森のかけら | 大五木材


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先週、テレビ愛媛の『ふるさと絶賛バラエティ いーよ!』の収録がありました。たまたまなんですが短期間にテレビの2度取り上げていただき、ほとんど広告宣伝費を使わない零細材木屋としてはありがたい限りです。この番組のコンセプトは、「地方を元気にできるのは、 そこに暮らす人々しかいない!県内の津々浦々をめぐり、地域の魅力を再発見する。」というもので、複数のMCが手分けして愛媛県内各地を巡って、これを見れば愛媛がもっと好きになる、「いーよ!」を探し訪ねていきます。2012年から毎週土曜 12:00 – 13:00に放送されている同局の人気番組です。

メインMCは中山明音アナウンサーですが、今期から済美高校出身のお笑いコンビ「ティモンディ」も新たに 番組サポーターに加わりました。今回は鴨川周辺ということで弊社にもお声をかけていただきました。交通量の多い道路沿いに端材を並べたりしているので、なんか変なことやってる材木屋として気になったとしたらまさに我が意を得たり。今回はSDGsとか県産材とかいったテーマありきではないので、お店紹介的な感じで倉庫の中の木材や、『木のもの屋・森羅』の木の玩具などを、私と家内でそれぞれパートに分かれて案内させていただきました。

番組の松岡英治ディレクターとお話ししてたら同い歳ということが発覚。丙午生まれは絶対数が少ないので、それだけで妙なシンパシーを感じるのです。しかも収録当日がお誕生日という事で、互いの昔話を披露してたら松岡さんは、『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督と同じ大阪芸大卒で、映画監督に憧れてその道を目指されていたのだとか。収録途中でその事が分かったのですが、はじめから分かっていればもっと映画の話を取り入れるとか、ジョーズ型のエノキとかクスノキの中のE.T模様とか映画に寄せた演出が出来ていたのに残念・・・。

今回『森のかけら』については流れで家内が紹介したのですが、いつもは製作者たる私の思いが入りすぎて圧が強くなってしまうので、こういうバラエティ要素が強い番組だと第三者的な視点で冷静に紹介する方がいいのかもと感じました。中山アナがその中でご自分のご出身の宮崎県産の木を見つけられたという話を後から家内から聞いて(かけら収録の時は私は1階に居たので)、嗚呼それだったら宮崎県で話膨らませれていたのに~!あ、いかんいかん。これが話が濃くなる原因(笑)。紹介はサラリと流して、足を踏み入れたら底なし沼にご案内~。




久しぶりにゼブラウッドの耳付き一枚板のテーブルを納品させていただきました。そのゼブラのような縞模様が名前となったゼブラウッドは「木の通」に人気のある木で、それはそれで十分に個性的な木なのですが、扱ってきた樹種が300も越えてくるとゼブラウッドですら普通に思えてきてしまう樹木底なし沼の恐怖!もはや感覚がおかしくなってきているのかもしれませんが、綺麗な無節の無欠点の木には食指が動かなくなりつつあります。なのでゼブラと言ってもこんな風に整っていない杢が好み。

人間でいうなら若いころに人には言えないような辛い苦労をしてきたんだろうなと思わせるような(偏見ですが)、途中で幹が分かれたとか傾斜育ちで杢が偏ったとか、雪や雨と格闘した古傷があるようなそんな「傷だらけの人生」を生きた木に惹かれてやみません。そもそも杢の良し悪しなんて最終的にはそれを求める人の嗜好であって、普遍的な杢なんてないのです。〇〇杢なんて、杢を楽しむためのガイドブック的な基準はあるものの、最後は自分の好み。だからそれに間違いなんてものはないのです!

