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村本さんの見立てによると、欅・桜・水目・桂・朴・栃・ケンポナシ・栗・松・タモ・杉・栓・トネリコ・塩地・樫・木肌・ 楓・ 藤木・榧などがあったそうで、その量たるや総量600㎥!その内、あまりにコンディションが悪過ぎて使い物にならずチップに工場行きになったのが200㎥。隣にあったチップ工場までリフトで300往復!残り400㎥が有価材。その後いろいろ引き合いもあって最終的に在庫になったのが240㎥!それを自ら陣頭指揮に立って作業されたのです。
好きでなければできませんが好きだけでもできない。その話を聞いたとき、感じたのはそんな途方もない村本社長の決断に文句ひとつ言わずに従って高知にまで来て寝泊りしながら埃にまみれるスタッフがいることの素晴らしさ!ちなみにその倉庫は、材がかなり強引に詰め込まれていて、リフトが使えなかったりと、多くが人力で片づけなければならない状況だったので、スタッフが入れ替わり立ち代わり高知まで泊まり込みで実に三人で延べ165人工もかかったというのです。
ちなみに人工(ニンク)とは、土木建築関係で作業量を表す言葉で、労働者一人の1日の労働量をもとに、作業に要する延べ人数を算出したもの。この場合は大人が165人分労働したという事!もはや材木屋ではなく土木の一大プロジェクトです!この話を聞いた当時、私は高齢化や人間関係など人(スタッフ)の問題で頭を抱えており、もしこの話を受け入れるだけの体力(資金)があったとしても(現実には無かったのですが)、人の問題でとても対応できる状態ではありませんでした。
今はそれが随分改善されましたが、当時はそれが出来る村本さんが、スタッフとそれだけの信頼関係を築けている村本さんが、そういう仲間がいるムラモトという会社がとても羨ましく、眩しく見えました。決してお世辞などではなくて、会社のチームワークをこれほど羨ましく思ったことはありませんでした。零細材木屋の木の仕事って、お金だけでは片付かないことが多くて、結局誰かが汗をかかないと収まらないことばかりで、自分が動けない時、動いてくれる仲間が何人いるかが会社の値打ち。
まあ、もしもそんなスタッフが万全だったとしても、私にはこんな無謀ともいえる決断をする力と度胸は私にはありません。だって村本さんは、そのためだけにこの倉庫を買ったのです。写真だといまいち、そのボリューム感が伝わりにくいと思いますが、これが節まみれの一等材のスギ・ヒノキ・マツなどの針葉樹なら金額も分かったものですが、ほとんどがバリバリに乾いた信じられないくらい目込みの広葉樹ばかりなのですから。やはりやりたい事をするにはそれだけの『体力』が必要~!
『ムラモト・高松倉庫』に収めてあるもの、それは遠く四国は高知から運ばれてきた銘木の数々。今回、お忙しいなか村本さんに倉庫巡りをお願いした理由の1つはここにあります(もう1つは次の倉庫)。昨日書いた通り、その経緯は村本さんご自身がブログで『高知での製材所整理顛末記』として微に入り細に入り詳しく書かれていらっしゃいますが、その会社は国産材を扱う四国の材木屋なら知らない者はいないだろうと思われる老舗で、銘木なら何でも揃うといわれた名店でした。
銘木といってもいわゆる床柱や変木など床の間をしつらえる装飾性の高い材の事ではなくて、大きくて立派でなかなか簡単には手に入らない珍しい樹種・珍しいサイズ・珍しい杢を持った木といった意味の銘木。トチ(栃)やケヤキ(欅)、ヤマザクラ(山桜)、シオジ(塩地)など、四国中から集められた立派な材を沢山お持ちで、その一部は愛媛にも流通していて弊社も昔は、サクラの敷居や框でお世話になったものです。今でもその名残がわずかながら弊社の倉庫の隅に眠っています。
赤身の張った立派でよく乾燥したヤマザクラの敷居です。往時はかなりの量を動かされていたと聞いていますが、いつ出るとも分からない膨大な在庫を抱えざるをえない銘木屋の宿命で、在庫が膨張。一方でローコスト住宅の勢力拡大、和室の減少などから、銘木が必要とされなくなり、後継者問題などもあって、全国的にも多くの銘木屋が閉店に追い込まれました。銘木屋といえば木材業界の花形的存在でもあったので悲しい限りです。閉店すると銘木とて二束三文で叩き売られます。
立派な銘木たちにそんな屈辱を味合わせるわけにはいかないと立ち上がったのが村本の親分。その男気たるや、最後の粋な材木屋と拍手も贈りたくなるところですが、ここに来てその圧倒的なボリュームを見るとそんな軽口は叩けなくなります。ここに写っている木、すべてがガリガリに乾いた乾燥材。寝かしに寝かしてもうこれ以上は乾かんだろう~という木に対して、よく『完全乾燥』なんて呼んだりしますが(含水率に基づくというよりも何年寝かせか自慢的な言い回し)、まさにそれ!
