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心配された台風も逸れて雨もすっかり上がった市場の中で、館長こと村本社長と下見開始。残念ながら都合で明日の市日本番には参加できないため(この日の最終便で帰らなければならいよんどころない事情があるので)、めぼしいと思う材を細かくチェック。自分で値踏みして落札希望の価格をメモっていきます。市は早朝から始まり、セリの順番は木に書いてある番号順なので、1番から順に材を見ていくのですが、この辺りは小幅で価格も手頃な私好みの木が並びます。
一緒に1番から順に材を始めたのに、大物狙いの村本さんはドンドン進んでその姿は随分遠くへ。仲良く一緒に市場に来たからと言っても、当然ながら狙いが同じというわけではありません。まあ一部の材は被る事があっても、基本的に小物で多品種狙いの私とはチェックポイントが違ってもいますが、材木屋にはそれぞれに仕入の判断基準があって、サイズを優先してとにかく希望サイズ以外には無関心な人、樹種を絞り込んでいてその樹種だけ限定して仕入れる人などさまざま。
私は基本的には小物狙いですが、お気に入りの材があればテーブルサイズも買いますし、圧倒的に広葉樹狙いですが、稀には針葉樹にも手を出します。お気に入りの材があればテーブルサイズも買い。国産材でも外材でも躊躇はありませんし、大きな傷があろうが、ザックリ割れが入っていようが、私の物差しでレアな樹種であれば買います。『森のりんご』や『モザイクボード』をはじめ、細かく割って使う出口はいろいろと取り揃えているつもりですので、最終的にはかなり小さな材までガッツリ料理する事が出来ますので。
また材を値踏みするスピードも個人差があって、いくらぐらいなものかと腕組みして悩む人もいれば、直感でこれ以上の値段ならいらない、とボーダーラインをキッチリ決めていて、サクサク値付けしていく方もいます。市場の近くにいてしょっちゅう顔を出せる人ならいざ知らず、遠くは愛媛からの参加者としては、折角来たからには運賃分が浮くぐらいは買わないとわざわざ来た意味も無いので、ダボハゼのように何にでも喰いついて、欲しい材については価格も迷う迷う・・・。
そう、金沢ナンバーの車は『館長』こと(株)ムラモトの村本喜義社長。翌日が各務原の平野木材の市日という事で、本日は午後から市の下見に行くのですが、一緒に行く予定だったはずが急遽仕事で下見に来れなくなった大阪の橘明夫君の機転で、金沢から南下される村本さんの車に同乗させていただく事になりました。これも全国木材ネットワークの恩恵!実はこの日は、関東に記録的な被害をもたらした台風18号が中部地方にも上陸するという情報が入っていて天気が心配だったのですが、
予想通りの進路だと帰りの飛行機も飛ばないのではないかと心配もしていたのですが、コースが予想よりも東に逸れて、このあたりは風こそやや強かったものの、激しい雨が降るという事もありませんでした。郡上八幡から各務原に向かう道中、村本さんとはずっとあれこれ木の話。能登ヒバのこと、金沢の事、広葉樹の事・・・・実はこういう時間って、なかなか取れるようで取れないもの。お互い木青協に所属していたのですが、現役の頃は接点が無くてこういう機会もありませんでした。
たっぷり木材談義を堪能した頃、車は平野木材に到着。その頃にはすっかり雨も上がり、まだ空は黒い雲に覆われていたものの、土砂降りの中の下見は回避できました。天気の事もあってか、まだ下見の人影もほとんどありませんでしたが、早速村元さんとふたりで下見開始。生憎今日の最終便で松山に帰らなければならないので、明日の市日にやって来る橘君に『買いつなぎ』してもらわないといけないので、慎重に材を吟味し、買いそびれのないように大胆に値段をつけていきます。
広い土場にズラリと並んだ木材を1つ1つ見ながら、それぞれが欲する材をチェックしていくのでうが、愛媛と金沢と遠く離れてはいても、向いているベクトルはほぼ同じなので、実は狙っている材がかぶることは多々あります。「これ、いくらぐらいで値踏みしてます?」と探り合いはするものの、私の場合最終的な買いの判断は、相場というより、自社にとって何が必要で、どれぐらいの値段で売る自信があるかという事。そういう事なので、あれも必要、これも必要・・・・汗。
さてサンプル体験をしてしばらくの間、郡上八幡駅である方をお待ちしていました。すると駅の待合で椅子に座って次の電車を待っていた地元のお婆さんが声をかけてきてくれました。どちらから?と訊かれたので、愛媛ですと答えたのですが、なぜか姫路に聞えたようで、「この前立派な白いお城が完成した所よね〜」。すぐに訂正して、しばらくは和やかに話を続けていましたが、また「姫路は行ったことがないから」と。この辺りからだと、四国の4県どころか姫路も愛媛も一緒くたなのかも?
