森のかけら | 大五木材


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愛媛県が、愛媛の魅力的な農林水産物をデータベース化して商品カタログとして発刊している『愛媛のいいモノすごいモノ』は、定期的に内容が更新されていますが、今回の更新にあたって弊社でも内容を一部変更させていただきました。この冊子に掲載しているのは非食品で、そのジャンルも水引、紙製品、和紙、タオル、菊間瓦、民芸品、工芸品、生活雑貨、木製品と多岐にわたっています。県内全域から選出されていますので、この一冊で愛媛のいいモノ、すごいモノをご覧いただけます。ページをめくって眺めると、改めてこういう商品もあるのかと気づかされます。

弊社ではもともとは【森のかけら】を掲載してもらっていたのですが、今度は『モザイクボードで掲載していただきました。最近、広告を出しませんか?というお誘いを受けることが多くなってきましたが、零細材木屋には資金を有償の宣伝に回せるだけの余裕が無いので、お金のかかる宣伝はすべてお断りさせていただいております。ですので、こういう形で自社の商品を宣伝できるのはとてもありがたい。基本的には口コミにまさる宣伝は無いと思っていますが、独りで静かに商品を見たいって方もいらっしゃいますので紙媒体も必要。

これだけネット社会になって、本だって音楽だって現物を買わなくたって配信でいける時代になっても、やっぱり昭和生まれとしましては、次に何があるのか期待しながら紙のページをめくる触感と紙の肌触り、開いたページから匂いたつ鼻をつくようなインクの匂いは愛おしい。本なりレコードなりCDなり、手に触れる現物が無いとどうしても不安になってしまうのです。特に私のように妄想癖の強い人間ですと、触れてその存在を確認できるものがないと、あれもこれもすべて自分の妄想の中の事だったのではないかなんて思ってしまうので。

冊子には、木製品関係で知り合いの方の商品もいくつか掲載されています。愛媛県は林産県でありながら、川下の非建築としての出口が脆弱で他県の林産地に比べても木工品などの商品が非常に少ないのが現状です。出材される素材がスギ・ヒノキの針葉樹がほとんどという背景もありますが、今後もっと多くの人が木に関わってもらって、もっと多くの多様な出口を開拓して、もっと多くの材が世に出て行ければ、地元の人が「愛媛で作られた木のモノ」を目にする、買う、使う機会も増えてくると思います。

 




今年も中学生の職業体験を受け入れさせていただきました。自分の子供たちも通った地元の鴨川中学校から中学二年生が3人やって来ました。彼らは4日間、材木屋で材木屋の仕事を体験するわけですが、この職業体験もすっかり定着して今年で5年目になります。その間には、自分の息子もやって来ましたし、最初に来た子たちはもう大学生。この体験が彼、彼女たちにどう映ったかは分かりませんが、こちらとしてはこれぐらいの子どもたちにどういう形で、どういう言葉で、木の事を伝えればいいのかという点で大変勉強になっています。

最初に私から軽く木の話をするのですが、その際になぜ職業体験に材木屋を選んだのかの理由を訊いています。どの仕事を選ぶかというのは個人の自由で、さまざまな職種の候補企業があって、その中から希望を出していくらしいのですが、当然人気のある職種はかぶりますので、人数調整が行われることになります。なので第2希望や第3希望になることもあるようなのですが、今回の3人のうち1人は、素直に大五木材は第4希望だったと明かしてくれました。それはそれで、むしろそれでもよく来てくれたと歓迎したい気持ちになります(笑)

学校の先生方も定期的に移動されるので、そもそも材木屋というものがどういう仕事なのかもよく分かっていらっしゃらないと思います。生徒の中に、将来は建築関係になりたいとか言う子どもがいたら、ならば関係ありそうだから材木屋ぐらいに考えられている程度のイメージだと思います。将来は材木屋になりたい!なんて言うのは、親が材木屋をしている子供ぐらいしかいないのは、材木屋という仕事自体が身近には無い職業だから。弊社の場合は、一応県道沿いにあるのでそこに材木屋があるという程度の認知度はあると思います。

