森のかけら | 大五木材


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まだ残る雪の中から顔を出すのは『クヌギ』。椎茸(しいたけ)栽培の榾木(ホタギ)として伐採され積み上げられたクヌギの山を白く覆った小さな小山をあちこちで見かけます。「クヌギ」と聞いて思い浮かべるのは『カブトムシの木』でしょう。私も子供の頃はよく採ったものですが、その木がクヌギであったかどうかの記憶はありません。当時はカブトムシが集まっていたのはクヌギに限ったことではなかったように思います。普通にカブトムシもよく採れました。クヌギの樹液はドロリとした琥珀色で、手につくとなかなかのやんちゃぶりでしたがそれだけの価値はありました。

今から40年近くも前の話です。エコとか森林破壊とか環境問題などの言葉は子供の耳に届くほどメジャーなものではありませんでしたが、普通の大人にとってもそうだったかもしれません。まだ子供の頃の思い出が白黒フィルムだった、恐らく最後の世代としては、それから得たものと失ったものを見比べるとその大きさに愕然とします。ただ一方的に失った環境を嘆いたり、高度経済成長の弊害を指摘する気もありません。父母たち当時の大人達ががむしゃらに働いてもらったお陰で、物質的なモノ以外にも多くの豊かさを得ることが出来たのも事実ですし、逆説的に言えばそういう経済発展のために環境を省みなかった極端な時代があったからこそ、その反動から世界でも類も見ない、自虐的といえるほどの高い環境意識を手に入れたのかもしれません。

子供の頃に過ごした風景は、決して遠い過去ではないのに、今行ってみるとミニチュア・セットのように小さく感じられます。かつて、カブトムシがそれほど貴重な昆虫になるとも、森がこれほど小さくなるとも思ってもいませんでした。子供は大人が思う以上に残酷で独りよがりの行動をとるもので、私たちも大きな幹をナイフで傷つけたり、枝をバキバキに折ったりしたものですが、自然の復元力や恐るべし!人間の想像力を遥かに凌駕する逞しさがあるものの、度を越えるとその芽をも摘んでしまいます。

クヌギは、カブトムシやクワガタムシだけにとって恩恵があったわけではなく、アベマキと並んで日本最大とされるドングリは、森の多くの動物たちにとっても恵みを分け与えていました。それだけでなく我々子供たちにとっても、その大きさと量によって自己顕示欲を満たす重要なアイテムのひとつでもあったのです。弊社のすぐ裏の公園にも小さなクヌギ林がありますが、子供たちがそのドングリを競い合って集めている光景を目にすると、その変遷は脈々と受け継がれているようです。明日はその名前の由来などについて触れたいと思います。

 




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