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今にして思えば、私がこの世界に入った20数年前は、住宅資材としても結構さまざまな種類の国産の木を使っていました。その当時はそれが当たり前、普通だと思っていましたし、それが姿を消すという感覚も実感もありませんでしたし、そもそも普段からいつも使っているわけではない特殊な樹種に対して関心がありませんでした。それがある日、気がついたらその樹種が手に入らなくなりつつ事を知り慌てて、やっとその木のありがたさを知ることに・・・
そんな繰り返しで、沢山の木が目の前を通り過ぎて行ったことか。当時は【森のかけら】のような端材を使うという視点が欠落しており、相当にもったいない事をしたと後悔しております。今になって無性に端材が愛おしくなるのはそんな木々に対する懺悔の気持ちもあるのかもしれません。で、ヒムロも【森のかけら】に加えたいと探したのですが、既にレアで高価な特殊材になってしまっていたため断念しました。それが今回偶然ごくごく身近な所で手に入る幸運が!
とはいえ、町内会で伐採しようというぐらいの大きさですので、幹の部分でも直径90mm前後のこぶりな若木です。よく、【森のかけら】は35mm角なんだから、それより少しでも大きければ使えるでしょうと言われますが、当然のことながら芯の部分は『芯割れ』といって、芯の中心部分から放射状に割れますので、芯を外した部分で取らなければなりません。稀に芯を含んだまま奇跡的に割れずに乾く木もあったりしますが、一般的には芯は外して使います。
これが柱とかになると強度の関係でまた別の話ですが。それで、35mm角の【かけら】を取ろうとすると、乾燥による収縮、ねじれまで含めて考えると、荒材(加工する前の状態)で最低でも45mm角はないと使えません。なので丸太の場合は、最低でも直径が120~130mm以上はないと【かけら】には出来ないのです。しかもそれで曲がりがあるともっと大きいものが必要になります。なのでそれ以下のものは、『モザイクボード』などに利用しています。
木の大きさに合わせて何段階かの出口を用意しておかないと、折角手に入った貴重な材をみすみす無駄にしてしまいます。それもあって、『森のりんご』、『森のたまご』、『森のこだま』と微妙なサイズ違いの出口を作りました。現在の最小サイズは『モザイクボード』(加工上がりで27X27mm角)なのですが、こういうヒムロのような材の出口も早急に考えねばと思っています。『かけら』のひとつ下をいく『森のしずく』構想がますます現実味を帯びてくる!
先日の町内会の清掃で、いただいた戦利品をご紹介。本当はこの木も【森のかけら】に加えたかったのですが、リスト選定した当時、どこをどう探しても見つけることが出来なかった木の1つが、こちらの『ネズミサシ』。ヒノキ科ビャクシン属の針葉樹で、本州から四国、九州に広く分布している木ですが、この辺りでは『ネズミサシ』という名前で呼ばれる事はほとんどありません。以前、県外の方と話をした時にこの木の別名では話が通じなかった事があります。
『ネズミサシ』というちょっと物騒な名前は、文字どおり針葉が鋭く尖り、鼠の通り道にこの木の枝葉を置いておくと針葉が鼠を刺して進入防止になることに由来しています。実際に鼠を刺したかどうかは定かではありませんが、伐採しようとする人の手に突き刺さる事は間違いありません。見た目にもかなり痛そうな事がお分かりいただけると思いますが、気をつけて触ったつもりでも容赦なく柔肌にザクザクと突き刺さります。それがまた痛いの何のって・・・!
四国では、この木の事を『ヒムロ』と呼びます。その俗名は、かの万葉集にも登場する古名で、葉が密生することから「こもる」の意味があるのではと推察されています。あるいは、実が群がってつくという事から『実群(みむろ)の木』からきたという説もあります。 サワラの園芸品種として公園や庭園などに植生されるそうですが、私は自生しているものしか見たことがありません。アカマツと同じような環境を好む事でも知られていて、案の定アカマツの付近で生えていました。
密生した枝葉が重いのか、途中で枝先は地上に向って曲がって垂れています。伐採直後の木の皮は気持ちいいぐらい綺麗に剥けるのですが、この辺りではもっと大きな立派なヒムロは、樹皮を剥いて床の間の落とし掛けなどにも利用してきました。不規則にねじれた形の中に赤味が見え隠れするコントラストと独特の風合いが何とも風情があったものですが、もはやそれを使うような床の間もほとんどなくなり、ヒムロの出番はすっかりなくなってしまいました。
ところで、何でこんなところに場違いなシュロの木が!?と思うことはよくあるのですが、実はこれ野良生えのシュロ、「ノラジュロ」で、鳥たちが運んでたまたまその地で適して生えたものです。現在、増えすぎたシュロによる環境への影響が深刻な問題となっていて、害樹として駆除する動きもあります。しかしこのシュロ、一見するとか細く見えるものの、地中深く張り巡らされた根は撤去するのも容易ではなく、樹皮以上に手強いのです。野良生えの生命力や恐るべし!
