森のかけら | 大五木材


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自分でその存在も忘れてしまっていたほど、商売としては縁薄かったカイヅカイブキ(貝塚伊吹)だったのですが、写真を撮ろうと倉庫の正面に立て掛けてから数日の間に、急に事務所で「イブキ」という言葉が何度も交わされるようになりました。来店するとよく見える場所に置いていたこともあって、端材を買いに来られた方が「あの変わった形の木は何ですか?」と尋ねられるというのは、まあ分るのですが、HPにその事をアップしていたわけでもないのに、ネットからイブキに関する問い合わせが数件・・・

弊社がイブキに特化した店という事を打ち出しているわけでもないし(在庫だってわずかしか持ってもいませんし)、イブキに関するブログも過去に数回しかアップしていないし(しかもそれも数年間)、なぜ急に県外から問い合わせが相次いだのか?実はこういう事って時々あって、例えばテレビや雑誌などである木から作られた木製品が取り上げられたりすると、木工作家がネットで検索してたまたま上位に出てて弊社に辿り着くというパターンです。セドロとかチューリップウッドなどがそのパターンで謎の問い合わせ急増が起こります。

もしかしたらイブキについても何かもメディアで話題になったのかもしれませんが、問い合わせの用途はバラバラだった(地域も)ので、本当に倉庫の奥からご縁も引っ張り出したのかもしれません(笑)。その余波でオンラインショップにもアップしていない『イブキのりんご』にまでお声がかかったりしてありがたいことなのですが、本命はやはり材の方です。そのうちの1件は、イブキを意匠的なカウンターに使っていただくことになりました。この形に惚れ込んでいただき、機能性はほぼ無視(笑)して味わい優先の仕様です。片方は看板として使っていただく事になりました。

淡く見るのはまだ塗装をしていないからで、これにオイルを垂らすと艶のあるピンク色になります。日本の木でここまで色気のある妖しい雰囲気が出るのはイブキヤマザクラぐらい。しかし残念ながら時と共にその妖しさは失われて褐色になっていくのですが、それも味わい。施工後の塗装なので今はその妖しさも見えていませんが、この板だけを選びに来られたはずが、盛り上がり過ぎてしまい、帰りにはテーブルや椅子までご注文いただいたので、改めて納品に行かせたいただいた際にその晴れ姿も拝ませていただくつもりです。




日々、いろいろな木が入って来るようになって、しかもそれが木材市場で仕入れるような大きなものばかりでなくて、街路樹や庭木、公園木、神社木などだったりすると、短かったり曲がっていたりすると、さあすぐに製材所に持って行って挽いてもらうというわけにはいかず、うちである程度「解体作業」するなど、仕分けをせねんばなりません。それが目先の作業に追われてついつい後回しになって、いつの間にかすっかり銀灰色になってしまい、何の木だったかすら分らなくなるほど放置してしまうこともしばしば。

場所も狭いので、そうして放置しておいた丸太が雨風に晒され朽ちてしまったり、虫の餌食になってしまい使い物にならなくなることもあり、先日も整理をしていたら、表面に無数の虫穴があいて樹皮がボロボロになっている丸太がありました。申し訳ない事をしたけど、このまま置いておいても虫たちの巣になると断腸の思いで処分するしかないかと鋸を入れたら、思わぬ手応え!そして中から一気に噴き出す芳香。昔にいただいたカイヅカイブキの丸太でした。白太は朽ちたり虫にやられておりましたが、赤身は健全そのもので艶やかですらあります。

赤身部分を触ると少しヤニっぽさがありますが、この赤身部分のタフさこそがカイヅカイブキの真骨頂!虫も腐朽菌も寄せ付けないこの赤身部分の逞しさ。出入りの多い樹形なのでいびつに広がった年輪に生命力が凝縮されています。この不規則な年輪幅が、『森のりんご』に加工した時には絶妙の杢となって現われるのです。これはそれほど大きな木ではありませんが、『森のりんご』や【森のかけら】を取るには充分な大きさ。ただ、それだけだと向こう何年分もの在庫となってしまいそうなので、何かしらカイヅカイブキの新しい出口も探りたいと考えています。

