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さて、映画の原案となったこの『ジャックと豆の木』という童話についてですが、その発祥は17世紀頃とされています。イギリスに古くから伝わる民間伝承が、アレンジを繰り返されながら語り継がれ、19世紀頃に本として印刷され、ほぼ全体像が固まったようです。英語のタイトルは、『Jack and the Beanstalk』。ビーンスタークというのが、巨大な豆の主茎の事だそうですが、そんな成長著しい豆のようにのびのびと育って欲しいという事から、その名を冠した乳幼児用商品のブランドもあるようです。誰でも知っている話ですが、大まかなストーリーを改めて整理してみると、ある日、母親に牝牛を市場に売りに行くように言われたジャック少年は、途中で出会った不思議な男が持つ豆と牝牛を交換してしまいます。豆を持って家に帰ると案の定、母親にこっぴどく怒られて豆は庭に捨てられます。
翌日ジャックが目を覚ますと、庭には天空へと伸びる大きな豆の木が!ジャックは豆の木を登り、雲の上にある巨人の城に辿り着きます。ひとのいい巨人の妻にかくまってもらい、夜になるとジャックは金の卵を産む鶏を奪って家の戻るのです。その後もジャックは豆の木を登り、金銀などの財宝を奪うのですが、ある晩ハーブを持っていこうとした時、ハーブが喋りだして巨人に気づかれ、急いで地上に降りたジャックは豆の木を斧で伐ってしまい、巨人は転落して死んでしまいます。
その後、少年は母親と裕福に暮らすのですが、その財宝は実はもともとジャックの父親のもので、巨人が父親を殺して奪っていったものだったのです。最後のエピソードは、童話の対象年齢によって付け加えていたりいなかったりするようです。小さい頃読んだ時は、何の違和感も感じませんでしたが、ある年齢になってからは、それじゃあジャックはただの泥棒で、巨人は被害者じゃないかという論議もあったりした記憶があるので、後半の描き込みは絵本によって結構曖昧だったのかもしれません。
雲の上のお城にいたのは、巨人であったり鬼であったり、ディティールは訳者や出版社によってそれぞれ異なっていて、子どもにとっては庭に捨てた種がひと晩で雲に届くまで大きくなって、そこを登っていくというスペクタクルと、悪の象徴である鬼(または巨人)をやっつけるという勧善懲悪が純粋に楽しかったのだと思います。私の記憶にも、奇想天外で楽しい童話というイメージしかありませんでした。しかし、この物語には実は深く悲しいもうひとつのドラマが隠されていたのです!明日に続く・・・
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