森のかけら | 大五木材


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木と虫」の話で書き足りなかった事をもう少し。先住者である虫に申し訳ないという思いを馳せながらも、現実には非常に残酷で非道な「強制退去」してもらっているわけで、いくら言葉を操ってもやっていることは言い訳の出来ない鬼の所業です。そこからは鬼側の論点ですが、住居から叩き出された虫たちはやがて力尽きて死んでしまう。ならばこいつらも無駄死にするよりは役に立つ方がよかろう(あくまで鬼視点💦)と、鳥たちの目につきやすそうな所に移動させておきます。それを見つけた鳥たちは虫を加えて巣へと運んでいくのです。これぞ命の循環

もうそれならいっそうのこと、うちの土場にキツツキ(啄木鳥)がやって来て、中に虫が潜んでいそうな樹皮の分厚い耳付きの木を探して、木をつついて中の虫を捕まくれないかしら(あ、言っちゃった💦)と思ったりもします。まあとにかく人間はじめ木に命を委ねている生き物は多くいますので、それなりの覚悟を持って付き合わねばならないという事です。さて話は変わりますが、3年前に『適材適所』に木と鳥の話を書いた時には、まだ実例がなくて書けなかった「鳥の名前を持つ木」がありますが、それがこちらの中南米産のマメ科の広葉樹『アンゲリン』です。

『アンゲリン』については、数年前にブログでも取り上げましたが、市場では『ダリナ』という名前で流通していて、自分でいろいろ調べてアンゲリンに辿り着きました。しかし誰かのお墨付きをもらったわけではないので間違っているのかもしれませんが、特徴は合致しているように思います。合ってるという前提で話すならば、この木はイギリスでは、Partridge wood(パートリッジ・ウッド)と呼ばれています。パートリッジとはヤマウズラ(山鶉)のこと。、私の推測だと名前の由来は鶉の複雑で美しい羽に似た木目からきているのではなかろうかと考えています。

荒材の時にはよく分かりませんでしたが、削ってオイルを塗ってやるとまさにウズラの羽のような雅趣溢れた木目が顔を現わします。世界中のいろいろな木が見たい、触りたい、知りたい私はことあるごとにニューフェイスの木を仕入れてきますが、愛媛の人は保守的な人が多くて、実例の少ない木や新しい材には進んで手を出したりしません。しかし、偏屈、変態性を売りにすること10数年、ようやく周辺の同類の嗜好を持つ方々がお集まりいただくようになり、キワモノや初物が歓迎され受け入れていただくようになってきました!変態性の循環。社会は多様な人間で出来ている

 




この数日間、木と鳥の話を書いてきましたのでその関連でもうひとつふたつ。木と鳥が絡む話、何か他にないかなあと思っていたら、そういえば数年前にも同じお題で悩んでいた事を思い出しました。そう思ってブログを検索したみたのですが見当たりませんでした。しかし確かに書いた覚えがあると思って記憶の糸を探っていたら、書いたのは『適材適所』の方でした。平成28年の鳥年に「鳥(酉)と木にまつわる話」というタイトルで定番のバーズアイメープル孔雀杢などの話を書いていました。早いものであれからもう3年・・・

他にも「キツツキ(啄木鳥)」の事にも触れていましたが、キツツキは鋭いクチバシで木の幹を叩いて穴を開けて虫を捕食します。動画ではその様子を見たことはあるのですが、実際にキツツキが木に穴を開けている姿やその音を聴いたことはありません。森の中に入れば、風の音や、枝が擦れ合おう音、動物たちの鳴き声など様々な音に溢れているので、もしかしたらキツツキの音も耳には入っているものの、それがそうなのだと気づいていたないだけなのかもしれませんが。キツツキは木を叩いて音の微妙な違いで中が空洞かどうかを見極めて虫を捕食しているそうです。

最近、丸太のままで愛媛産の広葉樹を仕入れる機会も増えてきたのですが、それに伴い丸太の中に住む「住人たち」と邂逅する機会も急激に増えています。耳付き板を得ようとすれば、硬い樹皮の裏の軟らかくて美味しい(だろう)部分をねぐらとする彼らと衝突するのは必然。むしろ穏やかに暮らしていた先住者の彼らにとって、後からやって来て住処を勝手に切り倒してねぐらを奪い追い出し抹殺させてしまう我々人間の行為は侵略そのもの。いつも申し訳ないという気持ちはあるのですが、こちらも家族を養わなければならない身。心を鬼にして彼らの正当性に耳を塞ぐしかない。

