森のかけら | 大五木材


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昨日に続いて、『えひめ情熱人』での例え話の説明です。私が就職した頃と比べると木材の流通は大きく変貌しました。それまでは木材屋が木材市場などから木材を仕入れてストックし、必要な量を大工さんや工務店さんの作業場に収めていました。そうすることで材木屋のダム機能や細かなデリバリーという存在意義が発揮できたのです。また倉庫に材を見にきて、棟梁が気に入った木を選ぶという「目利き」をする場所でもあったのです。当然そういう感じですから、仕事のペースものんびりしたものでした。

それから20数年、四国にも本州とつながる3本の橋が架かり、物流も飛躍的にスムーズになり、全国各地からさまざまなブランドの木材が流れ込んでくるようになりました。プレカット化も急激に進み、住宅に関する考え方も大きく変わっていきました。今まで手の届かなかった商材が大量に流入し、選択肢が増えたりデリバリーが便利になると、それまであまり走っていなかった道路にも荷物も満載した大型トラックが猛スピードで時間を競うように走るようになりました。早く大量に届ける事がサービスとして強く求められるようになったのです。

そんな中、パワステもナビもついていないオンボロの弊社のトラックも、猛スピードで行き交う大型トラックの風圧に耐えながら、負けてなるものかとアクセル全開でその隙間を走っておりました。その道を走るしか他に目的地に辿り着く道を知らなかったからです。苦しくても、車が壊れそうでもそうするしかないと思っていたからです。車も体も悲鳴をあげていましたが、留まることは死を意味します。そのうちますますスピードは増していつの間にか高速道路に!もはや弊社のような小型車はいつ事故をしてもおかしくないような状況。

そんな苦しい状況の中で、ふと目に入ったのが高速道路の下に見える小さな田んぼのあぜ道。そこにはまるでストップモーションのような光景がありました。のんびりとリヤカーを引きながら雑談をする人々、季節を彩る野花、小川のせせらぎ、風の音・・・。すると、並走していた同じような規模の車が降り口へ向かうのですが、その時に見えるドライバーや同乗者のなんと楽しそうなこと!それまで仕事は苦しいものだ、だからこそやり甲斐があるのだという『労働は美徳』という昭和意識の強かった私には衝撃的!続く・・・




何かに例えた話の意味を説明するって非常に恥ずかしいことなんですが、よく分からないという友人がいるので、敢えて説明するのですが、冒頭から一体何の話をしているのかというと、南海放送テレビで放送された『えひめ情熱人』の事。約3分の番組にも関わらず、調子に乗って取材で2時間ほど喋り捲って、結果番組史上初の4回放送になってしまったわけですが、ディレクターの伊東英朗さんが林業の町・久万高原町出身で木の事に精通されていらしたので、細かな説明なしについ踏み込んだ話になってしまいました。

木材とはまったく無縁の仕事をしている同郷の友人達が意味がよく分からんと言っていたのは、2回目の放送で、「高速道路を降りて田んぼのあぜ道を行く」というフレーズ。それぐらい分かれよっ!って思うのですが、この収録は伊藤さんと受け答えをする形で、ずっと気の仕事の話をしていてその流れの中で出てきた言葉です。伊東さんが木の事をよくご存じだったので、目の前にいる伊東さんに話しかけるつもりで喋っちゃったので、木材業界の状況を分からない方にはちょっと説明足らずだったかもしれません。

と言いながら例え話を解説するもの恥ずかしいのですが・・・現状の木材業界は、住宅に関していえばプレカットといって、木材を工場で全自動の機械で加工するというのが全国的な主流です。勿論手刻みといって昔ながらに大工さんが手で加工するケースもありますが、職人不足や工期短縮等の理由によりかなりレアなケースとなっています。工場で機械が加工するため、木材の精度が厳しき求められるようになり、曲がった木を曲がったなりに使うとか、木味を活かして使うなんて職人技は必要なくなりました。

