリーナに使われているのは、豪快に曲がったり、ねじれたり、節で凸凹していたり、癖が強いような木が、森であった姿形のまま当たり前のように使われています。通常不適とされるこれらの木が立派に、いやそういう木だからこそ相応しい場所で光り輝いている。目から鱗が落ちる思い。

その日は満席で入れませんでしたが、カステラショップ『栗百本』では、曲がりくねった木がこれでもかと使われていて、クリの木の魅力を改めて教えていただきました。今は奇異に見えても本物を使う、本物であれば時間とともに風味を増すという藤森哲学が徹底されています。今までにもクリの木はいろいろなところに沢山使ってきましたが、自分が見ていたのは、スーパーに切り身として並べられた刺身のような、調理されたクリの上っ面だけだったなあと思い知らされました。深い感動と強い反省を噛みしめながら更に中庭へと進んでいきます。まだまだ続く・・・




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