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| 昨日、畑中佳樹さんの事について書きましたが、本当のボールはそこではなくてその先にあったのですが、つい昔を思い出して熱くなってしまい寄り道してしまいました。本日はその先の話です。そうやって迷える子羊を映画理論のカオスの中から救い出してくれたのが畑中佳樹さん(名前に樹がついているのも今にして思えば不思議なご縁です)ならば、その後、こうやって堂々とその主張をしていけばいいのさと、開き直りにも近いマニアの極みを示してくれたのが『映画秘宝』! |
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『キネマ旬報』やら『イメージフォーラム』、『映画芸術』などとは対極にある、映画雑誌におけるもうひとつの極北に位置する超偏りマニア雑誌。取り上げるテーマのおたくっぷり、連載されている執筆者のセレクト、偏るにもほどがある偏見と断言の映画評、世間の評価がなんぼのもんじゃいという我が道を往くスタイル、それらが私の魂を覚醒させたのです。それは単に映画の観方だけでなく、仕事の面に関しても、こういう語り口で木を語るのもありなのではと開眼させてくれました。 |
| 木の事を語る場合、どうしてもその性質や特徴、加工性、用途、気乾比重などデータ的なモノに重点が置かれがちになってしまいます。特に多樹種を扱う場合は、その傾向が強くなってしまいます。実際にその木を使うための参考にしようと思って読む人が対象となっているため、それは仕方がない事だと思います。そういう多樹種を扱う図鑑的な本は今までに幾つも読んできましたが、データというものが苦手な感覚人間の私としては、技術的・学術的な傾向の強い学問書的な本にはあまり興味が湧きません。 |
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それよりも、その樹木の名前の由来やどういう風にその木が地域の中で利用されてきたのか、その木にまつわる伝説や伝承、その木をモチーフにした物語や歌・小説などなど、木そのもののハード面の話よりも、その木が生み出すソフトな事象の方に強く惹かれるのです。なので目指すべくは、大義で言えば『伐る林業というよりも語る林業』。木を買う時にその特徴や値段を基準とするのは当然ですが、合わせてその木の物語も購入の判断材料のひとつにしてもらいたいと真面目に考えたりしています。明日に続く・・・ |
| 大学生の頃に映画研究部に所属していた私の愛読書は『キネマ旬報』でした。田舎で純粋培養され、心にニュートラルという遊びがなかった頃の素朴で真面目な人間だった頃の私にとって、本に書いてある事がすべて真実だと信じていました。そんな私を映画の世界に導いてくれたのがキネマ旬報であり、映画のマニアックな鑑賞法の指南書でもありました。その後、『イメージフォーラム』や『映画芸術』という闇に迷い込み、当時の映画批評のひとつの極北にあった、フランス文学者で元東京大学総長の蓮實重彦氏の批評などに触れることで何か分かったような錯覚に陥っていました。 |
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プロレスで言えば、正統派のベビーフェイスレスラー、ボブ・バックランドが大好きで、地方の試合では必ず尻を出すお茶目なエンターティナ―、ディック・マードックの素晴らしさに気づかずに嫌悪感すら抱いていたのですから、今もしタイムマシーンがあれば、その時代に行って、早く覚醒しろとウエスタン・ラリアートの一発でもお見舞いしたい気分です。そんな迷宮の中にいた私を救い出してくれたのが、一人の映画評論家と一冊の本。その人の名前は畑中佳樹、本のタイトルは『2000年のフィルムランナー 』。友人に紹介されて畑中佳樹の書いた文章に出会い強い衝撃を受けました。それまでキネマ旬報や映画芸術などのお堅い映画雑誌で、難解な映画理論で映画を語ることこそが映画を深く観る事であり、何よりも恰好いいと信じて疑わなかった純粋培養映画青年にとっては、こういう映画の観方があるのか~! |