そういうプレカット工場が求めるのはいかに製品精度が高くて(寸法がキッチリ揃っている乾燥材)必要数量を適時に必要量だけ供給し、しかも価格がリーズナブルである木材。つまり大型工場で大量に作られた木材をいかにスピーディに廉価で供給できるかということ。そうなれば我々のような零細材木屋の存在意義はなくなります。それでもプレカット黎明期は、まだ流通形態が安定しないかで、走り回っていたものの、パイが大きくなるにつれ流通は大型製材工場とプレカット工場がダイレクトでするようになっていきます。続く・・・




昨日、『えひめ情熱人』の取材を受けた話をアップしましたが、その後同番組の担当ディレクター・伊東英朗さんからご連絡があって、なんと当番組史上初の4週連続放送に決定したと!なんという無謀!伊東ディレクターのご乱心!としか思えませんが、下駄を預けた身としてはまな板の上の鯛、いや『まな板の上の雑魚』の心境ですので、いかようにもおさばき下さい。ご乱心といえば思い出すのは、映画『柳生一族の陰謀』の衝撃的なラストシーン。萬屋錦之介が歌舞伎口調で叫ぶ「夢でござ〜る!」の言葉、まさに悪夢?!

現在の放送予定日程は、各回とも火曜日の21時54分からの放送で、第1回が7月25日第2回が8月1日、第3回が8月8日、第4回が8月15日。第2回から第4回はあくまで予定なので変更の可能性ありとの事。弊社の月間通信『適材適所』からこのブログまで20数年にわたり、日々自分を見つめ直す作業を繰り返してきたお陰で、木の仕事に対する自分のスタンスとか、取り組む気持ち、ものづくりの姿勢などについては自分なりに固めてきたつもりなのですが、伊東さんの意地悪な質問(笑)で改めて考えさせられる事がありました。

不惑の歳はとっくに過ぎているのにまだまだ邪心が多くて心が定まりません。まあ定まらないからこそ面白いのではありますが。それで質問に答える形で自問自答しながら延々と喋ってしまったことが、4週連続放送につながったわけですから万事塞翁が馬。植林美談など枝葉の表層だけでなく「幹」の部分もしっかり取り上げて下さいね、なんてメディア批判のような失礼な事をのたまってしまったのですが、好意的に受け止めていただいた模様。もはや伊東ディレクター、底なし沼に片足を突っ込んでしまった様子。

それについてはご本人も「望むところだ」ということだったので、どうやら同族のようです。今回は短い番組だと分かっていたので、具体的な商品については説明できていないのですが、それぞれの商品の背景の物語についても伊東さんは興味を示していただいたので、そういう秘められたエピソード(秘めているわけではないが)などについてもメディアでご紹介できる機会があればありがたいです。マニアックなマイノリティも一定数いればそこに市場が生まれます。けもの道も極めればそこに拾う神あり!




私の場合は、山の川上(林業)というよりも川下の加工や出口の話だったのですが、メディアで木の事が取り上げられるととかくいつどこで誰々がどれだけの木を植えたという「植林美談」ばかりが切り取れらる紋切り型の話になりがちなのですが、あくまでそこは入口。そこから始まる木材界の話がそこで終わってしまっている事が多く感じます。メディアとしては取り上げやすい切り口なのだと思うし、業界話には深入りしたくも興味もないのかもしれませんが、それじゃあ木を見て森を見ないと同じこと。


林業従事者が減っただの、台風等の災害で山林災害が増えただの表層だけを切り取られるけど、なぜそういう事になっているのか、なぜ林業が衰退しつつあるのか、森の出口(建築資材や木工製品)は都会の入口(消費地、消費者)につながっているのに、どうすれば新たな需要が作れるのか、それに対する行政の取り組みなど,決して華のあるような楽しい話ばかりではありませんが、そういうまさに根っこの部分をしっかり取材してこそ、目に見える幹や葉の事もよく理解できるのではないかと思うのです。