なので、最初は来てくれた葉いいものの、どういう仕事を体験してもらえばいいのか戸惑いがあちました。さすがに一日中木を担がせるわけにもいかないし、怪我でもされたら大変。かといって図面を引いたり工具を使って何かを作らせるのが本来の仕事ではないし・・・そうやって自分の日々の仕事を見つめ直すと、いかに技術の蓄積の無い仕事なのかという事が分かって呆然とさせられます。という事で近年ようやく経験の蓄積が具体的に残るような仕事にシフトチェンジしているところです。ひとに仕事を教えることで、今している仕事の意味や効率を改めて考えるきっかけとなります

 




ウズラ卵業界。食文化に欠かせない卵という分野でありながらも、ウズラという嗜好性の高いマニアックな存在ゆえに、景気が悪くなると原料費の高騰や後継者問題で業界が疲弊して業者数が激減するという流れは、まさに銘木業界のそれと同じ。なのでとても他人事とは思えずつい感情的になって大きく脱線してしまったのですが、無くなっても困りはしなけれど、あればいろどりとしてはいいよね~的な存在としては銘木業界も共通。分野は違えどもマニアックなファンを育てて市場を確立させていかなければならないという点では一致しています

ウズラの卵生産日本一の会社では、今までウズラの卵を使っていなかった飲食店にウズラの卵を使った料理の提案をしたり、卵の回収の自動化などに取り組むまれたりもしている様子。一方、小学校などへの出前授業による啓蒙活動は人材不足などもありなかなか進んでいないみたいで、そういう事情も含めて一層シンパシーを感じます。実は豊橋市の周辺には木材の取引先がいくつかあって、よく通過していましたが、今度は豊橋にも寄ってウズラの卵関連の商品を購入したいと思っています。がんばれ豊橋!がんばれウズラの卵!

という事で、ここから改めてパートリッジウッド』こと『アンゲリン』、あるいは『ダリナの話です。弊社でも取り扱い経験がなかったので、最初は小さくカットして端材を削ったり加工したししてみておそるおそる使ってみました。マメ科の木らしく硬質で、削ると滑らか。木目はウズラの羽に例えられるのも納得がいく美しさ。オイルを塗ると更に濡れ色になって光沢が増します。木目があまりに緻密すぎて、少し離れてしまうと濃い目の赤身の中に埋没して木理が分からなくなってしまうほど。右の写真はオイル塗装を施した状態のもの。

塗装する前はかなり地味な色合い。今回アンゲリンで作らせていただいたのは、2850×900×40㎜サイズのテーブル。幅が広いので裏面には反り止めの金物を座彫りして入れています。左の写真はオイル塗装工程の途中ですが、写真の奥はオイルを塗ったので濡れ色になって濃いオレンジ色になっていますが着色しているわけではありません。幅広なので3枚の板を幅剥ぎにしていますが、片面に黒い筋があったので、そちらを裏面にして使わせていただきました。さすがにこのサイズになると一人でひっくり返すのは無理。明日に続く・・・

 




という事で昨日からの話を受けて、鳥の名前を持つ木、『パートリッジウッドPartridge wood』の話です。パートリッジとはヤマウズラ(山鶉)の事で、由来はその羽の模様を杢に見立てたものだと思われます。ケイトウ(鶏頭)ヒヨドリバナ(鵯花)、サギソウ(鷺草)など鳥の名前が冠せられた草花は結構多いのですが、鳥の名前が付く和名の木というと、カラスザンショウ(烏山椒)ぐらいしか思い浮かびませんでした。俗名や地方での方言名まで探せば個性的なものが見つかりそうではありますが。

樹木ではありませんが、ミヤマウズラ(深山鶉)という花があって、名前の由来はやはりその葉の斑紋がウズラの羽の模様に似ているためだそうです。しかしその印象はパートリッジウッドのそれとは随分違います。それで、よくあるパターンなのですが、同じ生物を示していても日本と海外では全然見た目や雰囲気が違うという事があるので、一応イギリスのヤマウズラで検索してみると・・・ウズラにもいろいろな種類がいるみたいで、これはあまりぬかるみにはまると『今日のかけら』が『今日の鳥』になってしまいそうなのでこのあたりで止めておきます。

いずれにしろウズラの羽が鮮やかで野趣溢れた美しさを持っているという感覚は洋の東西を問わないということは分かりました。蛇足ながらウズラといえば、私は蕎麦屋でザルソバ一緒に出てくる小さな卵を思い浮かべるのですが、最近蕎麦屋でそのウズラの卵を見かけなくなりました。あの小さな卵がうまく割れなくて殻がツユに入ったりして面倒だったのですが、無くなると妙に寂しい。それでちょっと気になって調べてみたら、ざるそばにウズラの卵がつくのは関西の文化らしく、関東ではつかないとの事。知りませんでした💦