| その思いをこういう言葉で表現するってありなのか~!と、評論本を読んだというよりも、新たな物語を読み終えたような感覚になり、それから氏の書いた本を購入して漁るように読みました。それまではいかに私心を捨てて映画の良しあしを論ずるかという評論家かぶれのような映画の観方に毒されていたため、世間的な評価など一切お構いなしで、自分の思いをガツンと正面からぶつけて、砕けてこぼれた瓦礫の中から、自分がこれぞと思うかけらを拾い集めて、万感の思いを言葉に込めて絶叫するスタイル! |
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そんなスタイルの映画批評に強く心を揺さぶられました。当時、自分に自信が無く、他人の物差しで作品をはかることしか出来ていませんでした。それから畑中さんの文章を何度も読み返しました。もう30年近くも昔の事ですが、その影響は大きく、その後『適材適所』やこのブログなどで文章を書く機会が増えたのですが、決めつけたもの言いや、かくあらねばならない的な言い回し、絶叫スタイルなどは自分のもののように使わせてもらっています。論ずる対象は違えども、いかに愛情という物差しで論ずるかは共通しています。 |
| 材木屋、設計士、工務店、木工作家、さまざまな木に関わるプロフェッショナルに混ざってアマチュアの木のフェチの方だって遠方からやって来られます。香川県は二十四の瞳で有名な小豆島からも木が大好きなファンがやって来られました。個人の方なので詳しくは書けませんが、ご来店していただくのはこれで多分もう4度目(もしくは5度目?)。いずれ今の仕事をリタイアされたら木工をしたいので、今のうちからせっせといろいろな木材を集められていて、家は木材倉庫になりつつあるそうで、アマチュアビーバー認定! |
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四国外の方だとイメージが沸かないかもしれませんが、森林面積が75%を占める四国の中において、香川県は非常に森が少ない県で、四国の中でも地域材に対する感覚においてはかなり温度差を感じます。香川の平野部は53.5%あり、全国平均(34.2%)と比べても突出しています。四国どころか全国1位の森林面積を誇る高知(83.4%!)の場合、平野部はわずかに16%ほどしかありません。香川の森林面積は46.5%で全国ランキングでも37位。以下は東京や大阪、神奈川などの大都市が名を連ねているので、いかに香川が特別なのかが際立ちます。(出典:四国森林整備局) |
| ちなみに、愛媛県の森林面積は70.4%(全国18位)、徳島県は74.9%(同9位)です。なのでおのずと香川県には、他の3県から木材が供給されることになります。愛媛などではやたらと「県産材」という言葉が飛び交いますが、もともと地元で産出される量が少ない香川では、地域材・県産材という意識は少ないそうです。そういう事もあって、香川県から木の問い合わせが来ることが多いのですが、国産材以外はNGというアレルギーも少ないようで、弊社の外材にも興味を示していただけるのでとてもありがたい存在です。 |
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今回も倉庫の中を探索していただきさまざまな種類の端材を選んでいただきました。形も樹種もバラバラですが、普段目にする機会の少ないカラフルな世界の広葉樹はお好きなようです。確かにこのペースで集材されていたら大変な事になりそうですが。車に積み込むとほぼ満杯に!こんなに喜んでもらえるなら香川に持って行って端材販売したら売れるのかしら?端材のセールとかネットでアナウンスすると、県外からのお客さんが多かったりするのは、『南極ではかき氷は売れない』の逆心理でしょうか。またのご来店をお待ちしています~! |
| 多品種を愛する偏屈材木屋にわざわざ遠方からやって来られるのは何も大工さんや設計士さんばかりではありません。その日弊社の玄関を開けられたのは、オブジェ 彫刻家の竹田 篤生君。竹田君はもともとは愛媛県生まれですが、高知大学に進学されて、芸術文化コースで彫刻に目覚めて、今までにも数々の受賞歴がある新進気鋭の木工彫刻家。その後高知を中心に制作活動をされていましたが、今年の春から生まれ故郷の愛媛に拠点を移されたそうです。なので厳密には高知からではないのですが、12年過ごされたという高知に敬意を表して。 |