愛媛に住んでいれば岐阜や郡上の位置関係もままならないのと同じことでしょうが、お婆さんに愛媛といえば何か思い浮かびますかと尋ねたら、速攻でミカン以外は思い当たらないと・・・。その地域と何の関わりも無い方にそこをイメージするものが1つでもあるのが凄いのか、1つしかないのが悲しいのか複雑な気持ちに。更に「愛媛から何しにこんな所まで?」と訊かれたので、「各務原の市場に木を買いに行く途中」と答えると、四国にも沢山木はあるのに・・・と。
冬になると駅の周辺ですら膝上まで雪が積もるのに、こんな所まで木を買いに来るなんてとんだ物好きみたいな事を言われて、ハッと我が身を見渡せば、チノパンにTシャツというおよそ材木屋らしからぬ姿に、木工作家か何かと勘違いされたかなと・・・。そこで電車が来たので、お婆さんに別れを告げました。まだ少し時間があったので駅に併設してある、国鉄時代に実際に使用されていた鉄道関係の器具などが展示された『ふるさとの鉄道館』というミニ資料館を覗いてみると、
そこにはかつて栄華を誇ったであろう駅の輝かしい歴史の一端が誇らしく飾られていました。駅舎そのものも、今では懐かしい木造でしたが、この辺りはかつて客はもとより奥美濃の豊富な木材の搬出や物資の輸送にも大きな役割を果たしたそうです。全国に名高いブランドである『東濃桧』は、このこの近くで産出され、中京圏などに供給されてきたそうですが、この郡上駅もその一端を担ったのでしょう。感慨深く資料館を見学していると、そこに金沢ナンバーの車が一台!明日に続く・・・
明夫君の作業場から少し移動して、ご自宅の傍らにあるもうひとつの材料置き場で材を物色。所狭しとクリを中心とした広葉樹がズラリと並べられてありました。もっと大きな倉庫があればと明夫君は言っておりましたが、地代の高い大阪の町の真ん中で、いつ売れるとも分からない回転率の悪い銘木を寝かせるなんて事は、一般の感覚からすると無謀なことのように思われるのでしょう。確かに今どきですから、自分の所にすべて構えてなくても業者間の横のつながりで、それなりに急ぎの材も確保できるもの。
ですが、それでも材木人としては、やはり自分の手元に材を置いておき、木目や色合い、質感、乾燥具合など自らの皮膚感覚で確認してお客さんにお伝えしたいと思うもの。なんでもかんでもすべてネットだけでは伝わらないのが、木という素材の特徴。それを不便だ、面倒だとネガティブに捉えられる方もいらっしゃいますが、それがあるからこそ木の様子を分かりやすい言語に変換して、一般の方にも噛み砕いてご説明できる小売りの材木屋の存在意義が生まれてくるのだと思うのです。
私は鳥谷選手(背番号1)に、明夫君は上本選手(背番号4)に着替え、今にも降り出しそうなどんよりした雲とにらめっこしながら、明夫君の車で一路甲子園球場へ!長期天気予報では雲~雨となっていて前日は雨で中止になりましたが、夜のうちにはすっかり雨も上がり、お陰で阪神はメッセンジャーがスライド登板。中止も覚悟の上でチケットを購入していて、最悪5回ぐらいまで持てばいいと思っていましたが、気持ちのいい風を浴びながらの最高の野球観戦日和となったのでした。
球場では連絡をとっておいた奈良県桜井市の泉谷木材商店の泉谷繁樹さん(中央)、兵庫県神戸市の西田木材の西田昇二君(右端)と合流。奇しくも愛媛・大阪・兵庫・奈良の4県の4人の材木屋が集まる事に。どういうわけか私の周辺の材木仲間には阪神ファンが多くて、仕事と趣味を絡ませ合いながら楽しませていただいています。関西圏の結びつきが強いので必然的にその傾向が強くなるのでしょうが、木であれ野球であれ共有できる「感性」があるというのは大切というところでプレーボール!
社歴が長いという事は伊達ではないという事を明夫君を見ていて感じます。100年も続く日本でも希少な名栗専門店の矜持というものが、話をしているときにちょいちょいと言葉の端々に現れます。ベンチャービジネスなどでどんなに大きな会社に急成長しようとも、社歴だけはどの会社にも平等で毎年1年ずつしか刻めません。材木屋はその仕事の性質からも、100年を超える企業も珍しくない長寿産業ではありますが、だからといっていつまでもかつて栄華を誇ったビジネススタイルが通用するほど甘い世界ではありません。
特に住宅着工数が劇的に減少した昨今、木材産業の危機が悲壮感を帯びて声高に叫ばれるようになりましたが、そんな事は日本が少子化を迎えたずっと前から分かり切っていたこと。家が建たなくなれば、それに伴って住宅部材の供給が減っていくのは当然の流れ。これからも消費税増税の反動のような多少のプチバブルはあるかもしれませんが、大きな視点で見れば住宅着工数は減少の一途でしょう。そういう環境で材木屋はどうやって生き残っていくか、特に我々のような零細業者には行政の庇護などあり得ません。
自分の道は自分で切り拓いていくしかないのです。それを後々ひとは先見の明があったとか、時流にうまく乗ったとか言いますが、当事者は今を生きていくのに必死でそんな高邁な理念は後付けの事が多いもの。自分が気に入った材を仕入れて、自分が信じるものを作り、気に入っていただける人に売る、言葉でいえばシンプルですが、決して後悔せずにひたすら一心不乱にやり続けられる道としてはこれしかないというのがこのスタイル。職種にこそ多少の違いはあれど、大きな意味で明夫君とは向うベクトルが同じだと感じています。
橘商店でも名栗加工だけにとどまらず現在は、木にまつわる様々な仕事に積極的に取り組まれています。本来卸売行である橘商店が、一般の方や木工作家さんに直接木を販売するとして昨年から始めた『広葉樹フェア』や、木青連の仲間などを中心に内外の材の仲介などを行っているのもそのひとつ。取り組みの規模や効果の大小ばかり考えている人はいちまでたっても机上の空論を繰り返すばかりで足を踏み出せません。踏み出す一歩は小さくとも、自分の仕事に誇りを持って日々を楽しんでいるような材木屋と仕事の出来る喜び、これ至福なり。
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