森のかけら | 大五木材


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20130707 1最近、このブログの参考のためやら子どもの教科書の音読やらで、何かと昔の「文豪」と呼ばれる方々の文章を読む機会があって、気が付いた事。職業病的な事なのかもしれませんが、昔の小説などではやたらと詳しく樹木名が記されているという事。古い作品になると樹木名もほぼ漢字表記で、いわゆる「国字」(日本で作られた)の表記も健在で、例えば現代の作品では「スギ」の木を記す場合、ほとんどが「」でしょうが、昔の作品では国字の「」とか「」の文字も。

 

20130707 2スギに限らず、漢字表記がいくつもある「ブナ」などの場合、「」、「山毛欅」、「」など、どの漢字を使うかで作者の意図した風景描写のディティールを構成していく要因になっているのかもしれません。子どもたちの国語の教科書にも、昔の作品では多くの樹木名が登場していて、しかもご丁寧に注釈欄でその木の事を取り上げられているものの、改めてその木の事を説明される事はないようです。先生にも木の実体験のある方が少ないと思われますので無理もないでしょう。

 

20130707 3テレビやインターネットのない時代、小説で場面設定を読者により詳しく伝え感じて想像してもあうためには、より多くの具体的な情報を書き出す事が必要だったと思われます。また昔は意図的に(確固たる目的を持って)その樹種をそこへ植えていたという事もあります。例えば信仰の対象としてのクスノキ(鎮守の森)やエノキ(雨乞い祈願や飢饉の非常食)など、その木を特定する事で空間設定にもより一層のリアリティや説得力が生まれてきます。

 

20130707 4先日、遠野地方の河童の話を書いた時に、「3本ある胡桃の木の間から、真っ赤な顔をした男の子を見かけ、それは河童だということになった・・・」という民間伝承の事を紹介しましたが、これも河童、胡桃というキーワードから、河童も胡桃も好む(川沿いや適湿な環境を好むので)水辺の集落であることが想像できますし、「今もその胡桃の木は大木となってそこにある。この家を囲む樹木は、すべて胡桃の樹だ」とありますが、それも植物学的にも納得のいく話。

 

20130707 5この話に限らず、『胡桃の木の下では他の木が育ちにくい』と言われています。それは、クルミの持つアレロパシー(他感作用)という物質の影響らしいのです。それで胡桃はその一帯を独占したり、他の樹木を圧倒して巨木になったりするそうなのです。なので、その民間伝承は河童の呪いとか怨念、河童からのメッセージとかいうわけではなく、もともとそういう環境条件にあったのでしょう。あるいは河童との因果関係を伝承として伝えるためによく観察した執念!

 

20130707 6そういう形で先人たちは、しっかりした自然環境の観察眼を持っておられたのでしょう。それをいろいろな妖怪や伝承と結び付けていく想像力、構成力の逞しさ、素晴らしさにはいつも感動を覚えるのです。樹木の名前にも、実は公にこそされていないものの、隠された裏メッセージとか本当はあるのかもしれません(ゾクゾクする~)!『オニグルミ』なんて、外郭が鬼の顔のように見える、なんて怪しい!実はきっとその昔、鬼を退けるために結界としてその木の種を植えてので他の木が育たないとか・・・怪しい!!




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