森のかけら | 大五木材


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材木屋仲間同士で話をするとき、「木材を何で売るか?」という話になって、「わが社の最新鋭機機械で作った高精度の品質で売る」とか、「全国に張り巡らした流通ネットワークで売る」とか、「昔ながらの杢や木味などの目利きの力で売る」、中には「競争力のある大量仕入れの低価格が売り」など、ひとそれぞれですが、私は「木を言葉で売りたい」。何をそんな綺麗ごとをほざきやがってと思われるかもしれませんが、9年間このブログを書き続けてきた材木屋として選んだ「私が材木屋として生きる唯一の道」。

誰だって言葉で営業して木を売っているわけですが、私が言いたいのは表層の価格的な交渉や品質、ボリューム、納期などを語るための記号的な言葉ではなく、その木の背景にある歴史や逸話、伝承、またその木の名前の由来や昔ながらの用途、名前にまつわるエピソード、本当のような嘘のような都市伝説ならぬ樹木伝説、そしてこの木が誰の手を通してうちにやってきて、ここでどう過ごして、これからどうなっていくのかといった個別の履歴などなど。「そんな話が木を売るのに必要か?」とよく問われます。

必要ないかもしれません。そんな話はどうでもいいから1円でも安いほうがいいわ、その方が施主さんのためや!そうかもしれません。だからそういう人はそういうお店で買われればいいと思います。サクサクっと木を安く買って帰りたいだけの人はそうすればいいし、そんな話を聞いたからといって何の得になるわけでもありません。でも私は思うのです、自分が魚を買うときは魚が好きでたまらない、あのタレントのさかなクンのような人から買いたいと。自分が肉を買うときは肉が好きでたまらない肉屋から買いたいと。

自分の扱っている商品のことをキラキラした目で一生懸命に話すそんな人から、そんな人が扱うものを買いたい。それが少々高くても、味が決してNO.1ではなくてもいいんです。大事なものは、自動販売機からではなく、ひとから買いたい。その仕事が(バカみたいに)大好きで、自分の商品に(バカほど)愛着と誇りを持っていて、お客さんが飽きれるほどに語りすぎてしまう、そんなひとから買いたい。だから世の中には、木を買うときには、価格だけではないものを求めている自分と同じようなひとだっていると思うのです

まだまだ収斂が足らず、木の深みには辿りつけていません。恐らく一生かかってもその深みを知ることはないのかもしれませんが、大好きな木の話をすることが仕事であるという今の状況は私にとってもっとも居心地のいい場所なのです。木の話をするとき、私もまた心が高揚し、恍惚の中にいます。幸せな仕事だと感謝しています。材木屋の仕事が天職だと思っています。昔であれば想像もつかなかった方法で木を売ろうとする愚息の事を、父は空の上からどういう気持ちで見ているだろうかとふと考えた、まだまだ尻の青い51歳の春。




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