私は歳を重ねるにつれますます「王道から外れた木」に惹かれるようになってきて、買い集めている木も普通というより少し「変わった木」(よく言えば個性的、悪く言えば邪道)が多くなってきています。なのでゼブラウッドなども杢が見事にシンメトリーになっているものや、整った筍杢よりも、よれたり途中で切れていたりするいびつな杢が好み。こんな風に杢が無い部分が多い板だって「余白を楽しめちゃう」のです。そんな私の嗜好に共感いただいたご夫婦がこの板を気に入っていただきました。

丸太の端のほうのギリギリで製材したものなので木裏には縞柄が出ているものの、木表にはほとんど縞柄がありません。耳にも結構ダメージがあったので大胆に耳を落として木裏使いにしています。こういう木は使い方を考えるのも楽しみ。資料を見直すと若い頃と比べて仕入れの傾向がかなり変わって来てますが、それに合わせてお買い求めにお客さんの傾向の変わってきてます。木が人を呼んでいるのか、人が木を呼んでいるのか分かりませんが、「個性的な木」はますます増えていく!




今日のかけら番外篇・E051ヒマラヤ杉Himalayan Cedar   マツ科・針葉樹

週刊誌やテレビのワイドショーの芸能人のゴシップにはほとんど興味が無いのですが、たまたまだとは思うのですがちょっとだけ気になる話がありました。それは先日亡くなられた俳優の田村正和さんの話。訃報が伝えられたのは死去から1カ月半後だったそうですが、自宅で療養中に奥様と近所の公園を散歩される姿が目撃されていたそうです。その公園には大きな『ヒマラヤ杉』が植えてあって、その前に立ち止まり二人で灌漑深くヒマラヤ杉を眺められていたのです。

ヒマラヤ杉の花言葉は『あなたのために生きる』である、という内容の記事でした。ご夫婦がヒマラヤ杉の花言葉をご存じだったか、どういう思いで眺められていたのかを知る由はありませんが、ちょっと胸にグッと来る話でした。このエピソードが気になったのは、その木が『ヒマラヤ杉』だからというだけではないのです。実はその日の午後に初めてご来店された中年のご夫婦が倉庫内を巡られて、数日前から発売を始めたばかりの『ヒマラヤ杉の小枝の輪切り』をお買い求めいただいたのです。

その夫婦はその記事を読まれて『ヒマラヤ杉』を探されていて、たまたまSNSか何かで弊社の『ヒマラヤ杉の小枝の輪切り』を見つけて、それ目的でご来店されたのか、あるいはたまたま偶然で田村正和さんの事はご存じなかったのかもしれませんが、小枝の輪切りの他にも数ある中でヒマラヤ杉の端材も合わせてご購入されたので、偶然にしてもヒマラヤ杉がとりもってくれたご縁です。そのヒマラヤ杉も次の『森のかけら400』には加える予定です。原産地はアフガニスタンからネパール西部にかけてのヒマラヤ山麓地域です。

景観植栽の樹木として人気で世界中に広がり、コウヤマキ、ナンヨウスギとともに世界三大庭園木とも呼ばれ、町の中の公園などにも結構植栽されているので、用材として見たことは無くても立木としては見たことがある人は多いと思います。スギの名前がついていますが、植物学的にはマツ科ヒマラヤスギで、スギよりは末の仲間に分類されます。日本には明治初年に渡来しましたが、その後急速に全国に広がりました。それだけあるのだから多少は用材として流通してもいいと思うのですが、典型的な『町の木』なので『都市林業ルート』でないと得にくい木です。この木の学名はdeodara(ディーアダー)と言いますが、これは「神々の木」を意味するサンスクリット語のデヴァダールに由来しています。これからヒマラヤ杉を見るたびに名優・田村正和さんの事を思い浮かべそうです、合掌。

 




ウォーターガムの仲間のクローブツリーですが、もともとマレー諸島の限られた地域にしか分布しておらず、莫大な富をもたらすクローブを求めてイギリスやオランダ、ポルトガルなどで血なまぐさい争いが起きたといわれています。クローブは珍味な香料としてだけではなく病気治療にも使われてきました。クローブの飾り物を身に着けるとペストに効果があるなどの迷信もあり、獲得競争がより過熱しました。現代でも鎮痛剤や抗炎症作用があることから医療にも使われています。

