森のかけら | 大五木材


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実際に行ってみて初めて分かったのですが、兼六園はマツの宝庫でさまざまな種類、樹形のマツが博覧会のごとく居並んでいます。その数なんと約800本!しかも今では入手することも容易ではないクロマツの力強い立ち姿がズラリと揃っているので、マツマニアにとっては垂涎の場所。しかもお手入れが完璧なので写真映えもします。私もこの絶好の機会を逃してなるかと、そんなマツにレンズを向け続けたものの、あまりに撮り過ぎて、どれがどのマツやらすっかり分からなくなってしまい・・・。

そんな数あるクロマツの中でもひときわ異彩を放っていたのが、こちらの『根上松(ねあがりのまつ』。兼六園の数ある名木の中でも1、2を争うと言われていて、13代藩主・前田斉泰(なりやす)お手植えのものだそうですが、その生育過程が特異。根元の土砂が長い年月によって浸食されて、結果的に根上がりになったマツというのは結構全国的にもありますが、ここの値上り松は人為的に作られたもの。稚松を高い盛土に植えて、マツの成長に合わせて徐々に盛土を取り除いて今のような形にしたそうです

足元の土砂が取り除かれてもなお力強く大地を掴もうとするマツの根には生命力がみなぎって、生命の神秘を感じずにはいられなくなります。今にも動き出しそうにも思える筋肉質の根は、まるで拠るべき地面を取り上げられた怒りに満ち溢れているかのようで、以前に魚津(富山県)で見た、獲物を求めて触手をあちらこちらに張り巡らしたエイリアンのような水中埋没林の姿を想起させてくれました。取り上げたければいくらでも土を取り除けばよかろう、そんな意思を感じさせる異形の凄み。

資料によると、40数本もの根が地上2mにまでせり上がり、樹齢200年にならんとするこの老木を支えているとのこと。幹の周囲はおよそ4mもあるとのこと。そのたたずまいは毅然としていて、畏怖を超えて軽い恐怖すら感じさせ、周辺のマツとは格の違いを見せつけてくれます。複雑に入り組んだ根の絡み具合から、材になったら相当に面白い杢が見られそうだと仰った方がいましたが、さすがにこれだけのものになると、伐採後の姿をイメージすることすらも恐れ多く感じてしまいます。「根上松」は、その言葉から「値上待つ」にも相通じるということで、信仰の対象になることも多いのだそうですが、これだけの迫力だと、待つどころかこちらから攻め込んでいきそうな勢い。この名木を観れただけでもここに来た甲斐があったというものです。




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