これでもう少し大きいものになれば、写真のように板に挽いて、床の間の落とし掛けにしたり、店舗の看板などにして、樹形の変化を意匠的に楽しむこともできます。一般的に材木屋で見かけるカイヅカイブキといったら、こういう姿だと思います。和室の減少に伴いすっかり出番がなくなり倉庫の奥で眠っていましたが、撮影も兼ねて前の方にまで引っ張り出していたら、この数年も話題にもならなかったカイヅカイブキになぜだか急に次々と声がかかるようになって・・・。もしかして引っ張り出した時に一緒になにかご縁も引き寄せたかしら?




200種類以上の木を扱っていれば(あくまで種類というだけで量は微々たるものですが💦)、同じ日に全然違うところから同じ木に問い合わせが来るということも確率的にはなんら不思議な事でもないのでしょうが、『ムー世代』のロマンチスト材木屋としては、「こ、こ、これはシンクロニシティ!木の神の見えざる力が発動された~!」などと勝手に盛り上がって、その邂逅を授けていただいた「かけらの神」に手を合わせて感謝しています。今回の巡り合わせは『カイヅカイブキとシラカシとサッチーネ』です!

まずは、街路樹として御馴染みのヒノキ科ビャクシン属の木、『カイヅカイブキ(貝塚息吹』。普段からその立ち姿を見ることは多いのですが、通常木材市場に出材されることは稀なのと、貴重な出口であった「和室の意匠」もほぼ壊滅状態にあって、改めてこのブログを見直してみても、6年目に触れて以来まったく取り上げてもいませんでした。以前は床の間の落とし掛けとか、田舎の大きな家の玄関の飾りなどにも使われていたのですが、出番が無くなりずっと倉庫の奥の方に幽閉状態にあったのです。

それではいかんという気持ちから、この木を使って『森のりんご』も作ってみました。それがこの『イブキのりんご』です。削るとその木肌は淡いピンク色をしていて惚れ惚れするような美しさなのですが、経年変化でその美しさはみるみる失われていき、写真のようなくすんだ赤茶色に落ち着いてしまいます。色止めが出来ればなあと切望する木の1つです。このりんごだって、仕上がった当時はそれはそれは美しゅうございました。しかしこのうつろいやすさの中にこそ、本当の美があるのかもしれません。真実の美は儚さの中にありて目の見えぬものなり。

カイヅカイブキはその立ち姿からも分るようにかなりいびつな樹形をしているので、板に挽いても平面が得にくいので、使いどころに工夫が必要になります。それが「りんご」の曲面の中では、心材の赤身と辺材の白身が混ざり合って得も言われぬ表情を醸し出してくれます。遊び心のある人にはそこがたまらない木でもあり、通好みの木とも言えます。イブキは油分も多くて、「かけら」に加工しても持つと小口がねっとりとする事があります。昔はどうにかしなければとも考えましたが、歳とともにエイジングに寛容になってきました。明日に続く・・・




ひと削りしてすっかり綺麗になったキリ(桐)ですが、今回はこれを使ったノベルティのご注文を受けており、桐材を適サイズに木取りしていきます。帯鋸でザックリ荒割して、プレーナーで削っていくのですが、ここで取り上げるのはその主となるノベルティグッズではなくて、それを作るために挽き割った残りの端材。通常ならばこのまま焼却炉の灰となるペラペラの薄板。さすがにこれからは【森のかけら】も『モザイクボード』も作れません。この段階で十分に採算は取れていますので処分しても問題はありませんが、

