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今朝のニュースで、全長5.4m、体重640キロの映画「JAWS」並みの巨大ホオジロザメが、岩手県の宮古島魚市場に水揚げされたという記事を見ました。チラッと画像が映った程度でしたが、かなりの迫力!海中でこれとご対面したら、そりゃあ命の危機を感じずにはいらねないでしょう。いつでもどこでもロバート・ショウは助けてくれませんから!ところがこの巨大鮫、さばくのに手間がかかり過ぎるということで、競りの結果わずか1万円で仲卸業者の方に落札されたそうです。
すり身にしてかまぼこの材料になるという事です。これでかまぼこ何百人分とか試算が出ると思うのですが、あの巨体がすりつぶされてかまぼこになると思うと、なんだか・・・。鮫は鮮度が落ちると尿素がアンモニアに変わり臭いが出ることから、調理に手間がかかり、大きさの割りに食材としての価値は低いようです。それにしても1万円か・・・。ちなみに私の生まれた愛媛県の南予地方では、鮫を湯引きにして酢味噌で普通に食べています。アンモニア臭もなく白身で淡白、結構美味しいです。今年の正月もいただきました。
市場で「これだけのモノなんだから、もう少し高く買ってよ~」、「いやいや手間がかかるからこれでも高い方や」などのやり取りが行われ、粘って決着。周囲から「おお~っ、1万円か・・・」というさまざまな意味のどよめきやが起こったのではないでしょうか。木材の競りに交わされるような光景が思い浮かびます。競りは、買った人よりもギャラリーの方がめいめいに盛り上がり、「よく高値で買った」、「安く買いすぎだ」、「あんなもの買ってどうする気だ」と自分の物差しで勝手に評価していきます。
競り子からも「これどうやって使うんですか?」と怪訝な顔で質問されることもよくあります。こういうものって「売る方も売る方だが、買う方も買う方」ですから、売っておいてそれもどうかと思いますが。目的があって、自分の評価基準で買った者にしてみればいずれも余計なお世話です。ひねくれで変わりモノを買ってきた私には、よく背中越しに浴びせられるその言葉を聞きほくそ笑んだものなのです。弊社の倉庫にはそんなモノがゴロゴロ。それなりの思惑があって買ってはいるのです。ただそれがすぐに実現するかしないかというだけの事。変わったモノでも素材を見てすぐに、その売り方や売り先、加工、製品、などの姿が見えてこないようでは変わりモノに手を出す資格はありません。だから、その姿が見えなかった同業者から、どうする気なの?と声を掛けられるのは、私にとってひねくれた優越感とねじまがった快感を感じる瞬間なのです!
この巨大鮫を買った仲卸屋さんもきっとそういう人だと思うのです(そうでなくともそうであって欲しい!)。ただ単純に、でかいからたくさんすり身が出来るんで大手の水産会社に売っちゃえ!なんてつもりで買ったのであってほしくないと勝手に妄想しています。「こんなでかい鮫は大味過ぎて食えるか~。ただでもいるか~」などとほざいているベテラン仲買人の横からっすっと出てきて、余計な事など一切無用で、指を一本立てる。競り子が「1000円はちょっと・・・」の言葉を遮るように、「いや、ゼロもう一個」。その時の競り場に溢れる、「おお~っ」という賞賛とも軽蔑とも分からないが凄いというどよめき!市場のすべての空気を持っていってしまうその一瞬の快感たるや、お金で買えるはずのものではありますまい(しかもわずか1万円の付け根で得たとすれば、それだけで費用対効果としては充分)。ただ直後には、そのものよりも高くつくのは間違いない運搬賃や保管方法という冷酷な現実を前にして多少のへたりこみ感に襲われます。
ああ、あの時の勢いでつい買ってしまった・・・と、思うものも結構あったりするのです。競りの輪の後方にいたりすると、何だか分かるのです、「呼んでる感」が!それに反応して、輪をかきわけたりして前に出たが最後。もうそのまま手ぶらでは生還できない事になるのです。そういうものに溢れ過ぎてしまったので、この1、2年は競りには近づかないようにしています。競りはムードを作りますので、下手に近づくと自分自信が制御できなくなってしまうので。ああ、でもあの快感を覚えてしまうと忘れらない~!
そんな方がこの巨大鮫を落札1万円が高いとか安いというよりも、その大海原で育まれたその巨躯と費やされた自然の営みとその年月、そんなものを考えた時に、「わしが買わずに誰が買う!捨ててなるものか!」という気概で買われた(もの好きで偏屈な、魚業界の私のような方が)かどうかは一切分かりませんが、そうであって欲しいと願うのです。手間だけで換算されたのでは、この鮫も報われないのではないかと思うのです。巨(おお)きなるモノは、巨(おお)きがゆえに尊いのですから。


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