森のかけら | 大五木材


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永らく乾かせておいた(決して忘れていたとかではなく!)愛媛県産ケヤキ(欅)の耳付き板を奥から引っ張り出し、さあ木取りしましょうと広げてみると、耳の部分に『生き物たちの記録』がガッツリと刻まれていました。これが木材市場で買ってきた高額の板であれば、血の気が失せるところでありますが、地元の小さな丸太を挽いたもので、色や艶を残すために天然乾燥させていたもので、もともとこれで一枚板のテーブルやカウンターにするつもりではなく、割り返して使うつもりだったので意にも介さず。

まだ建築用材と家具用材しか『材の出口』を持っていなかった頃であれば、いくら安く買った材でも虫の材は頭の痛い問題であった事に変わりはないのですが、今や『虫が穿孔して出来た虫穴(ピンホール)』すらも『キャラクター』という名の個性として活かせる出口を確立しました(モザイクタイル)ので、怖いものなし!まあそれにも程があるにはあるのですが、気持ち的に虫穴に恐れおののく事は少なくなって、こういう穿孔跡すらなかなか芸術的趣きがあるじゃないかと思える余裕も出来ました。

そしたら、今度はそれすらも商品に結び付けられないかと考えてしまう自分自身に呆れますが、それぐらいの価値はありそうに思いませんか。もうそうな材としての本質でない枝葉の部分で心迷わされずに、本道の活かし方を頑張らんかい、という声も聞こえてきますが、誰もが相手にしないところにこそ実は大きなチャンスがあったりするもの。これがそうだと言うわけではありませんが、ものの見方のひとつとしてそういう視座も持っておきたいということです。木に求められるものも随分変わってきましたから。

従来からの建築資材や家具資材、土木資材、チップなど出口も大事ですし必要だと思っています。しかし弊社のような零細材木屋が生き残って行く道は、そんな華やかな道ばかりではないように思うのです。これはあくまでの1つの例えですが、ものの見方をどこまで変えられるか、ただのゴミにしか見えなかった端材が【森のかけら】に生まれ変わったように、どういう調味料をどのタイミングで振りかけるかで、出来た料理をどの場面で誰に出すかによって大化けするものがまだまだ眠っているはず

補足解説

バークビートル、樹皮下キクイムシと呼ばれる仲間ですね。幼虫が樹皮のすぐ下ーー内樹皮、形成層、未熟な木部ーーを食べます。材の深くまでピンホールを作るキクイムシより被害は少ないです。病原菌を運ぶ一部の種類を除いて、枯れかけてから(伐採してから)産卵→被害が多いです。ケヤキが倉庫に来た時には、樹皮の下で幼虫がせっせと食べていたのではないでしょうか。食痕が独特の模様になるので、磨けば個性になるかもしれませんね。
神戸大学大学院農学研究科 黒田慶子教授)※黒田先生から補足解説をいただきました。




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