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★今日のかけら番外篇・E045【サカキ/榊】 ツバキ科・サカキ属・広葉樹
| 先日、近くのお宮で境内の木をいくらか伐採することになったのですが、まず手始めに低所にある数本の木を伐採されました。普通のひとにしてみればただのゴミに見えるかもしれませんが、かけら屋にとってはお宝であり、そういう材の救出はビーバー隊の使命でもあります。という事で、まずは『サカキ』を救出。サカキと言えば神様への供え物として欠かせない木ですが、こんな大きさのサカキを手にしたのは初めて。【森のかけら】を取るには十分ですし、これだと『森のりんご』も余裕で作れそう。まさに神からの恵み! |
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前述した通り、サカキは神事でその枝葉が備えられる神聖な木ですが、実はこれ全国的な事ではないようです。サカキの分布域は、茨城県、石川県以西なので、サカキを神事に使っているのは福井県や静岡県以西。それより東北の寒いところではサカキは育たないので、サカキではなく同じツバキ科の『ヒサカキ』を使っているのだとか。いずれにしろ葉が艶々していて年中緑の葉をつけるサカキの仲間に、昔の人々が神秘性を感じ繁栄を願い神事に利用したのは共通で、古くは日本神話の中にもその名前が登場してきます。 |
| サカキという名前の由来もそのあたりにあって、枝葉が年中茂っていることから繁栄を意味する『栄木(サカエギ)』から転じたものだと言われています。このサカキという言葉ですが、古代においては特定の樹種を指すものではなかったらしく、神事に使われる木に対する総称だったようです。それぞれの地域で育つ常緑樹の中から,神への供物として相応しいと思われた木の事をサカキと呼んでいました。その中に現在のサカキやヒサカキ、オガタマノキ、シキミ、クスノキ、タブノキ、マサキ、ソヨゴなどがありました。 |
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その中で、利用される事の多かったサカキがその名を受け継ぎ今に至っているということです。ちなみに『ヒサカキ』の由来は、『姫サカキ(サカキに比べて小型である)』が訛ったもの、あるいはサカキの古名の『マ(真)サカキ』に対する『ヒ(非)サカキ』や、果実が密につくことから『ミ(密)サカキ』が転じたなどの説があるようです。そんなサカキですが、いつもはスーパーで枝葉を買ってくるばかりで、こんな大きなサカキが手に入るとは思ってもみませんでした。やはりこれは【続・森のかけら】を早く作れとの神のお告げか!? |
| 自分で書いていて言うのもなんですが、今回ツバキについて書くにあたって改めていろいろ調べていたらツバキにまつわるエピソード出るわ出るわ。雪の中に赤い花を咲かす凛とした風情が文学や詩などに取り上げやすいのもあると思いますが、中にはツバキの材質に関わるものもあります。中でも私が印象深いのは、都はるみの大ヒット曲『あんこ椿は恋の花』。当時は『あんこ椿』という響きから食べる「餡」を連想して、間の抜けた感じがして、木としての椿のことなど、おいしそうな名前の椿があるぐらいにしか考えてもみませんでした。 |
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大人になってからも、てっきり「あんこ椿」という名前の品種(あるいは地方での別称)があるものだとばかり思っていました。それでいろいろ調べていたら「あんこ椿」というのは品種名ではなくて、「大島椿」発祥の地である伊豆大島で、髪油にするための椿の実を取る娘さんたちの事を指す言葉で「姉娘(あねこ)」または「あの娘(あのこ)」の意でした。伊豆大島では日常的に使われていた言葉ですが、都はるみの歌のお陰で全国的に知られることとなったようです。ものを知らないというのは恥ずかしい。今回気にしなかったら恐らく私の中では永久に「餡子椿」でした。 |
| そんな椿油は先日書いたオリーブオイルにも匹敵する良質の油で、髪油、食用、薬用、石鹸用、朱肉用など実に用途が広いのだそうです。伊豆大島には樹齢300年を超えるツバキもあるそうですが、火山灰を含む水はけの良い土壌があるこや温暖な気候がツバキの生育に適していたのでしょう。ツバキは海風にも強うことから防風林としても重宝されますが、伊豆大島では椿油だけでなく堅くて緻密なツバキの木を使って、工芸品、染色、炭、陶器などにも利用されています。ツバキの灰は蒔絵や金箔張りの研磨用として専用されてもいるということで、実に有用な木なのでした。 |
