森のかけら | 大五木材


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さて、怪しい看板屋さんアートククラフトイング河野正社長のお眼鏡にかない、面白世界に連れて行っていただくことになったパプアニューギニア産の南洋材『キソケトン』ですが、オーダーに合わせて早速製材することになりました。図鑑などではその名や姿を見たことがあっても実物を目にするのも、触れるもの初めて。果たしてその正体は?図鑑とかに記述されているのは、気乾比重がどうたら、色調がどうたら、樹皮がどうたらという無機質なデータばかり。まあ図鑑というものは本来そういうものなんでしょうが。

学術的には重要なことなのでしょうが、私が知りたいのはそんな無味無臭な言葉ではなく、血沸き肉躍るような嘘のような本当の(本当のような嘘でも可!)エピソードや伝承、伝説。その木がその地でいかに活用され、時には信仰の対象として崇められたり、時には権力者の象徴となったりしたような物語です。学名や性状などの学術的データが内堀だとするなら、民間伝承や用途などは外堀。ふたつの掘りが備わることでその木は、森の中から飛び出して来て材となり我々の前に現れるのだと思います。

南洋材の中でもいわゆるM.L.Hの木たちって、『森のかけら』に活かそうと本気で考えるようになるまでは、何度その名前を聞いても覚えられませんでした。やる気の問題というよりも、外堀が無かったのでその木に現実味が乏しく頭に残りませんでした。まあ言いわけですが、なにせ似たような木ばかりで特徴が乏しいので、背景に面白いストーリーでもないと印象に残らいのです(汗)。さて、キソケトンはどうかというと・・・残念ながら今のところはこれといって目立ったエピソードは見当たりません。

かなりディープな図鑑でもステレオタイプのデータ記述しかありません。しかしこれは考え方を変えれば、キソケトンの肌感覚の特徴やエピソードをまとめあげれば、キソケトンキングになれるチャンス!やはりこういう開拓的な状況では、机上のデータでなく掌にその木のそげらが刺さって血がこぼれ落ちるような皮膚感から絞り出された「肉声」にこそ価値がある!と思っているので積極的にキソケトンに触れてみることにしましたが、まあ想像以上にやわらかく、その特徴は・・・。明日に続く




先日、金沢の(株)ムラモトさんの銘木市に行った時に思ったことですが、そこにはテーブルに使うような立派な一枚板と並んで数多くの造作材があり、綺麗に柾目の通ったスギやヒノキがズラリ。村本さんも分かってらして、「お前はそんなの興味がないやろ?」と先手を突かれます。「はい、興味ないです。」と私。4mの長さにわたり均質な幅の年輪が精緻に並び芸術品のような美しさのある美柾には、ほお~っとした気持ちにはなりますが、欲しいとは思わない。というか仕入れてもうちでは売れません。

柾目が効いた木なんてこの数年、いや10年近く仕入れてないような気がします。現場対応で数本単位なら扱ったかもしれませんが、まとまって仕入れた記憶がありません。ここで言うところの「柾目の木」というのはつまり、節が無くて目が通っていて、和室の内装などに化粧材として「現(あら)わし」で使える装飾性の高い木、鴨居や廻縁、長押という意味です。普通の耳付き板にだって柾目部分はありますが、意図して柾目が強調されるように製材された木の事です。うちの倉庫では絶滅危惧種

昔からそうだったわけではありません。私だって若い頃は柾目の木には強く惹かれましたし、そういう材を使う現場だって関わらせていただきました。むしろそういう材を求めて各地の市場に赴き、梱包で大量に仕入れていました。それがいつ頃からだったかよく覚えていませんが、和室のある住宅の減少に伴い、柾目よりも板目の木を仕入れるになってきました。よく言えば個性的ですが、悪く言えば「癖が強い木」。しかも市場ではあまり相手にされないような木に反応してしまう天邪鬼体質。

王道を行く村本さんのところでは、節のある木を探すのが難しいぐらいで、同じ材木屋でもこれほど仕入れ基準が違うのかと笑いたくなるほどでした。癖があるといっても、銘木的な価値のある木というものでもなくて、ちょっとこれは・・・なんて人がためらうような木の方に惹かれるのはもうどうしようもない性(さが)なのかも。なのでクスノキといったらこんなものばかり仕入れてしまいます。大きな節も割れも愛おしい。材木屋万流、こんな材木屋もないと多様な森を受け止めきれないのだと自分に言い聞かせ(笑)。




