森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・♯169【セドロ】Cedro センダン科・広樹・ブラジル産

サッカーのワールドカップもスペインの優勝で幕を閉じました。今回のスペインチームにも「無敵艦隊」の形容がメディアに踊りましたが、そもそもこの名前はその艦隊を壊滅させたイングランド人が大いなる皮肉を込めて語った名称で、本来は見掛け倒しの様を揶揄した言葉だったのですが、言葉の雰囲気だけが独り歩きして違う意味で使われているようです。それは兎も角、今回は名実ともに「無敵艦隊」として世界の頂点に立ったスペインチームの優勝に敬意を込めて、スペインと関係のある木についてのお話を。

かの地には昔ケルト人が住んでいましたが、ローマ帝国の侵攻によってどんどん北へと追いやられていきます。ローマ人はスペインをはじめヨーロッパの森林を大規模に開墾して畑に変えてしまったのですが、このケルト人は森林への厚い信仰心を持っていたといわれていて、山を神格化し信仰心を持った日本人との類似性がよく取り上げられます。スペインは16世紀から19世紀の初頭に至るまで、アメリカ南西部から中南米に広域な植民地を維持していました。その名残から、「スパニッシュシーダー」の別名を持つのが、メキシコからブラジル、熱帯アメリカに分布する『セドロ』という木です。杉を表すシーダーという名前が付いているにも関わらず、実はこれれっきとしたセンダン科の広葉樹です。削った時に杉に似たような芳香がする事が、シーダーという名前が付いた理由のようですが、例えそれが過ちであっても、その特徴を端的に現しているということでしょう。

確かに削ってみるとシーダーに似た匂いがしますが、あくまで日本の『』ではなく『エスタンレッドシーダーのシーダーに近い匂いです。その匂いを虫が嫌うらしく、害虫への対抗性が強いという事と香り付けの効果があるという点から、葉巻の箱には最適の材料とされています。当然、箱物に使われるぐらいですから暴れやねじれも少ない癖の無さも特徴の1つです。そこから、『シガーボックスシーダー』の別名もあります。私は煙草を吸わない人間なので、よくは分かりませんが、葉巻にはある程度の湿り気も必要らしく、この木の優れた調湿性も必要条件のひとつのようです。

以前『適材適所』でも取り上げましたが、木目部分は『欅(ケヤキ』にそっくりで、均質な柾目は『マホガニー』の代用とされるほど、まったく性質の異なる木の2つの特徴を併せ持った不思議な木です。見る角度によっては光の反射が不思議な金色の光沢を生み出してくれます。木そのものは、シーダーの仲間かと思えるほど軽軟ですが、センダン科だからさもありなんでしょう。『赤という和名の俗称は、その特徴をうまく言い表しています。別名が多いのも人気のバロメーターです。

 

材面に染みが見えますが表面的なものなので、ひと削りすると美しい光沢を放つ赤褐色の肌が現れます。調湿性に優れているため、わずかな温度変化にも反応しやすいので、仕上げ後は速やかに塗装(植物性オイル)をお薦めします。この木で実際にシガーボックスでも作ってみようかなとも考えたのですが、私自身が煙草を吸いませんので今ひとつ気乗りがしません。小物入れでもいいのですが、特徴を最大に生かす商品がいいのでちょっと悩んでおります。ケヤキとマホガニーの雰囲気を併せ持つ南米の不思議な木・セドロ、果たして本当に無敵艦隊か、見せ掛け倒しか?どうぞご自分で試してみて下さい!




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