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今、【森のかけら】に作っているツバキは以前に宮崎県の銘木屋さんから分けてもらったツバキの木から作ったものです。ツバキを市の木に頂く松山にも沢山ツバキはあるものの、材として使えるようなツバキは稀で、造園屋さんルートで公園や庭に植えられたものが手にはいる程度。数年前にたまたま入手したツバキが結構大きかったので、それを製材して乾かしているとことなのでしばらくしたら、【森のかけら】にも愛媛産のツバキが登場します。それにしてもツバキは材質が密度が高くて重たい!色合いもさまざまで白いのから赤いのまであるのは花同様。椿の話まだまだ続く・・・ |
| 愛媛出身の有名な俳人というと誰もが正岡子規を思い浮かべると思いますが、他にも沢山の俳人を輩出しています。もっとも私もそんな事に興味を持つようになったのは、歳をとってからの事で、学生時代は郷土の俳人やら俳句やらがこんがらがってもどれが誰の句やら。【森のかけら】を作るようになってさまざまな事、特に身近な郷土の事に興味が湧く(というか知っておかねば引用も紹介も出来ないという切迫感)ようになってからのこと。知りたいと本気で思った時でなければ頭に入ってこず。好奇心こそが人に学びの扉を開けさせる鍵。 |
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ということで愛媛の有名な俳人ですが、正岡子規以外にも高浜虚子、中村草田男、石田波郷などがいますが、昔からひとと同じという事がとにかく嫌だったへそ曲がりの私が好きだったのは、河東碧梧桐(かわひがし へきごどう)。その俳句がどうのこうのなんて分かりません、ただそのいかにも偏屈で気難しそうな名前の響きの恰好良さに惹かれたのです。名前の中に『梧桐(アオギリ)』という木の名前が入ってますが、当時は梧桐なんて知りませんでしたし、そもそも木に興味もありませんでした。読売ジャイアンツが嫌いだったようにただメジャーなるものへの反発心のみ。 |
| 読みづらい名前をさも知ってますと得意げに喋るという事に満足感を抱いていた憎たらしいガキでした。ところでその読みづらい碧梧桐という号の命名者は子規です。碧は紺碧の碧、梧桐は植物のアオギリを意味しています。アオギリについてはいずれ機会があれば『今日のかけら』で取り上げるつもりですが、成長しても幹が青い(いわゆる青と緑の混用)ことから、ともに青色に関連した言葉です。これは碧梧桐が端正な顔立ちの色白で、まるで青ビョウタンのように見えたことに由来しているそうで、その事を後から知ってなぜか余計に格好良く感じたものです。 |

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ちなみに碧梧桐は高浜虚子と高校の同級生で、正岡子規の門下生です。説明が長くなりましたがそんな碧梧桐が詠んだ椿にまつわる有名な句がこちら、「赤い椿白い椿と落ちにけり」。凍てつく冬の日に、紅白の椿がパラリと散っていく情景が浮かんできます。実しかしはこの句には、師匠である子規への裏メッセージが込められているという怖い説もあります。子規が病魔に侵され吐血したり痰を吐くことが多かったことから、赤い椿を血、白い椿を痰に見立てて暗喩しているというもの。厳しい指導へのはけ口とも言われたりもしていますが、真相は椿のみぞ知る・・・。 |
| ツバキの英名は、Camellia(カメリア)だと言いましたが、日本のツバキの学名もCamellia japonica(カメリアヤポニカ)と言います。ではこのカメリアとは何かというと、フィリピンに滞在していたイエズス会の宣教師にして植物学者でもあった George Joseph Kamel (ゲオルグ・ジョセフ・カーメル)が、ツバキをヨーロッパに紹介した事にちなんで、『分類学の父』と呼ばれるリンネによって命名されました。昨日取り上げたジュエリーマキのカメリアダイヤモンドはブランド名ですが、文字通り椿の形にデザインされた指輪だというのを知ったのは大人になってからの事。 |
