森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・#035 【アピトン】 Apitong フタバガキ科・広葉樹・東南アジア産

アピトン

 

 

 

 

 

 

 

20091011画像の原木は、フィリピンやマレーシアなど東南アジアに広く分布する【アピトン】の原木です。人間との比較から、その大きさが分かると思います。長さ約12m、直径1.1mに及ぶ巨大な物です!かつてアピトンは、輸入材の花形であった南洋材の主要原木のひとつでありました。ラワンの合板が全盛だった頃、大量のアピトンが輸入され製材されました。多くの南洋材は合板の材料となりましたが、時代の趨勢で、南洋材はその地位を滑り落ち、全国各地の南洋材専門店も次々に閉鎖・廃業していきました。

 

20001101 アピトン昔は決して珍しくなかったこういう光景もいまや貴重な物となってしまいました。アピトンも合板に使われる事もありましたが、ラワンに比べてかなり重たいので現場ではあまり好まれませんでした。それよりも、工場や倉庫などの土足で踏みしめる床材・フローリングとして人気がありました。アピトンは非常に重硬で丈夫な事から、トラックの車体や荷台の座板、受け木、桟木などに使われています。南洋材だけあって、硬木といえども虫穴(ピンホール)の被害を受ける事も多いのですが、見た目よりも耐久性を求める工場や倉庫などには最適な材でもありました。

 

CA343737それなら住宅の床材でもと、思われるかもしれませんが、アピトンのもうひとつの特徴である『脂分』を多く含んでいるという事から、加工後の材面にもヤニがプツプツと小さな玉上に吹き出てきます。ザラメのようにザラザラした粘っこいヤニは、素足で暮らす日本の住宅には不適なのです。

かつて、このアピトンのフローリングを大型工場や新設の倉庫などにはたくさん納品させていただきましたが、何しろ重い!使うときには数10束も使いますので運搬もかなりの労力でした。お陰で結構鍛えられました。また肩に担いで運ぶ時は、運が悪いとヤニがビッシリ付着する事もありました。それより以前は、原木が安かった事もあり、用途を限定せずに土台はもとより、垂木や間柱、胴縁に至るまで、強くて丈夫だろうという事で幅広く使われていたようですが、釘を打つのも一苦労の木ですから、さぞ大工さんは腕が痺れた事でしょう!

 

CA343734アピトンの土台といったら、4mの105角1本を持つのもやっと!懐かしい記憶です。今でも稀にアピトンの土台という注文が入る事がありますが、値段をいうと大概驚かれます。桧の価格が下がっているので、原木の輸入が減少したアピトンは相対的に高く感じられます。実際に値段も上がってきています。市場性を失った輸入木材はスケールメリットを失い、結果的に値上がりしていきます。そのため更に値が上がり、ますます需要がなくなっていきます。あれほど栄華を極めたラワンやアピトンが、どんどん姿を消していく現実には一抹の寂しさも感じます。

 

CARSTHNB松山で南洋材を製材しているのも、この瀬村製材所さん1社となってしまいました。右が社長の瀬村要二郎さん。愛媛木材青年協議会の大先輩でもあり、私を勧誘していただいたのもこの方です。誰にも分け隔てなく親切で、皆から親しみを込めて「要次郎さん」と呼ばれています。木材業界だけでなく、地元三津浜でも頼りになる親父で、いろいろな要職を務められている人望の厚いお方です!今は、南洋材を専門に製材しているというわけではありませんが、この巨大な原木を挽くにはそれ相応のノウハウが必要で、大型工場なら挽けるというものではありません。長年の経験が物を言う世界です。要次郎さんとは、昔からいろいろ相談に乗っていただきました。この土場で夕方から立ち話をして、時間の経つのも忘れてお互いの顔が見えなくなるまで話し込んだ事も一度や二度ではありませんでした。私の『南洋材のお師匠さん』でもあります。【森のかけら】の南洋材の多くが、こちらから分けていただいたのは言うまでもありません。要次郎さん、いつもお世話になっております!




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