森のかけら | 大五木材


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毎年2月が終わる頃になると蕾が膨らみ始めて、今年こそは開花するその時をカメラに捉えようと思っているのに、今年もその瞬間を見逃してしまったコブシ(辛夷)。気がついたらすっかりその白い花を咲かせていたのですが、背景の家の白壁に溶け込んで迂闊にも開花を見過ごしてしまっていて、夕方になって辺りが薄暗くなりかけた頃に浮かび上がるような白い花に気づき、嗚呼今年も見逃してしまった。そして今年も春がやって来たと思うのです。コブシに春を教えられる何度目の春だろう。

3月の上旬から下旬にかけてたわわに白い花を咲かせ春の訪れを教えてくれることから『春を告げる木』とも呼ばれるコブシですが、この数年はこのコブシによって春を意識するようになりました。若い頃は立ち木の事にはほとんど興味がなくて、何の木がいつ頃咲くのかなんて全然気にも留めていませんでしたが、『森のかけら』の樹種数が増えるにつれ、花の開花時期にも少しは気が向くようになってきました。

立木から伐採され用材となってからの特徴され分れば、葉っぱや花びらなんてどうでもいいやなんて思っていましたが、『森のかけら』の解説文を書く際に樹種としてその木に向き合った時にその見方がいかに視野狭窄であるかを思い知らされました。用材としての側面だけで木を見る事がどれほど危険で本質を見誤る偏った考え方なのか。いやそれよりも花を愛でる心の余裕すらなかったのです。嗚呼今まで随分ともったいない事をしてきた。

今年のコブシの花は今年だけのもので、来年も咲くであろう花は別のものです。そんな当たり前のことすらもすっかり忘れてしまって、コブシを見ているつもりでコブシを見ていませんでした。そんな気持ちで今年にコブシを見ていたらどの花も愛おしい。ひと月あまりのわずかな月日の間、精一杯花を咲かせて春の訪れを教えてくれるコブシ。その花が多いとその年は豊作と聞きます。ことしは豊かな年になることを暗示するかのようなたわわな花。どうか今年は平穏に木が愛でることの出来る普通の一年になってもらいたい。

 




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