森のかけら | 大五木材


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時代が変わればこうも評価が変わるのかと思わせるものの1つに『エイジング材』があります。そんな風に呼ぶと格好良く思われるかもしれませんが、要は経年変化で表面が白銀色になったもの(弊社ではあえてその変化を、ロマンスグレーになったと呼んでいますが)。医療や化粧品の分野では、「アンチエイジング」という言葉がよく使われますが、その場合は加齢に対するアンチテーゼとして、いつまでも若々しく元気でいたいという「抗老化」や「抗加齢」の意味としてのもの。

 

 

つまりエイジングがネガティブなものとして捉えられているわけですが、木材についてはこのエイジング材がもてはやされる傾向にあります。ひと口にエイジング材といってもその定義は様々で、実際に店舗や住宅等で長い間使用されて、傷や汚れなど自然に風合いの生まれた古材であったり、新しい材を故意に傷つけたり汚したり着色したりして風化させたように見せたものであったりですが、いずれにしても経年変化で独特の味わいが刻み込まれた木材という事だと思います。

 

 

店舗だけでなく個人の住宅でもそういった材を使用したいという要望は年々増えていて、そういう問い合わせも急増しています。以前にこのブログでも紹介しましたが、ペンキで着色したり、釘の跡をつけたりして、時間を逆行した商品を作ったりもしました。本当はそういう風合いは自分で育てていってこそ価値のあるものだとは思っているのですが、こういう形で木材に人気が出るなんて昔は想像もできなかった事。

 

 

 

昔はよく、材木屋は少しぐらい材を腐らせるぐらいで丁度いいなだなんて言われたものですが(恐らくそれぐらい材も豊富に持った懐の深い商売をしろという意味だったと思うのですが)、今や材を腐らせるなんてもってのほか。在庫管理の脇の甘さを露呈するようなもの。なので意識的にリアル・ロマンスグレーな木を作る意思はないものの、さまざまなおとなの事情で不本意ながらエイジング材が生まれてしまうこともあります。こちらのホワイトセラヤのエイジング材は30年物

 

 

私が漬けた材ではなくて、その前の主人が漬けたものを私が引き継いだというものです。その当時のことですから、決してエイジング材を作るためにこうなったわけではないと思うのですが、結果的に忘れ去られてロマンスグレーになり、部分的には更に事態が進行して一部は腐食が始まっているところもあるという、かなり通好みの材に仕上がっています。本来、劣化によって価値の下がるモノが価値を生むという新たな形態だからこそ、その出口の高い完成度が求められるのだと思います




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