森のかけら | 大五木材


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Restaurante Bar ZUCCHERO』さんの話の続き。サイカチのテーブルの前のセドロの話が長くなってしまっていますが・・・。セドロに限らず外国の木の中には、今後の入荷の見込みがまったく立たないという木、お結構あったりして、【森のかけら】だけでなく、木材の供給としてのかなり不安です。だからといって、今わずかに残っている木を「これは売れません」といって販売しないというのも、木を売ることが商売の材木屋としては本末転倒な気がして、悩みどころであります。丁寧に売るしかない

しかしこいうやって収めさせていただいた現場が近くにあって、家具やカウンターになった姿をいつでも見に行けるというにはありがたいことです。これもそれも、弊社にしかないような個性のある木、癖のある木を楽しんで使っていただける施主さん、工務店さん、設計士さんたちが近くにいてこそ!類は友よ呼ぶといいますが、変わり者好きな方が友達の変わり者好きな方を連れて来てくださったりと徐々にそういう流れが出来つつあるように感じています。昔、ある方に忠告されたことがあります。

あまりマニアックな品揃えに走ると普通のお客さんが離れちゃうよ、と。当時は将来の会社の方向性についてかなり悩んでいた頃でしたので、その言葉は私も重くのしかかりました。現実的に昔からの大工さんたちが後継者問題などで店を畳まれたりしていたという事も重なり自問自答していました。それらから私なりの決断をして、あっという間に数年の月日が流れました。今となっては、その当時悩んでいた私にこう言ってやりたい。「悩んでなんかいないで、その道を突き進め!選んだ道は間違っていない!」と。

果たして今の選択がベストだったかどうか。今はそんな事すらも考えることもありません。思っていた通りになったというわけではありませんが、腹をくくって方向性を決めたことで、その先はなるようになったとも、そうしたからこうなったとも思っています。もっと利口な選択はあったかもしれませんが、でもこうして『どこにでもないような木を買い求めに来て下さるお客様が増えて、こんな素敵な店でこんな美味しい料理を食べられる』という事実が、自分の選択は間違ってなかっと確信させてくれるのです。




二股の異形な姿が面白いじゃないかと、寛容なお心でこのサイカチを受け止めていただいたのは、松山市千舟町にあるイタリア・スペインバル『Restaurante Bar ZUCCHERO(リストランテ・バル・ズッケロ)』さん。以前にこのブログでもご紹介させていただいた、『IL Banco(イルバンコ)』さんの姉妹店。愛媛県産の旬の食材と『薪焼き』のお肉が堪能できるお店です。このお店の植物に囲まれたオシャレなテラスのテーブルとして使っていただくことになったのです。

 ZUCCHEROさんは、ずっと大街道で商売をされていたのですが、2016年に千舟町に移転されました。その際に、店内のカウンターやテーブルなどに弊社の木材をふんだんにお使いいただいたのですが、私の怠慢でその時の様子をブログにアップ出来ていませんでした。それで今更の話ではあるのですが、お店で使っていただいた木材についてご紹介させていただきます。バイクや植物、レストランなどが一緒になった『GEARS』という複合商業施設に オープンしたお店は、何とも不思議な異国籍風の雰囲気を醸し出した妖しい空間です。

写真に写っている一枚板の赤身のカウンターは、ブラジル産の『セドロ』。「スパニッシュ・シーダー」とか「シガーボックスシーダー」の名前でも呼ばれているセンダン科の広葉樹です。硬質な木ではありませんが、独特の特徴を持った木です。板目の雰囲気はによく似ていて、『赤ケヤキ』などとも呼ばれるほどです。その一方で柾目の雰囲気はすっきりとしたマホガニーに似ていて、一枚の木の中に剛と柔の相反するような質感を併せ持ったような不思議な材です。なので使い方次第では洋にも和にも使えます。

そんなセドロの3m×幅400~500㎜の迫力のある板をたっぷりと使っていただきました。和洋の特徴を併せ持ったセドロが店の雰囲気づくりに少しは貢献できたのではなかろうかと勝手に思っています。その時にはまだまだたっぷりと在庫のあったセドロでしたが、それから日々少しずつ売れていって在庫も減少。今後の入荷見込みがまったく立たず、いよいよあれだけあったセドロの底が見えてきてしまいました。今、写真を見返すと、当時の頃の事が懐かしく思えます。毎度の事ながら無くなってからモノのありがたみを知る。明日に続く・・・




石鹸の木」あるいは「葛西家復興を願う木」として知られる『サイカチ』の木ですが、長さが2700㎜で、幅が1mに迫らんとする二股変形の一枚板が2枚ありました。そのうちの1枚は4年ほど前に個人宅のテーブルとして売れたのですが、残りの1枚もようやくご縁がありました。機を逸すしてしまいすっかりアップするのが遅くなってしまったのですが、そんなサイカチについて。【森のかけら】を思いつくまでまったくご縁のなかった木のひとつであったサイカチですが、小さな接点が出来ると不思議と木が寄ってきます。

恥ずかしながら立木としてのサイカチを直接見たことがないので、この木のノーマルな感じがどの程度のものなのか分かりませんが、集まって来た多くのサイカチは耳の形もあっさりしたものが多く、二股に分かれたこのサイカチは異色でした。二股なので木目を流れてしまっていて、節も絡んでいて、サイズ感こそあれ、銘木屋とか一流どころの材木屋などでは相手にされることもないであろうモノ。他人のものさしなどどうでもよくて、形の奇抜さといい、木目のよれ具合といい、まさしく私好みの一枚

