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まだ私が本格的に広葉樹の内装材に目覚める前、今から20数年前のこと。弊社においても、松山という地域においても、内装材の王様として絶対的な力を持って君臨していたのが、『ヒノキ』でした。和室の化粧柱柱などの主要部材から始まり造作材から、床、天井などオールマイティに使える素材として、豊富に流通していました。しかし、まだその当時松山周辺では、専門のヒノキのフローリング工場といったものはなくて、都度加工所に持ち込んで作ってもらうという感覚でした。
なので、県外の市場などに行って加工してあるヒノキの製品を仕入れて在庫しておくという形を取っていました。まだ本格的にプレカットが普及していない頃のことですから、弊社の土場でも大工さんたちが材を刻みに入られていました。その作業の中で、仕入れてきたヒノキのフローリング(当時は、縁甲板と呼んでいましたが)を自ら仕上げされていました。加工してあるといっても荒加工までなので、最後の仕上げ(超仕上げ)は、専用の機械で1枚ずつ仕上げていくのです。
大きい現場になれば数百枚もあるそれらの板を、1枚1枚超仕上げ機に通して仕上げていくのですが、荒々しかったヒノキの表面が赤ちゃんのほっぺたみたいにツルツルになって出て来て、薄い鉋屑がシュルシュルと飛び出してきて、あたりにヒノキの香りが広がるのです。今にして思えば、なんだか随分のんびりしていて「贅沢な時代」だっと思います。それから年月が流れ、弊社においてはこちらから進んでヒノキのフローリングの提案をしたり、在庫に置くという事はほとんどなくなりました。
当時はそれなりにヒノキのフローリングの需要もあり、在庫を仕入れても回転していましたので、無節の4mものなどは私にとっては(今考えてみても)決して安い買い物ではなかったものの、たいしたリスクも感じずに仕入れていました。それが愛媛にもバブル崩壊の影響がジワジワと広がってくると、木材についても低価格化の波が襲いヒノキから現地で加工した輸入材のフローリングに主役の座が取って代わられました。その時期に私自身の『広葉樹への目覚め』もあり弊社に方向転換。明日に続く・・・
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