日頃から感じていて鬱積していた思いが、『受け止めてくださる人(伊東さん)』現れたことで噴出して、伊東さんの問いに対する答えを越えてあれこれ言いたいことを喋ってしまったのですが、伊東さんにはいつか是非木材について深く掘り下げた番組も作っていただきたいと思います。木の仕事に携わる人間はつい、「世の中に本質的に木が嫌いな人はいない」という言葉に逃げてしまいがちというか、私もそうですが拠り所にしている部分があると思います。それは悪いとは思わないものの、そこにすがっていても仕方がない。


嫌いでこそないものの好きでもない。無理矢理に好きになって欲しいとは思わないものの、今まで知らなかったことや考えたこともなかった木の凄みや能力、背景のエピソード、暮らしの中にいきづく木の文化などを知ってもらって、少しでも木の事が好きになってもらって、身近なところで木のものを使っていただけたら嬉しいし、それこそが材木屋の使命であり本懐だと思うのです。当日はまだまだ言葉足らずで(!)本意が伝わったか心配ですが、ご興味ある方は725日の21時54分からの放送ご覧下さい。怖いもの見たさ・・・

お知らせ
南海放送テレビで放映中の『えひめ情熱人』番組ディレクター伊東英朗さんが番組出演者の中から改めて話を聞いてみたいゲストをお招きしての公開対談 「Theトークショー」の記念すべき第一回のゲストは津軽三味線奏者の堀尾泰磨さん。日時:7月28日(金)開場19:00 開演19:30 料金:¥1,000(別途ドリンク代 ¥500) 会場:B家 松山市春日町13-9 春日ビル3F 定員30名:予約先着順となります。
ご予約は→http://reserva.be/kasgab




地元ローカルの南海放送で、毎週火曜日の21時54分から放送の『えひめ情熱人』という番組があります。『毎週、愛媛の情熱人が登場!情熱人の言葉から元気をもらおう!』という番組で、文字通りえひめで情熱を持ってひたむきに頑張っている人たちが、それぞれの人生観を語るという内容です。ギャラクシー賞 報道活動部門大賞など数々の賞に輝く、映画「放射線を浴びたX年後」の監督で知られる伊東英朗さんがディレクターを務められている番組ですが、伊東さんの目が曇ったのか(?)こんな私にもお声がかかりました。

私のようなけもの道を歩むような人間がおこがましい・・・なんて思慮深さなんて到底あるはずもなく二つ返事でお引き受けいたしました。杉浦綾帽子千秋林豊など『えひめのあるくらし』の仲間たちや友人たちも多く出演している番組です。5分程度の短い番組なのでと、聞いてはいたものの、彼らに負けてなるものかと喋りと倒して撮影は3時間近くにも及びました。伊東さんは既におなか一杯だったと思いますが、こちらとしてはあと2,3時間はいけました。

伊東さんが久万高原町出身で、身内の方にも林業で生計を立てていらっしゃる方がいるとかで、現在の愛媛の林業の事もよく分かっていらっしゃったこともあり、話がいろいろ脱線したり飛躍もしたのですが、こういう取材などでも山の事の知識がある方とお話しすると話が広がります。中には、「木の事や山の事はまったくの素人なんですが・・・」と挨拶されて取材に来る方もいらっしゃいます。あまりその部分を深く掘り下げてもらっても困るのでという社交辞令の意味合いもあるのかもしれませんが、いい気はしません。

嘘でも少しは山の事や森の事を調べたり勉強したりして来ないと、言葉が響かないし、言葉の意図するところさえ分からないじゃないかと思うのです。そんなもん表面だけの浅い話にしかならないじゃないかと初めから気持ちが折れることもあったりするのですが、伊東さんは山の事もよくご存じで、その状況にも憂いて危機感をお持ちだったので、こちらとしてもとっても気持ちよく(もしかしてこちらだけなのかもしれませんが)お話しさせていただきました。また伊東さんも聞き上手で色々引き出し開けていただきました。続く・・・




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