森のかけら | 大五木材


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20160922-1昨日の続き。それまで大学で怠惰で運動不足な生活をしていたツケで、体力がまったくなくて、一緒に作業されていたおばさんたちにすら及ばない情けなさ。その当時から愛媛県は柱製材が主力だったので、日々スギ・ヒノキの柱が市場に集められます。当時はまだ4寸(約120㎜)柱もよく使われていましたので、3.5寸(約105㎜)と4寸が半々。更に現在のように品質に乾燥を求めない牧歌的な時代でもありましたので、鉄のように重たい生材もガンガン入荷しておりました。

 

 

20160922-2それらの材の梱包を解いて、役物(和室などに使われる化粧柱)の場合は等級付けをしながら1本1本立て掛けていくのですが、まあその重たいこと!それまで鞄をかけるぐらいにしか使っていなかった軟弱な私の肩は、わずか1日でボロボロに。皮が擦り剥け血が滲み、握力もなくなって帰宅しても箸が持てないほど。それよりもとにかく基礎体力がなかったので、昼休みになると大急ぎで食事をして先を争うように昼寝。家に帰っても慣れぬ作業で疲労困憊。貪るように眠りました。

 

 

20160922-3それでも慣れとはえらいもので、そんな日々も1ヶ月もすると次第に慣れてきて体力もついてきました。それまで異国の言葉のように聞こえていた「サンゴノゴスン(三寸五分の五寸)」とか「ニブサン(二分三厘)」、「ニムイチジョウ(柱の役付:2方無節1方上小節)」㊨、「タルキ・ネダ(同じものなのになぜ呼び名が違うのか分からず)」なんて言葉の意味の分かり、聞き取れるようになって少しはこの仕事も面白くなってきたところで、バイト期間も終わっていよいよ入社。

 

 

20160922-4そういう時期にお世話になった思いで深い市場なのですが、その数年後に移転して現在の松山市中野町に移りました。それまでは敷地も狭くて建物も老朽化していましたが、私にとっては木の仕事をスタートさせた場所なので、錆びた鉄骨も汚れた壁もひび割れたアスファルトも今でもよく覚えています。その光景が私にとっての木の仕事の原風景でもあります。それから月日は流れ、私の材木屋人生も四半世紀。もうそんなに多くの時間が過ぎてしまったのかとちょっと感傷的な気分に。

 

 

20160922-5その日は何か仕入れがあったわけではないのですが、珍しく広葉樹が出ていると聞いたので行ってみたものの、思惑とは違っていたので買いませんでした。この市場の主力はスギ・ヒノキで、広葉樹はほんのわずか。何でも揃う百貨店的な経営ではとても太刀打ちできない零細材木店としては、生き残る活路を地元ではなかなか揃わないレアでマニアックな品揃えの方向に見出しましたので、構造材は必要最低限しか仕入れません。なので同業者から奇異な目で見られる事もしばしば。

 

 

20160922-6今ではそれが快感にさえなりつつあるのですが、早いうちに方向転換をはかっていてよかったと今は心底思っています。弊社のようなマニアックな商品中心の材木屋でも、毎日そんな材ばかりが動くわけではなくて、日々の仕事で出番が多いのは下地板や野縁、胴縁といった羽柄材。全体のボリュームでいうと米櫃(構造材・羽柄材など)とデザート(銘木や耳付板、レアな木など)ぐらいの比率ですが、重きを置いているのはデザート。最終的にはデザート専門店にまでなりたいのです。




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