森のかけら | 大五木材


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こうなる事は予想がついていましたが、ウルトラセブン第三話・・・高級車クライスラーの廃車寸前のポンコツ車を、少年たちの憧れ・地球防衛軍のスーパーカーに変えたのは『バルサ』の力だったのです。私は車の事にはまるっきり興味も関心もない男ですので、よく分からないのですが、当時のスチール写真を詳しく見ると、従来のクライスラーの内装の質感とは程遠いバルサのチープでウッディな素材感がはっきり写ったりしていて、関係者は冷や汗ものだったそうです。

車の改造というよりも工作物に近い感覚で作ったんだと思いますが、子ども番組といっても手抜きをせずに出来る限りいいものを見せようという当時のスタッフの熱意や努力の結晶が、廃車寸前の車に地球防衛という使命を与え、私たちを虜にさせたのでしょう。子どもは大人の本気の熱量に敏感です。地球を悪の手先から守る冒険譚を大人が熱く語る事が恥ずかしいとか幼いなんて言われるような冷めた時代になってきて、子どもたちも夢から覚めていってしまいました。

大人が真剣に熱くならないと子どもも認めません。テレビの仕事だけに限らず、森や木の事を話す時にも感じる事ですが、本当に木が好きな人が話しているのかどうか、子どもたちは一瞬で見分けます。まあそのレベルの人って、他人がどうこうよりも自分が好きでやりたくてやっているという心境なのでと思うのですが。当時の撮影秘話の中で、バルサが登場したのはわずかそれだけだったのですが、自分の大好きだったセブンとの距離が何だか縮まったようでとっても嬉しくなったのです。

今だとバルサよりももっと安価で加工性のよい非木質素材なんていうのもいくらでもあるでしょうから、そういう番組でバルサが使われる事もないでしょう、きっと。見た目には本物と見まがうほどの素材と技術革新が取り入れられたでしょうが、それは子どもたちをどこまで「本気」にさせる力を持っているのでしょうか。かつて薄いバルサ作りのハリボテのアナログな映像だったかもしれないけれど、精巧なデジタル処理の今よりもはるかに怪獣やヒーローたちの存在を信じ、涙が出るほど感情移入し、なにより私たちは熱中し、本気でした。怪獣ドラマに限らず、今全国の子どもたちを一斉にそこまで没頭させる『力あるもの』って何かあるでしょうか?素材の性能、機能の向上、品質追及など表現手段や方法にばかり目を奪われ、すっかり心が冷めてしまい、見た目の美しいだけの料理を並べてしまっていなかっただろうか・・・

 




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