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愛媛県はヒノキの生産量日本一を誇り、その県庁所在地・松山市は50万を越える人口を有する地方都市でありながら、実は市内の主力製材工場のほとんどが外材工場で、国産材製材は周辺の久万高原町や伊予市、また新居浜市、八幡浜市などに依存してるのが現状です。なので、原木を扱う「原木市場」の数も他県に比べると異常ない2ヶ所。そのうちの1ケ所「松山原木相互市場」がこのたび原木市場から撤退することになりました。私もご縁があって役員の末席に名を連ねさせていただいておりました。
最近よく「庭木を伐ったのだが買い取りはしてくれないのか?」とか「庭木を伐採して欲しい」、「自分の山の木を伐って新居の材料にしたい」等のお問い合わせをよくいただくようになりました。一般の方からすると製材所も材木店も同じに映るのだと思いますが、そこには歴然とした差があります。しかし業態と看板の組み合わせは自由ですので、製材機のない材木店が「OO製材所」と名乗ることはなくても、製材所が「OO材木店」と名乗ることはありますから一般的には分かりにくいかも・・・。
この辺りの一般的な木材の流れとしては、山で伐採された原木が「原木市場」に集められ、そこで定期的に原木の競りが開催され、「製材所」が入札。原木を工場に持ち帰り製材(柱や板に割る)して、我々「材木店」が仕入れさせていただき(または製材所が工務店に直売)、それを工務店、大工さんに販売するというものです。ですので弊社のような流通小売業は、直接的に原木市場から原木を仕入れることはありません。同じ「木」でありながらそこには目に見えない「距離感」があります。とはいえ「原木市場」は、森と我々をつなぐ重要な機能であることに変わりはありません。しかし広大な敷地が必要とされる原木市場にとって、昨今の原木価格の低迷は、命の糧である原木取引の手数料の低下に直結し、経営を圧迫します。原木市場機能そのものは必要不可欠であるものの、時代の変化に合わせてその業態も変化を求められています。
理想と現実の狭間で結局、㈱松山原木相互市場は清算する事となってしまいましたが、気がついた時からそこにあったものが無くなるのは寂しいものです。幾多の原木が山積みされていた土場からすっかり綺麗に原木が消え失せると、4000坪を越える広大な敷地が現れました。広い敷地で安価な原木を扱う難しさを肌で感じつつ、『森の新しい出口』を探さなければならない状況は、研究レベルではなく実践レベルに移行していかなければならないと改めて痛感。森はもう待ってくれません。
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