虫に限らず、鳥たちの終の棲家でもあったかもしれないわけで、木を伐るという事、木をなりわいにするという事は、罪深いことだとは自覚しています。だからこそ彼らから奪った木は、最後の最後まで決して無駄にすることなく有効に使わねばならないし、そうすることが自分にとっての免罪符なんですが、そんな事も彼らにとってはどうでもいい話なんでしょう。それを言い出したらそもそも生きている素材・木そのものの言い分はってことになりだしてしまうのですが・・・でもそんな事も日々考えるような材木屋でありたいです。

 




名作『』は、ダフニ・デュ・モーリエの原作を元にアルフレッド・ヒッチコックがメガホンを撮った動物パニック映画ですが、もしこれからこの映画を観るという人は、どこかで観たことがあると思うようなシーンやシチュエーションがいくつも登場すると思います。それらはすべてこの作品が元ネタとなっているのです。何の理由もなくある日突然、鳥たちが一斉に人間を襲い始めたり、ジャングルジムに無数にたかるカラスの黒い群れといった構図など、もはや紋切り型と呼ばれるほどに使いまわされていますがすべてここが原点なのです。

私がめてこの映画を観たのは小学生の頃でしたが、その時の衝撃は今でも忘れられません。ちょうどこの作品のヒットで、動物パニック映画が雨後の筍のようにバンバン製作された時期で、A級B級含めテレビでもよくその手の作品が放送されてよく観ていましたが、蜂やら蟻やらワニ、蛇、トカゲ、サメ、熊などなど。秘密実験で巨大化、狂暴化したり、アマゾンの奥地であったり、軍の秘密基地の近くであったりと、シチエーションが特別だったのですが、『鳥』はどこでも誰にでも起こりそうな話だったので、明日でもわが身に降りかかりそうな恐怖感が半端ではありませんでした。

ストーリーはいたってシンプルで、突然鳥が人を襲うというものですが、結局その理由は分からないというところが不気味なのです。普通ならば、製作サイドから理由が無くては観客が納得しないとNGが出されるところでしょうが、サスペンスの神様と呼ばれたヒッチコックは、切れ味抜群の演出で最後までひと時も飽きさせることはありません。テレビの放送時には『ヒッチコックの鳥』とその名前が冠せられるほどに、ヒッチコックといえば信頼のブランドだったのです。そんなヒッチコックが大好きな熱狂的なマニアの事を『ヒッチコキアン』と呼んでいました。

今では古典的名作で、その演出方法は映画の教科書にもなるほどで、映画関係者の中にもヒッチコキアンはいて、ブライアン・デ・パルマ監督や大林宣彦監督などはヒッチコキアンであることを自称しています。私はそこまで傾倒していないものの『裏窓』や『サイコ』、『北北西に進路を取れ』、『ダイヤルMを廻せ!』、『間違えられた男』、『ハリーの災難』などタイトルを聞くだけで印象深い場面が浮かんできます。映画に限らず小説や歌謡曲でも昔の作品を知らない(観ていない、読んでいない、聴いていない)若い人が増えていて、木の物語を語る際に引用するのにもひと苦労です。こちらが最新流行に疎いというのも問題だとは思うのですが、さまざまな分野の古典も知っておくと世界観がぐっと広がると思うのです。CGの無い時代にどうやって工夫したか、ひとの想像力は無限。

 




以前に、木材置き場の中で鶺鴒(セキレイ)が巣作りをしている話をしましたが、8月に入るとその姿があまり見えなくなりました。鳥の生態には興味もありませんが、今後の対策を講じるためにも一応調べてみると、産卵期は3~7月ということなので、どうやら今年の巣作りは終了したみたいです。木材の隙間に卵を産むので、うかつにリフトで移動させて卵を潰したりしては可愛そうと、リフトで木を動かすときには卵が無いかを確認するのが習慣化していました。まあこれで気兼ねなくリフトを使えると思って木を移動させていると・・・!