クローブのエッセンシャルオイルには殺菌作用があるため歯科のマウスウオッシャーにも使われています。その樹皮にもタンニンが含まれていて皮なめしに用いられたり薬用に使われるなど、材としてよりも花や樹皮の方が有用な木のようです。ということでここから話をウォーターガムに戻します。同じフトモモ科のユーカリ属の一部の木はゴムが採れることか「Gum tree」とも呼ばれているので、もしかしたらこの木からも天然ゴムの原料となる樹液が採取できるのか、それとも「ガム(Gum)」には木の樹皮からしみ出る樹脂あるいは樹液の意味があるので、総称として名づけられているのかも。

頭の「ウォーター」については、普通に考えれば水辺に生える木という意味ですが、資料によれば分布域は砂質粘土壌や海岸に沿った砂岩大地が最も多く一般には低地から1,500m以上の丘陵高地帯とあるので、もしかしたら気乾比重が1に近いものもあることから水に沈む木(沈木を意味しているのかもしれません。材を触った感覚としては後者の沈木由来の方がしっくりきますが果たしてどうか。材としての特徴としては、比重に重硬なために乾燥には時間がかかりますが、乾燥に伴う小口割れが多く見受けられました。人工乾燥は難しそう。

海外では大きな原木から化粧ベニヤの突板なども採られていうようですが、日本に輸入されるのは基本L.M.Hなので、そこまで装飾的な価値のある出口に導くのは難しそうです。耐久性はあると思われるのですがキクイムシによる食害が多く、強度を求められるパレットやダネンージ材(荷物を固定する荷敷材)などに利用されてきたのも頷けます。この木ならではの出口を見つけるのは簡単ではなさそうですが、一族の仲間がクローブ(丁子)だったなど知らなかった関係性が分かっただけでも大きな収穫。私にとってM.L.Hは心楽しき未開の世界!




本日は『ウォーターガム』という名前とその用途についての話。まずこの名前ですが、種類が1,000を越えるということもありその名前も地域によってさまざま。日本ではほぼ『ウォーターガム』で定着していると思うのですが、その名前で呼んでいるのはパプアニューギニア。分布している東南アジアの諸国では国ごとに名称が異なります。ミャンマーでは、タイではWa、ベトナムではTram、フィリピンではMakaasimなどなど。マラヤではKelatと呼ばれていて、この日本語表記の『ケラット』として掲載している樹木図鑑もあります。

まあこれらとて果たして同一の木を言いあらわしているのかは定かではありませんが。『森のかけら400』にはウォーターガムを加えるにあたり、この木の解説文を書こうと調べ始めたのですが、決定的な出口が定まらない木なので何か特徴的な事が書けるのか不安でしたが思わず繋がりが分かって思わず膝を打ちました!やはり好奇心旺盛にいろいろなところにアンテナを上げておくものだと思いました。この木の果肉は食用にもなるようです食用目的の栽培も多いらしいのですが、それ以上に価値があるのが強い芳香を持つ花(花の蕾)

それは1,000を越えるウォーターガムの仲間のうち、モルッカ諸島原産のEugenia caryophyllataという木で、その花の蕾を乾燥させると更に刺激的な匂いを放つ香料になり、スパイスカレーなどの香辛料(クローブ)に使われます。そのため『クローブツリー( Clovetree』とも呼ばれています。最近の本では学名がSyzigium aromaticumと記載されています。研究が進んだ結果学名が変わるということもあるので何かあったのかもしれません。ウォーターガム=クローブツリーではありませんが、「スパイスの木の仲間」と分かっただけで途端にウォーターガムが身近に感じられるようになってきました。

さてご縁を感じたのはここからで、そのクローブは江戸時代に胡椒と共に伝来し、香料として匂い袋などに入れられ人気を博したそうですが、日本では「丁子(ちょうじ」と呼ばれました。この丁子が仏教では瑞祥的な意味が込められた宝物とされていたため、公家や武士たちが競って家紋に取り入れました。家紋のマグネット『森のしるし』を作った際にこの「丁子紋」が出てきたのですが、大根のデザインだとばかり思っていて丁子と知ってもピンときませんでした。それが今回ウォーターガムとつながり、ここでも繋がるか~!(無知だっただけですが)と独り興奮を隠しきれません。




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