森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・169 【セドロ】 Cedro センダン科・広樹・ブラジル産

20100713 無敵艦隊とセドロ①

 

 

 

 

 

 

20100713 無敵艦隊とセドロ②サッカーのワールドカップもスペインの優勝で幕を閉じました。今回のスペインチームにも「無敵艦隊」の形容がメディアに踊りましたが、そもそもこの名前はその艦隊を壊滅させたイングランド人が大いなる皮肉を込めて語った名称で、本来は見掛け倒しの様を揶揄した言葉だったのですが、言葉の雰囲気だけが独り歩きして違う意味で使われているようです。それは兎も角、今回は名実ともに「無敵艦隊」として世界の頂点に立ったスペインチームの優勝に敬意を込めて、スペインと関係のある木についてのお話を。

 

20100713 無敵艦隊とセドロ③かの地には昔ケルト人が住んでいましたが、ローマ帝国の侵攻によってどんどん北へと追いやられていきます。ローマ人はスペインをはじめヨーロッパの森林を大規模に開墾して畑に変えてしまったのですが、このケルト人は森林への厚い信仰心を持っていたといわれていて、山を神格化し信仰心を持った日本人との類似性がよく取り上げられます。スペインは16世紀から19世紀の初頭に至るまで、アメリカ南西部から中南米に広域な植民地を維持していました。その名残から、「スパニッシュシーダー」の別名を持つのが、メキシコからブラジル、熱帯アメリカに分布する『セドロ』という木です。杉を表すシーダーという名前が付いているにも関わらず、実はこれれっきとしたセンダン科の広葉樹です。削った時に杉に似たような芳香がする事が、シーダーという名前が付いた理由のようですが、例えそれが過ちであっても、その特徴を端的に現しているということでしょう。

 

20100713 無敵艦隊とセドロ④確かに削ってみるとシーダーに似た匂いがしますが、あくまで日本の『』ではなく『エスタンレッドシーダーのシーダーに近い匂いです。その匂いを虫が嫌うらしく、害虫への対抗性が強いという事と香り付けの効果があるという点から、葉巻の箱には最適の材料とされています。当然、箱物に使われるぐらいですから暴れやねじれも少ない癖の無さも特徴の1つです。そこから、『シガーボックスシーダー』の別名もあります。私は煙草を吸わない人間なので、よくは分かりませんが、葉巻にはある程度の湿り気も必要らしく、この木の優れた調湿性も必要条件のひとつのようです。

 

20100713 無敵艦隊とセドロ⑤以前『適材適所』でも取り上げましたが、木目部分は『欅(ケヤキ』にそっくりで、均質な柾目は『マホガニー』の代用とされるほど、まったく性質の異なる木の2つの特徴を併せ持った不思議な木です。見る角度によっては光の反射が不思議な金色の光沢を生み出してくれます。木そのものは、シーダーの仲間かと思えるほど軽軟ですが、センダン科だからさもありなんでしょう。『赤という和名の俗称は、その特徴をうまく言い表しています。別名が多いのも人気のバロメーターでしょうか。

 

20100713 無敵艦隊とセドロ⑥あまりメジャーな木ではありませんが、たまたま平板の在庫があります。長さ2100X幅160~300X35㎜サイズの物が70~80枚程あり、1枚からのバラ売りも可能です。調湿性に優れているため、わずかな温度変化にも反応しやすいので、仕上げ後は速やかに塗装(植物性オイル)をお薦めします。ちなみに2100X160X35㎜サイズの荒材(加工してない状態)で1枚¥6,000程度です(消費税・送料別)。右のような状態で、荒材だと灰褐色に見えますが、ひと削りすると美しい光沢を放つ赤褐色の肌が現れます。

 

R0021393この木で実際にシガーボックスでも作ってみようかなとも考えたのですが、私自身が煙草を吸いませんので今ひとつ気乗りがしません。小物入れでもいいのですが、特徴を最大に生かす商品がいいのでちょっと悩んでおります。ょこっと端材にも少しずつアップしていきますので、愛煙家でクラフトマンの方、是非シガーボックス作ってみて下さい。ケヤキとマホガニーの雰囲気を併せ持つ南米の不思議な木・セドロ、果たして本当に無敵艦隊か、見せ掛け倒しか?どうぞご自分で試してみて下さい!

