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木の話をさせていただく時に、四季の変化に富み多様な動植物に恵まれた日本は、それぞれの木々にも深い観察眼と造詣を持ち、その特徴をとらえ暮らしの中にうまく取り入れてきましたという話をさせていただいています。ただその多くが過去形で語らねばならないところが辛いところですが・・・。その暮らしの知恵や文化を取り戻すためにも、木のファンを増やしていきたいと思っています。そんな木の大好きな日本人と同じくらい木を愛し親しんできた民族がケルト人だと言われています。
ケルト人とは、中央アジアの草原から馬や戦車、馬車などを持ってヨーロッパに渡来したインド・ヨーロッパ語族ケルト語派の民族の事ですが、この童話の時代背景には、デンマークからやって来たアングル族とドイツからやって来たサクソン族(アングロ・サクソン族)に侵略された、ケルト原住民の虐げられた歴史もあるのだそうです。そしてこの物語は、後からやって来てかの地を征服したアングロ・サクソン族の視点で描かれた寓話。つまりジャックと母親はアングロ・サクソン族、巨人はケルト人。
原文では、巨人の妻がジャックをかくまうのですが、家に戻ってきた巨人は「イギリス人のにおいがするぞ」となっているそうです。日本語訳では、「人の匂いがするぞ」などと訳されていますが、原文は民族対立を色濃く残しているようです。これ以外にも、森の精霊や妖精などの伝承の多くは、アングロ・サクソン族から見た、不思議で謎めいた暮らしぶりやライフスタイルを揶揄した事がベースになっているともされているそうで、それは欧米人が見た不思議な国ニッポンに相通ずるものだったのかもしれません。
子どもの頃には純粋に御伽噺として楽しめた『ジャックと豆の木』の物語にも、実は民族対立という深い歴史の闇が、秘められていると思うと何だか複雑な心境です。まあ古くから伝わる民間伝承には、どこの国でも何らかのメッセージや戒めにようなものが含まれているもので、それが語りつがれるうちに、時代時代で解釈を変えていくものだと思います。自然崇拝に基づくケルト神話の中には、登場するキャラクター造形も含めて非常に興味深いものがたくさんあります。さらに明日へ・・・
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