少し前に自宅の庭に咲いた『ヤマボウシ(山法師)』の事をアップしましたが、そのヤマボウシですが鮮やかな白い花の後に赤い果実が実りました。たぶん今までも実っていたのだと思いますが、目には映っていたものの見えてはいなかったのだと思います。それで改めてヤマボウシについて調べてみたら、果実が熟して赤くなるのは9月~10月頃とありましたが、写真を撮ったのは8月中旬でしたので今年は少し早いのかも。もっと熟してもっと赤くなるのかと思っていましたが落実するのも出てきました。

それで赤く熟れた実をいくつか収穫して実際に食してみることにしました。こんなに間近でヤマボウシの実を見たことをありませんでした。よく見るとかなり異様な形をしていて、ヤマボウシの事を知らなければ、もし森でみつけたとしても好んで食べようとは思わないでしょう。むしろ食べると危険サインを自ら発しているとさえ思えるのです。しかしヤマボウシにはビタミンやカロチン、アントシアニンなどが含まれ、滋養強壮や疲労回復などにも効能があるといわれています

そこまで分かっていても初めて口にするには少し勇気が要りました。食べ方には生食の他に乾燥させたり、ジャムやお酒にする方法もあるみたいですが今回はとりあえず生食でいただいてみました。食べ方は、よく洗って外皮を剥ぎ中身をスプーンですくって食するというお上品な食べ方も書かれていましたが、面倒なんでヘタを取ってそこを口に向けて実を押しつぶすように中身だけを口の中へ放り込みました。マンゴーのようなフルーツの味などと書かれていましたが・・・

20210903 4 実自体が小さくてタネが大きく食べられる量が少なすぎるので1個や2個食べただけでは味わう間もありません。なるほどこれなら沢山集めてジャムか酒にでも漬けないと食べ甲斐がありません。確かにフルーツのような香りと味はありましたが・・・。しかしこうして材木としてだけでなく、その実まで味わうようになってくると、端材から始まって枝の輪切り、削り粉と本当に余すとこなく1本の木を骨までしゃぶり尽しそうでなんだか自分が怖くすらあります・・・。次は『森の果実』!?




先日久し振りにお邪魔させていただいた(株)ムラモトさんの押水物流倉庫。本社のある金沢市中心分から車で40分ほど能登半島の方に向かって北上した場所にあります。今回は、弊社の『モザイクボード』を大量にお買い上げいただき金沢でも本格的販売をしていただくことになり、そのPRと増設された銘木倉庫のお披露目も兼ねて伺わせていただきました。会場に着くと入口付近には、先に紹介した『大五木材コーナー』がガッツリ作りこんであり感動~!こんなことまでしていただける材木屋がどこにあるでしょうか!勝手に『大五木材・能登営業所』を名乗らせていただきます(^^♪

従来の倉庫の隣に新たに増築されたことで、ズラリと並べられた木材のボリュームには毎度圧倒されます。このあたりは雨が多いこともあって、倉庫の外に展示できないという事情があるからこそ、これだけ大きな倉庫を持たれているのですが、雨が降れば倉庫の奥の材を出すこともできない弊社の倉庫事情を思えば雲泥の差。まあ、もし弊社にもこれだけの広い倉庫があったとて広ければ広いなりに使ってしまって結局狭いってことになりそう。どこまでいっても他人の芝生は青い(他人の倉庫は広い)・・・事実ですが。

これだけの膨大な在庫がある程度「回転」しているのがムラモトさんの凄いところ。私だったら、あれも売りたくない、これも売りたくない、これは『森のかけら』に、あれは『モザイクボード』にと売り渋って「塩漬け」になるのが目に見えています。なのでこんなに大きな倉庫を見たって、ちっとも・・・う、う、羨ましくなかかいっ!雲の大きさを心配しながらリフトを走らせるのが私にはお似合い。倉庫の広さなんて心の広さと比べてみれば・・・💦