 

 

後の足湯でセドロ

2011年 3月 20日 日曜日 at 10:05 PM 3. 木の仕事

20110320 道後の足湯でセドロ①道後の『ふなや』さんの日本庭園・詠風亭に設けられた足湯の座面に使っていただいたのは、中南米産の『セドロ』です。観光客を乗せた大型バスやら地元の車が頻繁に行き交う通りから一歩足を踏み入れると、そこは清流流れる閑静な和の空間が広がっています。そこに佇む足湯屋を施工されたのは、もう4、5年ほど前になると思います。当初、円形の足湯の座板という事で頭を悩ましました。直径が2mぐらいありましたので、当然の事ながら1枚ものの板を削りだすという事は不可能だし、2枚や3枚で剥ぐにもロスが大きすぎます。そこで製作をお願いしたウッドワークかずと池内と相談して考えたのが、円全体を8つのパーツに分けて、それぞれを裏側からボルトで連結する方法。これだと木目の木取り次第では、つながった円のような雰囲気を損なわないように仕上げる事が出来ます。

 

20110320 道後の足湯でセドロ②ただ問題も幾つかあります。これでも結構なカットロスが出る中で、木目が連続している雰囲気を演出するためにはかなりの大きさも板が何枚も必要になります。しかもなるべく木柄の似た乾燥した木。また、温泉の足湯の座板という事ですから、お湯が散ったり熱を帯びるのではという心配。材となった木にとって、湿気は腐食の最大の要因です。こういう場合、必ず「水に強い木を」という要望が出たりするものですが、それも在庫やサイズ、価格との兼ね合いになります。

 

20110320 道後の足湯でセドロ③何にでも完璧に対応できる材がいつでもどこにも揃っている訳ではありません。手持ちの乾燥した材の中から、いろいろな条件を鑑みて(材特性、サイズ、加工性、価格・・・)、その中でベストの選択をしていくという事になります。幸いにも設計・施工をされたのが、商業店舗などをたくさん手掛けられた百戦錬磨の須賀デザイン工房久須賀佳夫さんだったので、そのあたりの理解は深く、ご提案を受け入れていただきました。湿気対策もご検討いただき、いざ「セドロ」での出番と相成りました。セドロについての詳しい説明は、以前にブログや『適材適所』でも取り上げさせていただきましたが(NO.120)、板目の雰囲気は欅に似ていて、柾目の雰囲気はマホガニーに似ているという、剛と柔の質感を併せ持ったような不思議な材です。生地のままだと分かりづらいのですが、塗装する事でその特徴が際立ってきます。

 

20110320 道後の足湯でセドロ④足湯は屋根があり直射日光は遮られているものの、久し振りに訪れてみると、施工時よりはやや色合いが淡くなっていました。でもそうなってむしろ、遠い外国から来たセドロが閑静な日本庭園の中にすっかり溶け込んでいました。寛容性も伝統を継承する重要な要素だと思います。セドロはセンダン科ですので防虫性も高く、腐朽にも強い性質があります。加えて設計や加工、塗装を工夫することで、こういう場面でも使う事が出来ました。地元に根付いた建物に地元の木を、という考え方にまったく異を唱えるものではありませんが、そこに固執しすぎると、木本来の特性をうまく引き出せない場合もあります。地域を優先するか、特性を優先するか?いろいろ考えはあるでしょう。それも含めてこういう場面ではどの木を使おうか、ワクワクした気持ちであれこれ思いを巡らし、材をセレクトする時の快感はおそらく誰にも分かってはいただけないでしょうが、私はそこに材木屋の醍醐味を感じているのです。




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