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ついに出雲・松江紀行が始まって月の半分を超えてしまいました・・・。地元の話題が山のように溜まっている中で、さすがにもうそろそろ家路にくべきなのですが、どうしても石見銀山の最後に触れておきたい所があるので、あと2回お付き合い下さい。実際にも「龍源寺間歩」を観たら戻るつもりが、電気自転車があまりにスイスイ快適なものですから、もう1ケ所寄ってみようと向かったのがこちらの「清水谷製錬所跡」です。「製麺所」ならぬ「製錬所」という言葉に惹かれ何気に向かったのですが・・・
メインの通りから脇に入って少し行くとそこが製錬所跡でした。跡地とありなしたから覚悟はしていましたが、何か少しは建物でも残っているのかと思ったら、石積みだけが残る本当の跡地でした。銀山で採掘された銀を製錬していたという事で、勝手に『もののけ姫』の「たたら製鉄」のような妄想を膨らませ過ぎていました。明治19年に本格的な銀の採掘開発が行われ明治27年に現在の貨幣価値にして数十億円もの近代的製錬所が建設されました。しかしその1年半後にこの施設はあっけなく閉鎖となるのです。
鉱石の品質が予想よりも悪かった事と、製錬技術が未熟だった事が原因だったそうです。今やつわものどもが夢のあと・・・苔の生えた名残の石積みと満開の桜、夜ではありませんが「荒城の月」のような風情があります。しんみりと感傷に浸っていると、一緒に行っていた大一ガスの岩田君が、更に上へとつながら道を発見。おお、それは是非とも行かねばなるまいっ!大五木材と大一ガスの数字コンビは無謀にも急な山の傾斜を駆け上ったのです。
高台から眺めると、泰然とした石積みと崩れかかった煉瓦の取り合わせが一層かつての栄華ともののあはれを痛切に感じます。形あるものいつかは終わりがくる。永遠に盛隆を極める産業などないのだと、この光景が語りかけてきます。だからこそやはり形ではなく人の心に残るようなものづくりを貫かねばならないと思うのです。さて、製錬所跡の最上部まで来たのですが、更にその上の竹やぶの中に天空へと続く階段のようなものが!既に手元のパンフレットにはこの先の案内がありません。この道、いずこへ・・・!
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