森のかけら | 大五木材


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イチイの木は愛媛の山にもあるにはあるのでしょうが、原木市場に並ぶようなサイズの丸太に出会えるような事はまず期待できません。それよりも庭の生け垣などに植栽していたけど、大きくなり過ぎたので伐採したものが造園屋さんルートで流れてくるほうが可能性が高いと思われます。愛媛ではなかなか出会う機会の無いイチイの丸太ですが、今年の春に岐阜の市場に行った時にたまたままとまった量のイチイの丸太が出品されていました。サイズは決して大きくはなかったものの、これだけまとまったイチイの丸太を見るのは初めてでした。

これが板に挽いてあったら、売る見込みはないものの勢いで買っていたかもしれません(汗)。もともとイチイはそれほど大きくならないので、建築材向きではないと言われていて、建築では主に赤身と白身のコントラストを活かして床の間の落とし掛けや床柱などに、色を添える装飾的な意味合いで使われてきました。先日書いたように、かつては高貴な位のひとの染料として使われてきた経緯があるため、「位の高い木なのだから、家の中のどこにでも使っていいものではない。家の中でもっとも大切は床の間になら使ってもよい」と考える地域もあるのだとか。まあ古い話ですが。

床柱としては私も何度か納品させていただきましたが、確かに赤身と白身のバランスが絶妙で、床の間に彩りを与えてくれました。しかし今ではそんな風情を楽しもうにも床の間はおろか和室すらない家ばかりで、建築分野ではイチイの活躍できそうな場面が無くなってしまいました。私としては、個人の家の部材としてではなく、その一位とう言葉にかけて、その地域一番の店になれますようにとの願いも込めて、商業店舗の内装などに使っていただきたいと思っています。アクセントとして赤味を添えるという程度なら大きな丸太も必要ありませんから。

例え少ない量でも軽んじずに丁寧に説明をしていくことで、木に対して関心を持っていただくことは出来ると思います。大きな量を扱ったりするとついついその事を忘れて、マテリアルとして木を見てしまいがちです。貴重な木だから大切に扱い丁寧に売るというのは勿論ですが、ありふれた木にだってそれぞれに個別の物語はあるはずです。ただの「素材」としてだけで売ってしまうなんてモッタイナイ!しっかりと骨の髄までしゃぶり尽して、語り尽して売ってこそ木の価値も高まるというもの。それこそが材木屋の腕の見せどころ、語りどころ

 




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