森のかけら | 大五木材


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20160118 1先日、地元で新年恒例の祈祷という行事がありました。町内にある阿沼美神社に集まって、地区ごとに分かれてお祓いを受けるもので、毎年1月の第三に日曜日に開催される神事なのですが、これをしないと新しい年を迎えた気分がしないほどに、私もすっかりここ平田町の人間になりました。この地に住むようになってからもう30年近くになりますので、この神事もすっかり新年の風物詩として体に染みついてきました。このご祈祷の話もブログを始めてから毎年書いている気がしますが。

 

20160118 2毎年このご祈祷の際にここに座ると、目に入るのが阿沼美神社の名前が縦書きに彫られた扁額の上に、横書きで『誠天道誠思人道』の言葉が書かれた扁額。が飾ってあり、いつもその言葉を見ては思い出す映画があります。『中庸』という古典に書かれた言葉で、原文は「誠者天之道也。誠之者、人之道也」。「誠は天の道なり。之れを誠にするは人の道なり」と訳されています。この言葉を見ると必ず思い出す映画があります。森田芳光監督、夏目漱石原作、松田優作主演の『それから』。

 

20160118 3その映画の中で、松田優作演じる主人公・ 長井代助が、兄に金の無心に訪れた際に壁に飾ってあったこの言葉を呟くシーンがあります。30歳にもなりながら職にもつかず自由気ままな生活を送る代助が、その言葉を目で追いぼそっとつぶやきます。「誠の道は天の道なり、人に道に非ず」。漱石の原作にもあるのですが、これでは本来の意味とは真逆の解釈となります。本来の意味は、誠とは嘘偽りのない真心、つまり天の道である。その天の道を素直に受け入れて誠にするのが人の道だというもの。

 

20160118 4それを、敢えて逆説的に主人公に語らせたのは、この物語が友人の妻に惚れて略奪するという「格調高い不倫小説」だからです。初めてこの映画を観たのは大学生の頃で、この『中庸』の言葉の意味も、後に文化とまで言われる不倫の「高尚さ」すら理解できませんでした。この言葉の意味を気にするようになったのは、実はご祈祷に参加するようになってから。当時言葉の意味はよく理解できずとも、優作の口から発せられる言葉が耳に心地よく、意味深な言葉だけは記憶していました。

 




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