森のかけら | 大五木材


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 ★今日のかけら・#114 【山桑/ヤマグワ クワ科クワ属・広葉樹・四国産

20101013 蚕のものだけではない桑①

20101013 蚕のものだけではない桑②先週末、伊予市のエミフルMASAKIで『えひめ職業技能フェア ~安全・安心を支える匠の技~』が開催されて、愛媛木青協の木工広場などでいつもお世話になっている前田清幸さんの作品も展示されていました。【】の木で造った大きなオブジェ。その形は木魚のようにも、貝のようにも、楽器のようにも見えます。そのフォルムと桑の優しい杢目が一体となって不思議な造形美を醸しだしていました。のように派手でもなく、のように華美でもないけれど、桑には何ともいえない和らぎと落ち着きがあります。

20101013 蚕のものだけではない桑③この作品の素材の桑自体は決して銘木という訳ではありませんが、前田さん遊び心満点で随所に瓢箪の契りやきのこが顔を覗かせています。くっきりしていながらもどこか温かみの漂う木目が親しみを感じさせます。この曲線がなんともいえません。対比がないので分かりにくいのですが、大人が両手を拡げて抱えて持つのがやっとというぐらのサイズ。巨大な二枚貝のような趣きでしょうか。巨人のキャッチャーミットと言った方が感覚的には分かり易いかも。

 

20101013 蚕のものだけではない桑④その桑の葉は大きな切れ込みのあるものと無いものがあり、切れ込みのあるものは分かりやすいです。このあたりでも稀に桑の木は出材される事がありますが、そのほとんどが3~5m程度の小径木です。過日、そういうサイズの桑を購入し製材して現在乾燥中です。製材後かなり圧を掛けて置かないと反り、ねじれが出ます。右画像の桑は、枝の部分ですがこれで直径200~250㎜程度の物です。木が小さいと癖が強く、せいぜい【森のかけら】に使える程度です。しかし小さな材といえども、その特徴は顕著で、小口を覗くとその独特の杢は、ひと目で桑を見分けられます。立ち木の状態での大きな桑にはなかなかお目にかかれませんが、フランスでは、「アーモンドの木になるより桑の木になれ」という諺があるそうです。アーモンドの花は早春に開花するため霜の害を受けやすいのに対して、桑は霜の心配のない4月下旬に開花する事から、時を知る桑の賢さを讃えています。

 

20101013 蚕のものだけではない桑⑤桑といえば一般的には自生する【山桑】を指していますが、日本全国で主に養蚕用に幅広く栽培されています。そもそもの和名も、カイコ(蚕)が食べる葉=食葉(くは、あるいは蚕葉(くは)から転じた物であるとされています。日本での養蚕の歴史は古く、日本書紀や万葉集にも桑が登場するなど、古代から養蚕は全国に普及したため、方言も少なく【】の名称で浸透しているようです。その学名は『Morus bombycis/モルス・ボンビキス』です。属名のモルスはラテン語でこの木の古名、種名のボンビギスは「蚕の」という意味です。つまりそれぐらい養蚕とは深い関わりがあるという事です。英名は『Japanese Mulberry/ジャパニーズ・マルベリー』。桑の葉は養蚕や飼料、果実や根皮は薬用、漢方薬など一見地味な桑ですが実に有用な木なのです。折角なので桑の話、もう少しだけ続きます。




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