昨日の続き・・・。当然それは一朝一夕ではできることではないので、学校教育などを通じた粘り強い啓蒙なども必要です。一方で木のモノを供給する側にもそれを無理強いすることない形で安定的な生産システムの確立が重要かと。その根っこには「木が好き、木のモノが好き」という事がなければ長続きもしないし、思いも届かないのでは・・・そんな事を金沢で四国の木を眺めながら思った次第。身近にある時は当たり前に思うモノも、必要とされるところで見ると途端に輝いて見えるもの・・・。
国産材に限らずいろいろなところの木を持ったいるというのもムラモトの強みで、カバやナラのフローリングも、うちだったら軽く1年分ぐらいはあるだろうなというぐらいの量がズラーッと積み上げられています。形態上は、大工さんや工務店に販売する小売店ということなのでしょうが、モノによっては大手の問屋さんなどにも卸されているという事でした。村本さんのところがというよりも、かつてのメーカー→大問屋→小問屋→小売なんて図式はとっくに崩壊しており流通も激変。
ここまでは割合近場の倉庫でしたが、ここから大きく移動。能登ヒバに向かって、能登半島を北上するコースにある高松倉庫へ。左手に日本海が見える綺麗な道路を走ったのですが、私が今まで何度か来た時は左手に見える風景は、白波が打ち付け、寒風吹きすさぶ演歌の中に出てくる世界だったので(冬にしか来たことがないこともあって)、こんな静かな海、晴れた空の日本海は初めて。村本さんも珍しいほどの天気と仰っていましたが、最初がこれだったら石川の印象も随分違ったかも。
道路もスイスイ走れて4つ目の『高松けやき倉庫』に到着。高松と聞くと、四国の人間なのでつい香川県の高松市を思い浮かべてしまいますが、あくまでも「石川県かほく市高松」という地名で、香川の高松市とは何の関係もありません。しかし、香川とは関係ないものの四国とはゆかりの深い倉庫なのです。村本さんがご自身のブログ等でも公開されていらっしゃいますが、高知県の銘木屋が店を畳まれる際に、その始末を一手に引き受けられて、その時の材がギッシリとこの倉庫に眠っています。
先ほどの倉庫から車で少し移動して、これからはたっぷりと中身の詰まった倉庫。ここは日常的に仕事で使われている湊(みなと)倉庫。中にはフローリングやパネリングなどの内装材製品が中心に在庫されていました。㈱ムラモトには配達を専用とするスタッフがいるわけではないので、営業マンそれぞれが自分たちで材を積んで現場まで運ばれています。梱包で県外等へ出荷される場合は運送業者を使われていますが、この倉庫からはその流れもおおいそうなので、余計にきっちり整理されています。
馴染みの運送会社を使われるそうで、伝票を渡すだけでどれをどう積めば分かるらしいので、日頃からそれなりにきちんと整理しておく必要もあるのですが、村本さんは「手間をかけたくないだけよ」と仰いますが、そうするためにはそうできるための下準備が必要。いかに無駄を減らして効率よくするかを常に考えられていて心から尊敬するものの、こればかりは真似が出来ない・・・。端材の神から啓示を受けた者として、端材は見えるところに置いて意識を高めておかねば・・・。
整然とビニールがかけられた製品が多いのは、梱包で出荷される事がいかに多いのかを物語っていますが、カバやナラの中国産のフローリングに混じって、四国産の内装材も沢山積み上げられていました。高知や徳島、愛媛など四国で生産されたヒノキやスギの姿を、遠く離れた金沢の地で見るとなんだか感慨深いものがあったりします。わが愛媛県はヒノキの素材生産量全国3位、スギは全国12位という森林県なのですが、その多くが県外出荷なので森林県という意識はかなり希薄。
出張木育など一般の方に木の事を話す機会があるたびにその事をお話ししますが、ほとんどの場合「え~、意外。」との声が上がります。絶対的に消費地ではないということは前提ではあるものの(それをいえば他の森林県も多くが人口の少ない地方であるのですから)、素材が豊富にあるからそこに住む人の森や木に対する意識が高いという事は必ずしもイコールではないという事。意識を高めるためには日頃から暮らしの中で自然な形で木のモノに触れる機会を作ることだと思います。
先日の新たに購入された塗装倉庫に続いて次の倉庫は、塗装倉庫の前にあります。こちらも以前は別の材木屋の倉庫として使用されていてものだそうです。こちらもまだ整理中ということで、まだ本格的に倉庫としては稼働していない状態でしたが、建物自体鉄骨造のかなり綺麗なもので片づけさえ終われば即使えそうでした。村本さんは、こちらの倉庫には〇〇、あちらの倉庫には〇〇という風に、商品配送の事も含めてそれぞれの倉庫に特徴を持たせるように考えておられるようです。
ムラモトの膨大な在庫から考えれば、倉庫はいくつあっても足らないでしょうし、私から見れば十分に大きなこの倉庫だって、村本さんの中ではあれとあれを納めたら一杯になってしまうとの青写真を描かれているのだと思います。うまく倉庫を使われる方は、狭い倉庫でもモノの出入りの順番を計算してうまく活用されているのですが、明日の仕事の段取りですらあたふたする私にとっては倉庫の管理も大の苦手で、村本さんとは別の意味で倉庫はいくらあってもモノで溢れます。
それは在庫が豊富という意味ではなく、ただ整理がついていないのでモノがそこら中に中途半端に置かれていて足の踏み場も無いということ。まだ父が生きていた頃、別の場所で倉庫を買おうかという話も出ていたのですが、倉庫は大きければ大きいなりに使うし、小さければ小さいなりに工夫して使うものだと言って、結局倉庫は買いませんでしたが、今になって正解だったと思います。使える能力がなければ、倉庫があっても意味がないという事を、よく整理されたムラモトの倉庫で痛感!
能登に向かう経路の関係で、最近買ったばかりでまだ利用していない空の倉庫から、倉庫巡りが始まりましたがここから中身が詰まっている倉庫に向かいます。それにしても、雨が降ると奥の荷物が引っ張り出せなくなってしまい途端に仕事が腰折れしてしまう自社の倉庫の狭さが恨めしく思ってしまうものの、私が入社した頃は、仕事が終わるとトラックを倉庫の中に入れるぐらいガラガラだったので、この四半世紀の間に倉庫を無駄に狭くしてしまったのは自分自身であったと反省しきり・・・
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