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和名では、『ヤブツバキ』とも単に『ツバキ』とも記されている事があります。ツバキに限らず名前の頭にヤブ(藪)がつくのは、山地の藪に生える(つまり野生の)を意味していて、野生のツバキをヤブツバキ、園芸品として栽培されたものをツバキとするというのが一般的な定義だそうです。しかし一方では、元来野生に生えているものがツバキであって、園芸品にはそれぞれ品種名がつけられている(玉霞とか加茂本阿弥とか)ので、あえてヤブをつける必要がなく、標準和名は単に『ツバキ』でいいのであるという、重箱の隅をつつくような意見に賛同して【森のかけら】では単にツバキとしています。 |
| というのは後付けで、本当はそれがツバキであるのは間違いなかったものの品種名までは特定できなかったし、今後のそこまでトレーサビリティが明確なツバキが入手できるとは思っていなかったので、入口は広げておこうと思ってザックリ椿という事にした次第です。まだSNSも使いこなせていなかった時代にモノの本を片手に必死に情報を収集した時代に書いた解説書と現在では情報収集力に圧倒的な差があり、改めて知ることが山ほどあります。しかし完璧なモノが出来るまで待っていたらいつまでも形にならないので、えいや~で踏み出した部分も多々あります。 |
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今読み返せば、顔が真っ赤になるほど恥ずかしい事を書いていたり、間違った思い込みなどもありますが、気づいた時に修正・加筆して精度をあげていこうと思っています。その間に多少は木の経験値も増えますし、ものの見方も若い頃に比べれば少しは柔軟になったかなと思っているので。そういう意味ではツバキはこれぐらいのタイミングで良かったのかも。さて、ツバキについては木材としても材質云々よりも、物語やイメージとしてのツバキを取り上げてきましたが、それぐらいツバキは語り甲斐のある木と言えるかもしれません。そこで愛媛県人として忘れてはならないのは、俳句における椿。明日に続く・・・ |
| 『ツバキ(椿)』は、ツバキ科ツバキ属の広葉樹で、チャノキやサカキなどもこの科に属している大所帯のグループです。ツバキという呼び名については、葉が厚いため「厚葉木(あつばき)」が略されてツバキになったという貝原益軒説や、照葉樹なので葉に光沢があってツヤツヤしているから「艶葉木(つやはき)」が訛ってツバキになったという新井白石説が有名ですが、他にも「艶木(つやき)」が転じたとか、「強葉木(つよばき)」からきているなど諸説あります。いずれもツバキの葉の特徴に由来しているという点では一致していて、美しい花よりも葉の方が名前の根拠というの面白い。 |
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またその他にも朝鮮語でツバキにあたる「Ton-baki(冬柏)』が転じてツバキになったのではないかという説もあるようです。一方で、日本産のツバキが隋・唐の時代に中国に渡り、文字だけが逆に日本に伝わったため、『日本書紀』ではツバキの事を『海石榴』と表わしているのに対して、『万葉集』になると海石榴以外にも椿や都婆伎、都婆伎などの字が当てられている事から、朝鮮語に由来している説には懐疑的な人もいらっしゃるそうです。何事も遠い昔に決まった名前の由来を訪ねる旅の道のりは平たんではありません。だからこそ面白いのですが。 |
| 木編に春と書く椿の根拠は、察しの通り春に花が咲くという意味。これは国字であって、漢字の椿は中国では別の木の事を指しています。センダン科の鮮やかな赤褐色の木『チャンチン』の事になります。ツバキは漢字だと山茶花か海石榴と書きます。石榴と書くのは、ツバキの実が柘榴(ザクロ)に似ているため。余談ながらツバキと同族の『サザンカ』は漢字だと『山茶花』書きますが、これは誤ってツバキを表す山茶花をサザンカにあててしまったため、音読みのサンサクワ→サザンクワ→サザンカになったのだとか。 |
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そんなツバキの英名は、Camellia(カメリア)。まだ木に無かった頃の少年時代の私が、早くして「ツバキ=カメリア」を覚えたのはひとえにあのテレビCMのお陰。1980年代の深夜には必ずと言っていいほど流れていた宝飾貴金属店・㈱三貴の銀座ジュエリーマキの「カメリアダイアモンド」のCM。宝石なんぞに何の興味もありませんでしたが、ハリウッド女優を惜しげもなく使った意味不明のCMに妙に惹きつけられました。同輩の方なら懐かしいはず。かのダイアン・レインも出ていて、さぞかし大きな会社なんだと思っていたらバブル崩壊で倒産してしまいましたが。 |