そんなノラジュロを沢山のロスを出しながらもどうにかこうにか「かけらサイズ」にまで仕上げたものの、今度はなんと鼠に齧られてしまうという悲劇に見舞われました!かなり乾燥が進んでいたと思っていたのですが、鼠の好む匂いか味があるのか、数ある「かけら」の中でも、「シュロのかけら」だけを選び出して齧っているのです。しかも、外に放置しておいたわけではなく、きちんと棚に並べて収納して、外からは簡単に開けられないような状態であったにも関わらず!
まあ、そういう経緯もあってシュロの製品化は断念したのですが、ノラジュロって至る所にあって案外簡単に伐採したものも手に入るので、もう一度考えてみようかとも・・・。さて、話は戻って伐採した木の事ですが、直径こそそれほどでもなかったものの長さがありましたので、軽トラックで2台満載分いただきました。樹形から類推するにモチノキだという事は分かっていたのですが、今回はその枝や葉っぱまで入手できたので、持ち帰って詳しく葉っぱを調べました。
その枝や葉っぱが対生で葉脈が透けて見えるという特徴から、『トウネズミモチ』と判断。こういう形で辛抱強く時間と手間をかけて集めていけば、愛媛県内でも多様な樹種が集められます。持ち帰った材は、早速翌日製材して乾燥させるために桟積み。丸太のままで置いておくと、何に使おうか迷っているうちに、割れや虫害にあったり、腐食や青染みが発生し使い物にならなくなります。 今回は、『森のかけら』、『モザイクボード』に狙いを定めてサイズを決定しました。
町内の道祖神の祠がある所に生えていた数本の木の根元が崩れて、いつ倒壊するか分からない危険な状態にあるという事で、伐採される事になりました。まあまあ大きな木でしたが、伐採後は廃棄するということでしたので、それではあまりにモッタイナイ!お願いして分けていただく事にしました。今まで気にして見た事もなかったのですが、よくみると確かに根元の土がごっそり崩落していて、根っこが半分以上も剥き出しになっていて、今にも道路に倒れてきそうな状態でした。
町内の役員産方がお祓いをして、造園業者の方の手により伐採開始。大小含めて5、6本の木を伐るのですが、その祠のある位置が道路から数メートル上がった高台にあるので、クレーン車で吊り上げながらのかなり大掛かりな作業となりました。その日伐採したのはネズミモチとサクラの木。サクラは結構大きい木でしたが、中は案の定深い洞(ウロ)が入っていました。昔ならば建築に適さない木には目にもくれませんでしたが、これはこれで充分に使い道があります。
何より高台から町内を見守ってくれていた木、大切に使わせていただかねば!その隣には「棕櫚(シュロ)」の木もあり、こちらも伐採するのでどうかと勧められたのですが、丁重にお断りさせていただきました。ヤシ科ヤシ属の被子植物シュロですが、これがなかなか手強くて、以前『森のかけら240』のリストを選定する際に、是非シュロも加えようとした事があったのですが、あえなく断念しました。それまで「材」としてのシュロを気にした事がありませんでした。
シュロを割ったらどういう風になっているのかも知らなかったのですが、製材してビックリ!その切り口はこんな感じで年輪は見当たりません。例えるならば、粒々のある山芋をカットしたような断面です。シュロの樹皮は昔からシュロ縄などに利用されるほど強靭なのですが、その樹皮が製材すると鋸に巻きついて大変な事になるのです。何とかうまく製材したとしても、水分をたっぷりと含んでいるため、乾燥過程で大きく変形収縮してしまうのです。この話、明日に続く・・・
| さて、本日は飲む方ではなく同じ名前を持つ「木」としてのコーヒーツリーの存在も知っていただきたいと思います。どういう形からでも興味を持っていただけるのは、材木屋としてはありがたい事。弊社にあるコーヒーツリーの板は、長さが1600~最長で2700mm、巾が150~400mm前後、厚みが32~64mm程度の小ぶりなものが20数枚です。見た目の印象としては、癖の少ない素直なホワイトアッシュを少し茶~赤褐色にしたというような感じです。 |
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| 今回そのコーヒーツリーの存在を知っていただくためにも、端材の一部を「ちょこっと端材」コーナーで販売させていただく事にしました。現在在庫してある材は、たまたまご縁があって手に入ったもので、今後の入荷の見通しは一切立っていません。在庫がある限りの販売になりますが、飲むだけでなくコーヒーは使っても楽しいものです。私自身もこのコーヒーツリーの特徴についてはまだよく分かっていませんので、自分でも試し試しというところです。 | ![]() |
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