ところで、今回の銘木市では素敵な出会いがありました。村本さんが事前に「変態が来る」なんてえらく持ち上げていただいたので、感化されわざわざ私に会いに来てくださった(嘘でも嬉しい)石川県の誇る林業女子がお二人。「もりランバー林業女子会@いしかわ」の代表・砂山亜紀子さんと石川県森林組合連合会にお勤めの岡崎早貴依さんです。SNSでの繋がりはあったものの直接お会いするのは初めて。本来はお話を伺うべきなのに、いつもの悪い癖で一方的にこちらから喋べりまくってしまいました。

ところ変われど取りなく問題は愛媛も石川も同じで、最終的には「ひと」に尽きると思います。彼女たちの話を聞いていると(少しは聞いた)、私の若い頃に同じような問題に直面したものの、愛媛木材青年協議会という組織にいたお陰で、同世代の仲間と話し、相談し、アドバイスをもらい随分と救われた事を思い出しました。独りでは抱えきれなかった事が実はそれほどたいした事じゃないと気づかせてもらったり、彼らに負けてなるかと発奮したり。

会を卒業して会おう機会は減りましたが、今でもそしてこれからも変わりない絆で結ばれて先輩・仲間です。たまたま私の年齢の前後2歳ぐらいの間に7,8人も同世代の仲間がいて、本当に恵まれていたと思います。最近の若い方の話を聞いて思うのは、個人軍で孤軍奮闘されている方が多いこと。ますます人数が減っていく木材業界なので地域の中で仲間を見つけづらい状況ですが、地域を超え、世代を超え、性別を超え、連携が出来ればもっともっと木の仕事は面白くなると思います!私は今でも十分に面白いですけど(^^♪




昨日、肉桂(ニッケイ)の板が入荷しました。材そのものよりもその香り(シナモン)の方が有名な木で、シナモンは知っていてもその木を見た人は少ないかもしれません。私はたまたま若い頃にニッケイの木に出会って、もの珍しさで買っていました。シナモンの香りに期待しての事でしたが、残念ながらその香りが得られるのは樹皮の裏側部分のみで、材そのものからシナモンの香りが発せられるわけではありません。それでもご来店されたお客さんに、樹皮を渡して匂いから何の木か連想してもらうなど弊社にとっては貢献度の高い木のひとつです。

ニッケイの樹皮は乾燥すると硬くなって剥がれやすくなります。私は板の状態で乾いたものしか知りませんが、板チョコの割れのような筋が収縮によって勝手に割れて、剥がすというよりもペキッて折る感じで剥がせます。乾燥が甘いとなかなか粘りがありますが、乾ききると簡単に取れます。在庫しているニッケイは、ひとに匂いを嗅いでもらいうとそれを繰り返しすぎてすっかり樹皮が無くなってしまいました。それでニッケイあれば確保しておきたいと思っていたので、今回ある程度のニッケイを得れたのはとてもありがたい!

しかも樹皮もいい感じに取りやすそうです。このニッケイは岐阜の市場で仕入れたものですが、その日の市には仕事の都合で参加出来なかったので、「秘技遠隔操作競り」で金沢の村本さん競り落としてもらいました。材は村本さんの他の木材と共に一旦金沢に持ち帰ってもらい、改めて愛媛に配送してもらうのですが、それに先んじて金沢から謎の小包が到着!開封してみるとそこにはビニール袋に入れられたニッケイの樹皮。荷卸ししてたらその辺に落ちてたので、きっとお前は欲しいやろうと思ってので拾い集めて送ったと。すべてお見通し、ありがたし!!

材はまだそこまで乾ききっていませんが、少し触るだけで樹皮はポロポロ剥がれ落ちます。これは見過ごせん!そこからニッケイの樹皮剥がし&採集が始まったのですが、これが終わりの見えない戦いに突入!乾燥機に入れるための桟積みを兼ねて採集するのですが、途中からはどちらが主目的は分からなくなり、作業は停滞。2時間ほどかけてこれぐらい収集。残りはお客さんへのプレゼン用に残しといてやるか、と負け惜しみを残して終了。さあこれをどう生かすか?!とりあえあず水に浸してニッケ水を作ってみよう(^^♪




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