なんとそクスノキの板のわずかな隙間にセキレイの巣があるではないですか!しかもその中には4個のたまごが!これは下手に触ってしまうと親鳥が卵を育てなくなるパターンではと思い、巣の下になっているクスノキを動かすのは諦めて元の場所に戻すことにしました。卵は産んだものの途中で放棄したのかもしれませんが、縁あってうちの倉庫に産み落とされたのですから無事に巣立っていってほしいのですがどうなることやら。それでというわけではありませんが、9月の端材コーナーは、たまたま鳥に絡んだ『バーズアイメープル』の特集です。

バーズアイメープル(Birds eye maple)』とは言わずもがな、小鳥の眼玉のような杢が特徴的なレアなメープルの事ですが、背景は勿論名作『』から拝借。自分の中ではこの木の特集にはこれと前々から決めていた定番の組み合わせだったのですが、意外や意外、この映画の事を知らない人が多くてビックリ!今更紹介するのも憚られるような名作なのですが、1963年の製作ですから思えば半世紀以上も前の作品ですから観る機会がないのも仕方ないのかも。なので少しご紹介します。

サスペンスの神様と言われたアルフレッド・ヒッチコック監督が撮った動物パニック映画の原点にして頂点。このヒットを受けて、1970年代にはさまざまな生物のパニック映画が量産されましたが、この作品が原点であり契機となりました。映画が製作されたのは私が生まれる少し前なので、観たのはそれから随分後のテレビ放送ですが、昔はこういう名作もよく放送していました。最近は新作をいかに早くテレビで放送できるかを競い合うばかりで、古い映画は自分で借りて観るような流れなので、古い映画の共有体験が無くなっていて、こうして取り上げてもなかなか分かってもらえないのは寂しい話です。明日に続く・・・

 




以前に、弊社の倉庫にセキレイ(鶺鴒)という小鳥が巣作りをしているという話を書きました。その時に生まれた雛は驚くほどのスピードで巣立っていったのですが、その間心優しき材木屋のスタッフは巣が作られた木を動かすことを断念し(本当は動かす必要はあったのですが)巣立ちを見守ったのです。どうもその行為がセキレイ夫婦に誤解を与えてしまったようで、どうやらわたしたちは偶然にもセキレイが何をしても罪に問われることもなく何をしても自由で安全な聖地に辿り着いてしまった・・・とでも思わせたようです。

雛が巣立ってセキレイの賑やかな鳴き声が聴けなくなって寂しいなあなんて感傷にひたる時間は数日でした。そのセキレイ夫婦が、あれほどお前たちだけは特別なんだぞ!本当だったら俺は鳥の巣だろうがなんだろうが商売のためなら蹴散らしてしまうことぐらい何とも思ってなんかないんだぞ!今回だけたまたま気分がよかったから見逃してやるんだぞ!と強く伝えたはずだったのですが、日本語がうまく伝わらなかったのか、聖地発見の手柄を自慢したいという誘惑に仲間たちに聖地の場所をリークしてしまったのか、数羽のセキレイが降臨。

野生の獣すらも子供のころから飼ってやれば人の気持ちが伝わって大きくなっても覚えているという話もあるぐらいですから、もしかして「あの時には大変お世話になりました。これは心ばかりのお気持ちですがどうぞ。」と、金貨ぐらい加えて来たのかななんて思った私が浅はか。数日後には倉庫の中に新たな巣が!しかも数か所も!聖地に舞い降りるセキレイの数も日々増えていきます。セキレイネットワーク恐るべし!当初はあれほど警戒していたセキレイも数メートルさきまで平気で寄って来るようになりました。完全になめられている・・・。

敵もさるもの、「ここならしばらく動かすことないよね」っていう木の隙間を選んで巣作りをするとこがまた憎らしい!最初に隙間を見せてしまったこちらの脇の甘さもあるので、まあ仕方ないかと心の大きさを見せつけてやろうかと思っていたら、次第にセキレイも調子に乗ってきて、今までは互いの間で飛行禁止の紳士協定が結ばれていたはずの倉庫内や展示室内に領空侵犯!ある日、二階で鳥の鳴き声がすると思って上がってみると、恐らく迷い込んでしまった展示室の中で、出口を求めて激しく飛び交い展示物が散乱。私の大切な鉄腕アトムのオブジェに糞の跡を見つけたときに、私の中で何かがブチ切れる音が聞こえたのです。いいか、セキレイよ。今年だけは見逃してやるが、今年だけだからな!来年は巣作りしようと思ったって全部売り切ってしまうからな!在庫すっかり減らすんだからなあ~!

 




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