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先日、用事があって国産材の原木市場を訪れました。弊社は、製材された木製品を扱う材木屋で、原木を仕入れて製材・加工しているわけではないので、基本的に材料仕入れに原木市場に行くことはありません。材木屋というと原木というイメージが思い浮かぶかもしれませんが、現実には細分化されていて、山の立木から最終加工された製材品まで扱う材木屋(製材所)というのは多くありません。原木市場は集荷した原木を土場に並べ、競りや入札によって各製材工場に販売されていきます。山地と直接契約を結んでいるところもありますが、安定供給という至上命題には市場は必要不可欠な存在です。 外材の場合は、当然船で輸入され、原木問屋さんの土場に並んだ原木を仕入れて製材する事になりますが、輸入元は船舶で輸入するため多額の資金が必要になるので、原木問屋さんの数は必然的に限られてきます。愛媛は桧の生産量日本一ではありながらも、松山においては外材の生産量も非常に多く、戦後松山の木材業界をリードしてきたのは側面もあります。1本1本の原木の大きさもボリュームも違うので一概に比較するようなものではありませんが、その光景は似て非なるものがあります。
【森のかけら】を作り始めてから、弊社の敷地にも幾らか皮付きの丸太が数本転がるようになりましたが、丸太と板材では感覚的にかなり違いがあります。皮のついた原木は何か『いきもの』という生々しさが残っていますが、製材されて板や角になってしまうと途端に『素材』という感じになってしまいます。手間のかかり具合からしても、一筋縄でいかないところに原木の面白さがあるのかも知れません。それはそれでお互いのないものねだりというものかも知れませんが。
製品市場の場合は雰囲気もかなり違います。整然とビニールラップされた製品が居並んだり、板材が積み重ねられたりと、『商品』を買い付けに来る場所です。滅多に行かないせいか原木市場に行くと材木屋でありながら別世界のような雰囲気を味わえて楽しいです。商売で来るとそうでもないのでしょうが・・・。ここに並ぶ材が家の部材となって施主さんの手に届くにはまだまだ多くの人と時間を要しますが、それ以上に『距離感』を感じてしまうのは、原木相場の安さと、一般の方の木材との値段(木は高くて手が出ない!)の認識のズレからでしょうか。
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