森のかけら | 大五木材


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今日も映画『シェイプオブウォーター』の話。登場人物たちもそれぞれに闇を抱えた『異形なる人たち』で、自分の闇と立ち向かって生きています。その描き方、視点が優しいので、半魚人をモノとして扱いひどい仕打ちを与えるエリート軍人がいるのですが、解剖予定の半魚人を逃がしたことですべての栄光と地位を失ってしまうことになる彼にすら同情してしまいそうになるのです。エリートを鼻にかけるいけすかない彼にも絵にかいたような傲岸不遜な上司がいるのですがその彼にもまた・・・なんて想像してしまう。

また、ソ連のスパイである科学者も、国を裏切り科学者としての矜持に生きます。主人公のイライザの同居人であるゲイの絵描きも、同じ清掃員の黒人女性も、いわれなき差別や社会からの疎外に耐えて生きています。みんな一生懸命いきているのにこの世はままならないことばかり、だけどそれを嘆いたりしないで心がハッピーになることを見つけようじゃないかと、深刻なはずのテーマを、半魚人との恋というありえない話で語るところが秀逸!水を多用した撮影も見事で、いつも画質が濡れているようなウエットな雰囲気。

雨や夜のシーンも多く、途中でモノクロ映画を観ているような気分にもなりました。デル・トロの画の切り取り方も大好きで、どのシーンを取ってみても構図がバッチリ決まっていてスチール写真に使えるぐらい画角が計算されている。おたくのデル・トモはいつも数多くの名作のオマージュも散りばめる事も有名ですが、私が印象に残ったのはソ連の科学者の名前(ディミトリ)と、エリート軍人(マイケル・シャノン)が途中から クエンティン・タランティーノ監督に見えてきて仕方がなかった・・・

外見から異形なるモノとして目に見えるのは半漁人だけのようだが、イライザは言葉を失っており、同居人のゲイの芸術家は職を失っている。黒人の清掃婦は夫との会話を失い、エリート軍人は指を噛みきられ失う。ソ連のスパイの科学者は信じていた母国に裏切られる。この映画に登場する人物は皆、何かを大切なモノを失い喪失感を抱いている人々だ。半魚人を必死に逃がすこと(追いかけること)でまるで彼らは失った大切なモノが取り戻せるのではないかとでも思っているかのように。これは喪失と再生の物語




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