木材の製麺線について私はこう考えています。例え立派な材があったとしても、こちら側にアイデアがなく活かしきれなればそれはゴミであり、有効なアイデアが見いだせればそれは原料となると。それは端材についても同様で、使える原料にするのか、処分すべきゴミにしてしまうのかは、こちらがどれだけ引き出しあるいは出口を持っているか次第。このサイズだと『ストラップ』として有用ですが、現在その在庫はたっぷりとあるので、別の出口に使ってみようと思います。これを集めて丁寧に小割してサイズを揃えていきます。

それで作ったのがこちら。幅40㎜、厚み5㎜、長さは80~150㎜の8種類。小割した端材で取れるだけ取りました。ここまで短いものまで取り切ると、さすがにこれで残ったものには未練はありません。キリは非常に軟らかい木なので、建築用材としてはなかなか使いどころが少なくて、家具だと引き出し内部などに用途はあるものの、それもある程度のサイズ感が無ければ、あまりに小さな材だと使いづらい。有名な用途である下駄や琴は専門性が高すぎて弊社からは結び付かないので、軟らかい性質を活かせるキリならではの出口が見いだせるかどうか。

それでもヒントとしたのは、やっぱり。音楽はもとより楽器についてもまったく知見を持ち合わせはいませんが、昔からその素材に選ばれているぐらいだから音の響きが素晴らしいのでしょう。よく「それぞれの木の特徴を活かした出口を見つけたい」と言っていますが、それは決して斬新なものということだけでなく、昔から親しまれてきた使い道を今風にブラッシュアップさせたり、少し何かを付け足したりするということでもあります。なにしろ先人たちはもうこれ以上は出ないだろうと思われるほど材の特性を絞り出していますから。続く・・・




大五木材の狭い倉庫の中にはぎゅうぎゅう詰めに木材が押し込まれていて、スーパーマーケット並みにスペースの奪い合いが日々繰り広げられています。限られた空間を有効に活用するため、いったん鋸が入って割り返された残りの材のような木材は「指定席」から「自由席」に移っていただかねばなりません。天井窓から光が差し込み、いつも明るい場所で目につきやすく木製の台座に上に並べられるVIP待遇から、雨風の影響を受けやすい入口付近、次に差し掛けの屋根の下へと移されていきます。

それまでに早く『出口』を見つけてあげるのが私の仕事なのですが、200種以上もあるとすべての材に目が行き届きません。この木も以前に注文が入って、鋸で大割してあるものに活用したのですが、残った部分が長い年月、差し掛けの屋根の下で過ごしてきました。屋根があるといっても雨や風には晒されているので、すっかり表面は日焼けと汚れで灰褐色になってしまっています。一見すればもうこれは使い物にはならないレベルと思われるでしょう。しかし、私にはまだ勝機がありました。この木ならばまだ使えるはず!

幸いにも、この木の上にも少しだけ違う木材が乗っていたので、壊れかけた雨どいから落ちる雨水に穿たれて朽ちるという状況にはありませんでした。その木を削ってみると、綺麗な木肌が復活!写真では何の木なのか分りにくいかもしれませんが、これは『キリ(桐)』の木です。キリは伐採後そのまま使うと、後からアクが滲み出すので、水に浸してアク抜きをしてから使わなければなりませんが、それが出来るのは桐箪笥などそれなりの出口に利用されるごく一部のエリートのキリだけで、この辺りから出材される小径木のキリにまでその処置がされることはありません。

なので、後からアクが滲み出したりして評価が下がり、やっぱりキリを使うのは止めておこうという悪循環が発生したりするのですが、どこまで手間をかけれるかというのは難しいところ。それがこのキリは、たまたま長い間雨に晒される場所に放置晒されていたことで、いい感じにアク抜けが出来たみたいで、削ってみると以前よりもいい感じの美白。まさに怪我の功名ですが、たまたま素材がキリで、ほどほどに雨風に晒される場所で、運よく出番が巡った来たというだけで、そのまま朽ちていく木も多いので、失意のまま陽の目を見ることがなかった彼らへのこれがせめてもの罪滅ぼし。




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