なぜザルソバにウズラの卵がつかなくなったかというと、その生産農家が激減しているという話があるようです。これも調べて初めて知ったのですが、ウズラ卵の全国のシェアの約70%を占めているのが愛知県で、更にその85%を占めているのが豊橋市。かつて60件もあったその豊橋のウズラ農家が7戸にまで激減。飼料価格や物流費が高騰して経営を圧迫。ウズラは小さな体で卵を産むため、高タンパク高カロリーの高価な飼料が必要という事で、原料費の高騰は死活問題なのだそうです。更に後継者問題等もあり環境はかなり厳しいとのこと。

普通の卵に比べるとウズラの卵は嗜好性が強いので、高くなると途端に入れなくなるので価格転嫁が思うように進まないという事、小さな農家では大きな食品加工会社に対する交渉力が無い、供給不足が発生したとしても海外から安価な輸入卵が入って来て価格競争に勝てないなどなど、とても他人事とは思えません。それらの背景もあって蕎麦屋ではウズラの卵を出さなくなってしまったのかも。これは見捨ててはおけない。蕎麦屋が出さぬなら我が家ではウズラの卵を使おう!木も一緒だけどマニアックな嗜好性を育てるって大事。

 




最近、端材コーナーに地元の学校関係者の方もよくいらっしゃいます。先日はたまたま地元の別々の高校の先生が同じ時間に鉢合わせされたりして、あの学校もここに木材を買いに来られているんですねと、いい宣伝になったりしました。学校では教材としてはもとより、いろいろな形で木材を使う機会も多いので、うまく繋がればいい「お得意様」になっていただけるのですが、こちら側からなかなか営業がかけにくい。それでもご来店いただく機会が多いというのは、昔から細々と繋いできたご縁の糸のお陰かと思っています。

私が入社した当時は大工さんと建築会社、土木会社のみがお客さんで、一般の方に木を売ることなど皆無。職業の職種を書く時には、「小売り業」なのか「卸売り業」なのかを悩んだりもしたものです。当然学校関係との繋がりもありませんでした。学校との関係が生まれたのは、自分の子供が通うようになってから。愛媛木材青年協議会に在籍していた頃、木製の『どうぞのいす』を作って配った頃から、保護者以外の立場(地域の材木屋の店主)で先生たちと会話をする機会が増えてくるようになったあたりがきっかけでした。

その後、地元の大学の農学部のイベントに参加したり、中学生の職場体験を受け入れたり、中卒の子を雇ったり(結果的に続きませんでしたが)、異業種交流の流れで大学生たちと話をしたり、学校に呼ばれて木の話をするようになりました。そしたらそのうちにうちでそういう関係で知り合った子供たちが成長して大学生になったり、先生同士の連携で話が繋がったりして、少しずつ先生や生徒たちが個人的に木を求めにやって来られるようになりました。その途中でホームページを立ち上げたこともあり、【森のかけら】が教材として購入されるなったという事も追い風でした。

先日も「お得意様」である愛媛大学教育学部福井先生が学生たちを連れて木を探しに来られました。ピチピチの女子大生でしたが、端材コーナー整理しといてよかった~。前のように端材とゴミの境界が定かではないような環境で潮干狩りのような状態で埃にまみれて木を探すような環境では、さすがに先生も連れて来ようとは思われなかったでしょう。もう少し整理も進めて、リタイアしたおやじが趣味の木工の材を探しに来る(だけの)店から、若い女の子でも立ち寄れるような雰囲気に変えていかねば。

建築系の学生でありませんでしたが、教育学部の中の造形的な授業の一環で木工をするということで、それぞれ思い思いの木を選んだようです。本来ならば、特に若い人に対してはただサイズと値段だけで木を買って欲しくなくて、「あなたが今手にしているクスノキというのは、トトロが住んでいる木で、木編に南で楠と書くと思うけど本当は・・・」なんて木の物語も話したい。うざいと思われても、これがうちで木を買うための通過儀礼なんだと。ほったらかしておいても木のファンは育つ、次々と芽を出すと言う人もいるけれど、誰かが水をやらねば木は育たないと思うのです

 




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