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竹田君がお店に来られたのは2度目ですが、生憎1度目は話が出来なかったので、今回初めていろいろ話をさせていただきました。もともとは、3ta2ギャラリーさん、セブングレインアートガレージさんがご紹介して頂いたのがご縁。過去に作られた作品を拝見しましたが、木のブロックの上で宙を駆ける躍動感溢れる動物たちの作品が私好み。長時間見ていると欲しくなってしまうので、あまり眺めていては危険と判断(笑)。彫り跡の質感を残した仕上げも木ならでは。主にクスノキを素材として使われているそうです。 |
| それで、その日は大物に挑まれるという事で大きめの文章クスノキの丸太をご購入いただきました。木工彫刻家に愛されるクスノキですが、今まではあまり周囲にプロの彫刻家さんがいなかったので、こういう大物に彫材としてお声がかかることはありませんでした。アマチュアの方からも時々問い合わせがあるものの、サイズも量も小さいので、今まであまり意識することもありませんでした。最近では学校や神社、公園、街路樹などのクスノキが大量に入荷するようになってきたので、彫材という出口にも目を向けていきたいと思います。 |
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本当は武田君はじめこういう方々に弊社で木材を買っていただき、それで作られた作品を弊社の2階で飾って展示会など開催出来たらなあと考えたりもしているのですが、あまりに集客が少なすぎると申し訳ないので実現できてはいません。多品種を扱うためにはより多くの出口を持っておく必要がありますが、それぞれの出口のなるべく川下に近づきたいと思うのです。勿論クスノキもいいのですが、出来ればそれ以外の木材も試していただいて、「ほとんど誰も使ってないけど、やっぱり木彫にはこの木だな~!」なんて発見があったら面白いのだけど。 |
| 長崎県松浦市の『木使いビーバー・島田真治』さんが、リフォーム工事されていたのは愛媛の東予地域でしたが、何度も会社に材料を取りに来られたり、打ち合わせに来られました。そのたびに張り切って変わった木を見せるのですが、「面白いなあ~。俺は決して木材フェチじゃないけど(謙遜)、ああこれをホシダ君に見せたら面白がるだろうな~」、「今度はホシダ君を連れて来るわ~」と、いつも「ホシダ君」という出ていたので、島田さんと二人三脚で面白い木の家を作っている仕掛け人は、ホシダさんだと分かりました。 |
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ただ、ホシダさんの事務所は東京らしく、しかも全国各地をあちこち飛び回っていてなかなか時間が取れないらしく、いつ来れるかは不明との事。そのホシダさんが全幅の信頼を寄せる島田さんが阿吽の呼吸で現場を取り仕切られています。リフォームといっても結構なボリュームがあって、1か月程経った頃、島田さんから連絡が入り「ホシダ君が愛媛に来たから一緒に行く」との事。そしていやいよ黒幕がやって来たのです(←いい意味で!)ようやくお披露目、写真の左が島田真治さん、右がホシダ君こと干田正浩さん。 |
| 耳で「ホシダ」と聞いていたので勝手に「星田」と思っていたらこちらの漢字でした。改めて干田さんは、大手の設計事務所に勤められていた後に独立。名のある賞も受賞されているそうですが、私が興味があるのは『ビーバー設計士』であるかどうかの一点のみ。果たして?!まだ天然サウナ並みに蒸し暑い倉庫の中をズンズン進んで行き、服の汚れや埃も気にすることなく、私が薦める変な木をキラキラした目で見つめ、「この木は?」と私を質問攻めにしてくるその姿に、私はビーバーを見た!島田さんの言葉に嘘はなかった。 |
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という事で、島田さん同様に干田さんともあっという間に打解けました。その後、現場に向かわねばならなかったので、あまり時間が取れなかったのが残念でしたが、『ビーバーの血は水よりも濃い』と言われるように、一度出会ってしまったビーバーは、遠くに離れようともお互いの嗅覚が、すぐに仲間を感じ取るのできっとまたいずれお会いすることになるだろうと確信しています。白金君、素敵なご縁をありがとうございました! |