変わった形の木や珍しい種類の木を買うと、誰がこんなもの買うの?なんて尋ねる人がいらっしゃいますが、変わった木や珍しい種類の木があるからこそ、そういうとこに変人・奇人が集まってくるわけで、この木を受けいれてくれるどんな懐の深い人が現れるのだろうかと、仕入れた時からドキドキが始まるのです。ご縁は早いに越した事は無いと思われるかもしれませんが、私の場合は、出来るなら持ち主である私自身がたっぷりとその醍醐味を味わいたいので、3~4年ぐらいは倉庫で寝かしておきたいのです。

乾燥の甘い板の場合は、ちょうどその期間が乾燥養生期間にもなるため、趣味と実益を兼ねた必要不可欠な時間でもあるのです。その期間の間に、それらの端材で加工性や研磨性なども確かめ、塗装後の色の変化や材の特徴も記録。私のライフワークである『今日のかけら』の貴重な資料としても活用させてもらいます。今回のサイカチも、データ採集も終わり、すっかり乾燥も進んで、ちょうどいい売り頃になった時に、こういう個性を正面から受けてとめていただける素敵なお施主様との出会いがありました。続く・・・




クロガキ』で随分引っ張っていますが、ずっと温めていたネタでしたのでもう一日だけお付き合いください。シンメトリーに幅剥ぎしたカウンターテーブルの板は、もともと100㎜ぐらい厚みがあったものを3枚におろしたと説明しましたが、こちらが3枚におろす前の状態。もともとこのサイズで仕入れたので、当初はこのまま売るつもりでいたのですが、さすがに厚みがネックとなりなかなか商売が成立しませんでした。そうやって何度も倉庫から出しては並べて、売れずにまた元に戻してを繰り返していたある日・・・

たまたま寝かせていたカキの木を小口から見ていたら、小口に広がる黒い模様。ずって見ていたらその中身が気になりだしたのです。この厚みのままで売れれば手間はかからないものの、この厚みの中を見る機会を逸することになる。果たしてこの板を割った見たらどなんな「景色」が見えるのだろうか?!今までに私が手にした中で最大のクロガキ、たぶんこれを逃したらきっとこれほどのクロガキを自由にあれこれ出来るチャンスは二度となにのではないだろうか。そんな事を考えていたら、この中身が無性に見たくなった!

どちらにせよ、厚みが100㎜もあってはさすがに売るにくいという事もあるので、3枚ぐらいにおろした方が都合がいいのだから(決して自分の好奇心だけで割るわけではないんだぞと、自分に言い聞かせながら・・・)という事で3枚におろしたのです。そして結果的にそのうちの2枚がシンメトリーのカウンターテーブルになりました。木はひと皮削れば全然違う表情を見せることがありますので、もしかしたら数㎜下にはとんでもない杢が潜んでいるのではなかろうか!なんて思いだしたら確かめたくなってどうしようもない。

だからといって、全部コンマ数ミリに薄~くスライスしてしまおうとは思わないのです。このあたりが偏屈材木屋の身勝手さ。薄くしたところで無垢であることに違いはないものの、ある程度の厚み(30㎜前後)が自分の中のボーダーラインで、それぐらいになれば表に見えるものとその中身の表情に大きな差がないと思い込んでいるのか、もうそれを割ろうとは思わなくなるんです。どの厚みまでが許容できるかはひとそれぞれだと思いますが、私の場合はこのあたりで『もっと中身が見たい症候群』は落ち着くのです。




扱う量が増えてくると一枚ずつ写真を撮って(当然その頃はアナログなのでフィルム!)それで保管していましたが、遠方には写真もFAXだと真っ黒になってしまうので、時間があるときは写真を郵送!急ぐときはイラストで、と今考えればおおらかでのんびりしていた時代だったと感じます。それが常識だったので、頼めば数日かかるのが当たり前で、今日頼んで明日来るなんて事は考えも及びませんでした。大手でも小手でも当時は遠くの人に木を売ろうと思ったら、描くか喋るかで伝えるしか方法はなかったのです

そのために随分と授業料は払ってきましたがとても勉強になりました。近場で商売していたら、「見れば分かるんだからゴチャゴチャ言ってないでまずは見に来い!」なんて怒られて、木は語るものではなくて見るモノでした。特に四国は橋が出来て本州とつながるまでは、物流が閉鎖的だったので、外部からのモノの出入りが限定的で、なおかつモノだけが入って来て、その背景にあるものまで伝わってきませんでした。仕入れルートが分かるのがよろしくないということで、敢えて意図的に伏せていたのかもしれません。

そういう土壌もあってか、地元ではあまり木の言い回しの語彙も少なく(そこには圧倒的にヒノキとスギがメインで、外的特徴が顕著に表れる広葉樹が少なかったという事情もあるのではないかと思います)、面白いと感じた言い回しや比喩表現はほとんどが県外で教わりました。そういう体験が知らず知らずのうちに木材の多様性に繋がり、【森のかけら】を作る土壌を育んできたのかもしれません。手間も暇もかかりましたが、昔は何とかこの木を商いしようという熱い気持ちだけはビンビン伝わっていました。

 

 

当時、広い市場で商売をしていた木材の営業マンにとって「言葉で木を伝える力」は必要不可欠なものだったはずです。今は簡単にメールで木の容姿が伝わるようになった反面、言葉で伝える必要もなくなってきて、言葉で木を語ることを放棄している材木屋も沢山見かけます。時代は移り変わりましたが、これからは木の姿かたちを伝えるための言葉の力ではなく、目には見えない背景や物語を語る言葉の力こそが材木屋には求められているのではないかと思うのです。若い材木屋諸君、聞いて木を買おう!語って木を売ろう!




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